某日、無職渡世。午前中、山下組『日本対俺』のセリフをレコーダーに吹き込む。吹き込んでいても笑ってしまうセリフがある。午後、倅とマイケル・ベイ監督『トランスフォーマー』と『トランスフォーマー リベンジ』を観る。マイケル・ベイ監督ってどうしても大味で、編集のテンポと大仰な爆破とCGでごまかす監督という印象があり、あまり好きじゃないが、今作も概ねそんな感想だった。ただ、ジョン・タトゥーロは最高。このヒトだけを観ていたいくらいだ。さて、西武ライオンズについて。今期はライオンズのことに触れていないが、試合結果をネットで確認する程度しかみていない。WBCのお祭り騒ぎで、源田選手が骨折して欠場。そして山川選手の加害事件。不動のスタメンが欠場していて、松井稼頭央監督がかわいそうだ。確かに若手は頑張っているし、なにしろ応援している球団が不調の時ほど、真摯に応援するのが本当のファンだと思う。しかし、こうも不甲斐ない試合が続くとテレビをぶっ壊してしまう可能性が高い。今、テレビを破壊してしまうと、買い直す金もないので、意識的に試合から距離を置いている。「たかが野球の勝敗で精神を左右されるか?」と不思議に思う方もいるでしょうが、アタシはそうなんです。今季はもう、距離を置くと決めたのだ。夜、『日本対俺』のシナリオを読んで、ネットフリックスでよくわからん戦争映画を観ながら寝落ち。
某日、午前中、倅とカミさんと池袋へ。昼飯は懐かしい「シェーキーズ」へ。昔、カミさんと給料が入った時によく「シェーキーズ」の食べ放題を食っていた。パッサパサのポテトが好きだったな。今もメニューはそんなに変わっていない。ポテトも昔のままだ。ただ、減量中なので、サラダと倅が残したピザを食っただけ。ちくしょう! その後、サンシャイン水族館に行く。日曜日だったので混んでいたが、3年前に倅と来た時は、落ち着いて観察できなかったが、今回は倅も集中して観察していたので、ゆっくり観て回れてよかった。イワシとコブダイの水槽、イカの水槽、クラゲの水槽、巨大水槽がよかったなあ。マンボウは人が混んでいてあまり見れず。ビニールの膜にぶつかって動けなくて悲しいマンボウが見たかったけどしょうがねえ。倅が隣でやっていた「猛毒展」を所望したので、入ったが、これはいただけない。入場料も高かったし、残念だった。帰りに気付いたのだが、水族館の1階下には喫煙所があった! 毎回サンシャインに来ると喫煙問題が浮上するのだが、ここを知っておけば解決なり!よかった! 池袋駅の西武でお買い物して、帰る。夕方、カミさんが「サンダル欲しいんだけどどう思う?」と聞かれる。「買えば良いじゃん。いくら?」「6600円」値段を聞いた途端に、「おお?」と思う。「まあまあするな、今は在宅仕事だし、外にでないでしょ?」「は?買い物とか小学校の送り迎えで出てるし」「でも、ま、正直それだけのためにサンダルに6600円は高くねえか?」「じゃあポイントで買えば文句ないでしょ!」そんなこと言うなら最初から聞くなよ。アタシが口答えしたら「アンタの言うことなんか聞かないから。ウンコが喋ってると思ってるから」と名言が出た! アタシは喋るウンコなんですって! ウンコが喋ってたら凄いじゃないの! チクショー! ウンコに相談なんかすんな! 夜、セリフ練習で聖地霊園から東所沢コースを2時間。ウンコがセリフ練習したヨ。
某日、午前中、銀座の東映本社内試写室で岩井俊二組『キリエのうた』初号試写。関係者も10名ほどだけで、集中して観れた。上映時間が2時間58分との事だったので、途中で垂れるかもなと心配だったのだが、全く垂れずに時間を感じさせなかった。黒木華さんの芝居がサスガだったなあ。キリエが途中で聖母に見えてきて、驚いた。岩井さんはいい意味で気が狂っている。最初につないだ段階では、本編が5時間あったらしい。そのバージョンも観てみたい。お客さんが入ってほしいなあ。そのまま大泉に向かう。ブックオフでデレク・シアンフランス監督『ブルーバレンタイン』のDVDを買う。大泉東映の俳優センターで白石和彌組『十一人の賊軍』衣装かつら合わせ。キャスティングの田端さんや白石さんとヤーヤーする。撮影は池田さんだし照明は舘野さんで、「どうもどうも」する。初のかつら合わせで、かつらの中の金板を叩き、アタシの頭の形に合わせてくれる。初めてみたので興味津々。わからない事だらけだったので、いちいち質問していたら、衣装さんやメイクさんに面白がられて衣装も色々出してもらう。なんだか嬉しかった。ここからさらに減量して、撮影に備える。白石さんもだいぶ痩せたらしく「コロリの百姓役で出ようと思っているんだ」と言うから「記念に出た方がいいっすよ、せっかく痩せたんだから」とお互いを高め合う。高めてんのか? 撮影が楽しみで仕方ない。最後に白石さんに「三途は最後まで生き残ってもイイんじゃないかな?」とかましたら笑っていた。もう少し減量する。夜、赤堀さんのセリフ練習で、聖地霊園コースを2時間歩く。
某日、朝、倅を学校に送って、そのまま府中へ。多摩川沿いをセリフ練習しながら歩く。3場と4場の手こずりそうな所を集中的に練習して、登戸往復コースで4時間。日差しが強く真っ赤に焼ける。気温も35度で、途中フラフラしてしまう。コンビニで凍らせたペットボトルのお茶を買って飲む。水を足して飲むとちょうど良い。いくら水分を取っても汗で出てしまう。ユルっと入ったところで、帰る。夕方、小学校で担任の先生と面談。カミさんと二人で参加。倅の学校での生活を聞く。カミさんは色々心配していたようで、先生の話を聞いてちょっとは安心したみたいだ。しかし、アタシらが小学生の頃とは、学校教育そのものが全く違うんだな。教室にクーラーと扇風機が完備されていて驚いた。この小学校は我が母校だが、25年前にはクーラーなんかなかったぞ。
某日、除草仕事。朝5時起きで市川へ。水澤紳吾さんと一緒に、豪邸の草刈り仕事。本日気温38度。いや、おかしいよなこの気温。一言でいうなら地獄。灼熱地獄だ。もう、外作業ができる気温じゃない。カンボジアみたいに明け方と夕方だけ働いて、日中は昼寝するみたいなスタイルじゃないと、外作業に従事する肉体労働者は死んじゃうぞ。当たり前だが、ウソみたいに汗が出る。作業シャツが汗で粉を吹き、真っ白になる。直射日光に当たっているだけで火傷をしそう。口をきくのが難儀なほど暑い。朝イチの肩がけ草刈機を振っているだけでキッツイ。なんだったら、草刈機の持ち手が熱を持ってしまって、握っているだけでシンドイ。バッテリーも暑さですぐへたってしまう。水澤さんと二人で、作業中に500ミリのペットボトル10本を飲んだが、全くションベンが出なかった。滝口さんがクーラーボックスを用意してくれたおかげで助かった。1時間ごとに休憩を取るが、午後は頭が働かず、ヘラヘラしてしまった。ヤバイぞマジで。大概の暑さを経験してきたが、体が慣れてないこの時期にこの気温は命の危険を感じる。水澤さんとお互いを気遣いながら予定の作業を終わらせる。帰り道、西日を浴びているだけで倒れそうになった。帰って水シャワーを浴びてすぐに寝る。セリフどこじゃないな。身体中が火照ってしまい、寝返りもうてない。
某日、朝4時半起きで市川の除草作業。昨日、あまりにも暑すぎたので、30分作業を繰り上げて少しでも涼しいうちに始める。だた、本日は曇天の上、気温も30度くらい。昨日に比べたら天国みたいなもん。しかし経験豊富な水澤さんは「曇天で日が差さない時は湿気がすごいから、熱中症になりやすいから気をつけて」と教えてくれる。さすがだなあ。水澤さんと作業しながら「こんだけ土に戯れている俳優部って少ないんじゃないですか?」「まあ、なかなかいないよな」「だから俺らは百姓役が多いんですかねー」アタシはこの夏、白石組で百姓役。水澤さんも9月からH組で百姓役らしい。ちなみにアタシは真っ当な武士・サムライの役ってまだやったことがない。まあ、性に合っているな。「土いじりもできねえで、なにが俳優か!」今村昌平さんが映画学校の授業で、農業体験させていたことは正しいと思う。順調に作業も進んで、豪邸の庭もだいぶ様になってきた。夜、日記だけ書いて寝てしまう。
某日、昨日と同じく朝4時半起きで市川の除草作業。朝イチは芝生にしゃがみ込んで、間に生えてしまった雑草を手抜き。水澤さんと「オレ達ズーッとこんなことしてんな」「そーすねー」「腰と首が痛いよ」「水澤さん、オレ、この作業嫌いじゃないっす。むしろ好きっすよ」「じゃあ、マツーラにこの仕事譲るわ、世代交代だ」「水澤さん、世代交代ってほど年離れてないっすよ」なんておしゃべりしながらやる。今日は気温も32度。あの地獄な日を体験した今となっては、32度ってちょっと涼しく感じる。ショウ君のダンプに、この2日間で刈り取った雑草を積み込む。2トンダンプの荷台が一杯。仕上げで草刈機を土ごと削るようにかけて、整地と掃除をする。作業を終えて、外の水道で水浴び。これが気持ちいい。おっさん二人がチンポコプラプラさせて水浴びする姿って、日本じゃあまり見ないな。や、見たらダメなのか? そのまま水澤さんと本八幡の街をブラついて、タイ古式マッサージのお店へ。この3日間のご褒美。お店に入ると大人のおばちゃんが「うちはそう言うサービスないよ! おばちゃんしかいないから!」と確認してくる。おばちゃんだとそういうサービスってだめなのか? むしろおばちゃんだからいいんじゃないか? という疑問はあったが、そういう目的じゃなく、純粋に指圧してもらいたかったのでお願いする。アタシを担当してくれたベテランのおばちゃんは本当に技術が高く、ゴリゴリ系で気持ちよかった。何故か事あるごとにアタシの頭を撫でてくれるので、それもよかった。しかも水澤さんがおごってくれたのだ。毎度毎度ありがとうございます! 水澤さんと別れて新宿方面へ。途中本屋に寄って、森達也著『虐殺のスイッチ』を購入。しばらく読んで時間を潰す。6時に向井康介さんと落ち合い、タナダユキさんのお宅へ。タナダさんは、14年前にカミさんが保護した野良の子猫の里親になってくれたのだ。しかし、その子に癌が見つかり、久しぶりに会いに伺った。その猫「ヒルネ」は普段通り人懐っこく、みた感じは全く違和感がない。まだ特に症状が出ているわけではないそうで、よかった。タナダさんが美味い料理を振舞ってくれて、向井さんと共にご相伴にあずかる。減量中だが、お呼ばれしてお振る舞いを断るほど立派な役者じゃない。美味かったので腕白に食べてしまう。3人でワイワイやって帰る。朝早かったので帰ってすぐ寝てしまう。セリフ、やらんと。
某日、無職渡世。朝、メダカの水を換えてプランターの手入れ。メダカの稚魚がたくさんはやけてきて嬉しい。午前中は部屋の本棚の整理。棚が埋まってしまっているので、もう読まないであろう本を、段ボール箱1杯分抜き出す。こうやって整理していると、自分の本の嗜好が分かって面白い。小説以外だと極地冒険モノや「またぎ」モノが多いなあ。映画や芸能、日記文学は意識的に読んでいる。アタシは他人の本棚を観察するのが好きだ。ヒトの本棚って嗜好が丸わかりで、ちょっとエロい。一種のフェチズムなんだろう。結構バカそうな子の本棚に埴谷雄高とかがバチッと並んでいたら、それだけで見直しちゃうもんな。逆にイイと思っていたヒトでも、本棚に自己啓発系の本ばっかあったら、なんか冷めちゃう。どうでもいいか、ヒト様のことだもんな! 午後はカミさんと倅と3人で、新所沢のレッツシネパークへ。カミさんが珍しく「宮崎駿さんの新作が観たい」と言うので、『君たちはどう生きるか』を観た。全く宣伝をしないで公開を迎えた作品で、今日は公開2日目だったが、まだ空席があった。家族連れは少なく年配者が多い。そりゃそうだよな、どんな映画かわかんないから。始まってしばらくは「ああ、宮崎さんの好きな事ばっかやってるのね」「年とるとどんな偉大な監督も生死感を描くなあ」と感じていたが、段々とこれだけ好きを突き詰めるって、純粋に凄いと感心する。世界の終わりや世代間の断絶、救いのない世界に暮らさざるを得ない次の世代を描いて許される監督って、他に日本にいるだろうか? 正直、とても残酷な作品だ。そして「素晴らしいじゃない、アナタを産めるって」というセリフを聞いた時に、何故か号泣してしまった。傑作。宮崎さんの最後の作品が『風立ちぬ』ではなく『君たちはどう生きるか』で本当に良かった! 劇場を出て、涙に濡れたTシャツをカミさんに見られて「アンタはこの物語を理解できずにバカにすると思った」と言われる。「何を申すか! 大傑作だ!」と力説するが、なかなか信じてもらえなかった。夜、『日本対俺』のセリフ練習で2時間歩く。赤堀さんの書くセリフは、言い回しに節がある。それをキチンとやりたい。