某日、 内装仕事で大田原遠征。7時起床でコーヒーを落とす。朝から小雨だったが屋根かけ作業をする。垂木が腐っていたので通し直して、ポリカをかける。一人作業なので、脚立に乗って屋根に登って材料をあげに降りてってのが地味に疲れる。昼飯は昨夜の残りのもつ鍋を雑炊にして食う。これがまた美味かった。2号棟の屋根根太を延長せねばならず、その加工法をダイゴさんに習う。四苦八苦しながら木材を加工。アタシは数字が苦手で尺を追う作業が嫌いだ。もっとキチンと数学の論理的思考を身につければよかった。アタシはガキの頃「算数なんて社会に出たら使わねえだろ」と考えていたのだが、さにあらず。算数や数学は、論理的な思考を鍛えるための学問でこれは社会に出てから絶対に必要になる。おい、ガキども! 算数はしっかりやっとけよ! でも、アタシは内装屋で屋根かけの大工作業は専門外なんだけどなあ。まあ何事も勉強なり。夜飯は太田さんとダイゴさんと買い出しついでに外食。大田原の飲食店に詳しくないため、大田原在住の映画監督・渡辺紘文くんに電話してオススメを聞く。食通のナベは多くの店を教えてくれた。協議の結果、カレー屋「んNGカレー」へ。老舗のカレー屋で地元で愛されているお店。アタシは野菜カレーを辛さ3ばんでいただく。懐かしい系のドロっとカレーで美味かった。ナベがオススメするだけのことはあるお店だ。寝る前に増田俊也著『七帝柔道記2』を読む。最後の帝大戦でまた泣く。読み終わってしまい残念だ。
某日、内装仕事で大田原遠征。朝7時起床でコーヒーを落とす。朝イチはダイゴさんと母屋の引越し作業。アタシたちは煮炊き食事を母屋で行ってきたが、ここもいよいよ最後の仕上げ作業。生活スペースを3号棟に移動させる。午前中は引き続き2号棟の根太かけ。ダイゴさんに教えを請う。ダイゴさんは同い年なのだが長年大工をやっているので、なんでも教えてくれる。ああ、アタシがもうちょっと若かったら大工になりたかったなあ。昼飯はアタシの希望で「秀」へ。念願の唐揚げ定食(タレ)を食う。いやー、なかなかない唐揚げの量だった。「ゆっくり食っていると満腹中枢に追いつかれるから、とにかくスピード勝負やねん」と言う太田さんのアドバイスに従ってガツガツ食う。肉汁で口の中を火傷して、上顎の皮が剥がれたが大満足の美味さだった。レジでおばさんに「残さず食べましたか?」と聞かれて「全部食べました。美味かったです」と言ったら「お見事でした」と褒められた。午後、屋根の上に登って、軒先のビス打ち作業。ポリカが滑るし傾斜が急だったので寝そべりながらビスを打つ。中腰で作業すると滑り落ちてしまうのだ。太田さんが買った追加の波板を加工しながら貼っていく。3時の休憩時、部屋に迷い込んでいたマルハナバチを手で掴んで保護する。全く逃げずにアタシの手の中で休んでいるので、ダイゴさんと太田さんに「マルハナバチは刺さないから大丈夫ですよ。この腹が黒いのがマルハナでシマシマなのがクマンバチです」と自慢げに説明する。しかし、太田さんがスマホで調べると「マツ、これクマンバチだぞ」と驚きの事実を伝えてくれた。「ほら、腹が黒いのがクマバチで、シマシマなのがマルハナバチだよ」ええ! 逆じゃないですか! ばあちゃんにそう教わったのだが間違っていたのか! 「でも、マルハナバチもクマバチも温厚でヒトを刺す事は滅多にないし、どっちも雄蜂は針がないんだって」と、詳しく教えてくれた。アタシャ、43年間クマンバチをマルハナバチだと思って触っていたのだ。どちらも温厚なハチでよかった。体が大きなクマンバチもマルハナバチも羽音がでかいから、凶暴だと思われがちだがそうじゃねえんですぜ。優しいハチだから大切にね! 夕方までになんとか屋根かけが終了。作業後、西那須野まで送ってもらって帰る。移動読書は大町文衛『日本昆虫記』。タイムリーな読書で一気に読み終わる。
某日、朝、倅を学校に送って実家に顔を出す。伸也が戻っていて話す。本日は授業参観で、カミさんと待ち合わせ学校へ。1時間目は国語の授業。倅は相変わらず授業に集中してなくて、他の生徒より行動がワンテンポ遅い。同級生の女の子に「次は体育館行くんだよ」とか、教えてもらっていた。2時間目は体育館で1、2年生合同の遠足の練習。「猛獣狩り」というゲームの練習をしたのだが、その振り付けが可愛かった。「猛獣狩り」という勇ましい名前だが、動物の名前の文字数と同じ数の生徒とチームを作って座るゲーム。2年生の倅は仲のいい同級生とばっかチームを組むと思っていたのだが、ちゃんと1年生とも組んでいて偉いなと思った。帰ってDVDで北野武監督『ソナチネ』を観る。出演俳優が皆若い。この撮影が先日お世話になったジミーさんだと思うと感慨深いな。倅が帰ったので「桃鉄」をやる。ようやく50年の試合が終わった。その後、保育園に荷物を届けに行く。偶然、倅と同級生だった女の子たちが遊びに来ていて、倅は恥ずかしかったのか玄関にあった竹の子を折って、保育園から走り出す。アタシが呼んでも戻らず、慌てて追いかける。「どうしたんだお前?」「竹の子折っちゃったから怖くなって」「でも、ドアを開けっ放しで行ったらダメだろ、小さい子が出ちゃったら困るじゃないか。竹の子も折ったならちゃんと謝れ」倅は先生に泣いて謝っていた。倅は保育園で遊んでいくというので、アタシは帰って昼寝。カミさんから「なんで子供を置いてくるんだ!」と怒られる。夜、DVDで崔洋一監督『犬走る』を観る。この頃の邦画って勢いがあって大好きだ。岸谷五朗さんも大杉漣さんも最高であった。
某日、午前中、倅と一緒に島忠ホームズへ。母の日のプレゼントでカミさんとお袋にクオカードと入浴剤を買う。昼、倅とカミさんと実家へ。両親と伸也と一緒に、清瀬の中華屋「同心居」で飯を食う。ここはいつも行くような町中華ではなく、本格的な中華屋さん。お袋がチズちゃんと食いに行って、美味かったらしい。コース料理を頼んだのだが、出てくる料理が全部美味かった。素材の味を大切にしていて、油っぽいモノがない。むしろ薄味でとても美味かった。豚肉をパンに挟んで食うモノが絶品。チャーハンもたまらなかった。追加でカタ焼きそばと坦々麺を食う。これも絶品なり。噂に違わぬ美味い店。親父、お袋、ごちそうさまでした。帰って、倅と小学校に行って、鉄棒で前回りの練習。カミさんが「鉄棒が苦手らしい」というので、前回りを教えたがものの10分で出来るようになった。カミさんに電話すると「そんなに早く出来るわけないでしょ」と信じてくれなかった。倅はコツさえ教えたら出来るのだと思う。ただ、最初に怖がるのでできないのだ。恐怖心さえ取り除けばすぐにやれると思う。カミさんが来て、実際に前回りができるのを見て驚いていた。ただ、逆上がりはまだできない。腕の力が足りない。まあ、そのうちできるだろう。夜、溜まっていた日記を書く。ネットフリックスでJ・C・チャンダー監督『トリプル・フロンティア』を観る。
某日、内装仕事で大田原遠征。山の中のキャンプ場作りの現場。朝、太田さんの車に乗せてもらうために、浦安へ。移動中の読書は団鬼六著(発表時は黒岩松次郎名義)『大穴』。あまり期待せずに読み始めたが、のめり込んでクイクイ読む。太田さんと合流し、大田原へ。大田原は広いので市内でも車移動が大変。アタシらの現場は湯津上の山の中で、飯を食いに行くのも車で30分移動しなければならない。午前中に現場入りするが、雨が降っていて外作業は出来ず。アタシは各所のコーキングを回る。昼飯を食いに出るが、途中で材料が届いてしまい受け取りに戻らなければいけなくなる。なんだよー。濡れないとこに置いておいてくれりゃあいいのになあ。結局、コンビニでカップ麺と納豆巻きを買って食う。午後は母屋の補修左官。もう部屋内は細かい作業しか残っていないな。6時過ぎまで作業して、夕飯を食いに出る。本日は大田原在住の監督、渡辺紘文くんオススメのラーメン屋「竹風」へ。雨の移動でテンションもだだ下がりだったが、この「竹風」と出会えたことを考えたらそんな些細な事はどうでもよくなる。先に宣言させてもらおうじゃないか。「竹風」は大田原で1番のお気に入り飲食店になった。「竹風」では汁なし担々麺を特盛(麺700グラム)を頼む。もう、見るからに美味そうで太田さんの鳥葱塩ラーメンを待つことなくガッツイてしまう。メチャクチャ美味い! アタシは汁なし担々麺が大好きで、それこそ今までのトップオブ汁なし担々麺は長年変わらずに新代田の「香家」だったのだが、とうとう「香家」の汁なし担々麺の牙城を崩すお店に出会ってしまったのだ。皆さま、大田原で飯に迷った際は「竹風」の汁なし担々麺ですぞ。太田さんの鳥葱塩ラーメンも絶品だったとの事で、他のラーメンも信用できる。なべ(渡辺紘文くん)の舌の評価は確かなものなり。夜、太田さんと母屋で飲みながら大田原の飲食店事情を考察する。夜、寒くて暖房を使用。この時期で寒くなるとは予想してなかったので、着替えもTシャツのみ。後悔しながら3号棟で寝る。
某日、内装仕事で大田原遠征。朝7時に起床してコーヒーを落とす。太田さんと本日の仕事の段取りをしながら、コーヒーをすする。今日は晴れたので母屋の家具類を全部外に出して、部屋中を大掃除。こういう仕事ってクリーニング業者を入れるのが当たり前なのだが、我が社の周平さんは頑なにクリーニング屋を入れてくれない。予算や作業日程の段取りを組めないからなのかなあ。そもそもアタシも太田さんもクリーニング作業が好きじゃない。だってかったりいんだもん。でも太田さんが「マツ、やるしかないよ。オレ等しかいないんだから」と、言うのでやるしかない。アタシャ、太田さんの言う事はきくのだ。だって倅の釣り師匠だもんな。午前中は母屋のキッチンを清掃。もう数年は洗っていないであろう黒ずんだ油汚れを磨き落とす。何度も金束子でグシグシすると汚れは落ちるが、素地も痛めてしまうので力加減が難しい。作業中、マジックリン原液を作業ズボンにこぼしてしまう。しばらくするとオチンチンがヒリついてきたので、パンツ一丁で作業する。昼飯は再び、なべオススメのお蕎麦屋さん「すずや」へ。昼時をちょっと外したのにお客さんが並ぶ大繁盛。アタシは天ぷら蕎麦の中盛り(麺750グラム)を頼む。温かい蕎麦ってだいたいドンブリに入って出されるが、ここのお蕎麦は暖かい汁椀とお蕎麦が分かれているつけ麺方式。蕎麦も美味いし、さすがなべのオススメ店だ。ただ、かき揚げは別盛りで頼めばよかった。アタシは天ぷらやかき揚げは、最初からお汁に浸させているのが好きじゃない。最後までサクサクのかき揚げを食いたいから。満足してお店を出て太田さんと「なぜ大田原の飲食店はレベルが高いのか」を話し合う。結局、美味くない店は淘汰され、美味い店が残っているんじゃねえかって当たり前の結論にたどり着く。大田原の飲食店は盛りもいいし、値段も都内に比べりゃ安い。ありがてえよな。午後も大掃除。1階2階の床面を掃除して水拭き、さらにワックスがけ。太田さんと手分けしてやるがたまに太田さんが発狂して叫んでいる。「太田さん! ゴリラになってんぞ!」と言うと、叫び声が止むのだ。夕方までオッサン二人が汗だくになって仕上げる。家具を搬入して本日の作業は終わり。西那須野まで送ってもらって、帰る。移動読書は団鬼六著『大穴』。こういう遠征仕事は好きなのだが、飲食代と交通費がかかってしまうので、それが困るな。
某日、本日は倅の授業参観のため、午後出勤。午前中はカミさんと一緒に小学校へ。倅が結構楽しそうに授業をやっているので安心する。もう少子化なのだし、もっと先生の数を増やして少数の生徒に先生が複数対応するスタイルとかいいんじゃないかな。どうせこんな政治・経済の状況じゃ、出産数の増加なんて叶わないのだし、もう少数の子供を手厚く教育して質を高める方がいい気がする。まあ、そういう決断が出来ないからここまで状況が悪化してるんだろうけどさあ。午後、工房に出社。移動読書は団鬼六著『大穴』読み終える。面白かった。映画化したらどうかななんて考えたが、あとがきを読んだらすでに映画化されていた。内川清一郎監督『大穴』(1960年公開)これも観てみなきゃだな。工房で八重洲の現場の仕込み作業。ひさしぶりにごーいち(嶺豪一くん)や伊藤くんと一緒に作業する。ごーいちも俳優としての出演や監督仕事がチョコチョコ入っているようで嬉しい。ごーいちは人柄もいいし、嘘がつけないニンゲン。俳優としても現場から愛されると思う。夕方まで作業して、ごーいちと渋谷へ出る。ユーロの前でお茶。水澤紳吾さんも合流してペチャクチャしていると、たまたま三宅唱監督がやってくる。三宅くんともお喋りして、アタシと水澤さんはホルモン屋「千葉」へ。ここで福田浩之監督と合流して三人で飯を食う。「千葉」のホルモン絶品でござる! 驚いた! 福田さんの長男が中学生で「学校に映画部を作ろうと活動している」という話を聞いて、我々オジサンが「映画監督を目指す中学生男子にどんな映画をオススメするべきか」という議題で真剣に討議する。福田さんは『シックスセンス』をオススメしたそうだ。水澤さんは『少年時代』『ダウンタウンヒーローズ』を挙げた。アタシは『恐怖の報酬』『がんばっていきまっしょい』をオススメ。中学生だからちょっとはエロス的要素が必要だし、この議題は面白い。2軒目は中目のバーでさらに討議を深める。このバーで20代の女性客も議題に加わる。彼女からは『初恋』と『きみはいい子』を挙げられる。「『初恋』って三池監督の?」「いえ、違います」「じゃあ寒竹さんのフアーストラブ?」「いや、宮崎あおいさんが主演の」「塙監督の『初恋』じゃない! それ、アタシ出てたわよ!」驚いた。20代の子が中学時代に観た映画が塙監督の『初恋』ですって。残念なことに彼女はアタシのことなんか1ミリも覚えていなかったが、参加作品が少なからず若い世代に影響を与えていたことに震えた。そうかー。オッサンになるわけだ。
某日、内装仕事で工房で木工作業。通勤読書は吉村萬壱著『みんなのお墓』を読み始める。吉村ファンのアタシは、読み進めるのがもったいない。ごーいち(嶺豪一くん)と二人で什器制作。昼飯は100均でレーズンバターロールとあんぱんを買って食う。レーズンバターロール(入っているのはマーガリンだが)は半年に1回くらい食うと美味いが、ちょっとした頻度で食うと金がない頃を思い出して苦く感じてしまう。金がねえ頃はレーズンバターロールかスティックパンばっか食っていたなあ。ま、今も金があるわけじゃねえんだけどさ。木加工でテーブルソーを使うのだが、アタシはこの機会が怖い。すぐに指を飛ばされそうだ。藤田さんから正しい使い方を教わるが、それでもおっかない。夕方まで作業して、ごーいちと一緒に新宿の喫茶店「ピース」へ。東京乾電池の柴田鷹雄くんと落ち合って、『風のセールスマン』のチラシとステッカーをいただく。柴田くんもいよいよ稽古が始まって、連日柄本明さんの演出を受けている。興味あるので「どんな事言われるの?」と質問すると「考え続けろって事を教えてもらっています。稽古で芝居を固めて磨いていくんじゃなくて、その芝居も何万通りもあるやり方の中の1つでしかないから、常に試していけと」なるほどなあ。そうだよなあ。芝居のやり方なんて正解はないから常に探せってことなんだな。アタシもそう思う。芝居を固めて磨くって演出もあるだろうが、アタシは個人的にその方法だと飽きてしまう。常に変化する方が好き。途中で京都へ撮影へ向かう途中だった班長さん(山本浩司さん)も合流して、四人でワイワイする。班長さんからは『班長さんとマツーラ』の2稿目を新井さんに渡すように頼まれる。班長さんにコーヒー代を奢っていただいた。ごちそうさまでした!