某日、内装仕事で蔵前。移動読書は吉村昭著『長英逃亡 下』を読み終える。今日中に仕上げて引き渡しの追い込み現場。ただ、他の現場も追い込まれているので、作業手はアタシと伊藤くんの2人だけ。什器設置や器具付け作業をバタバタとやる。3階と4階はエアコンがつくのだが、5階はエアコンが付けられずに超暑いのだ。古いビルなので躯体に断熱材なんか入っていない。直射日光がバンバンに当たり、下のフロアの熱気と屋上の熱気がたまる5階部分は、地獄のような暑さ。働いていて汗が出なくなるとヤバいので、すぐに水分を取るが、瞬間で汗になって出てしまう。砂漠に水を流しているようなもんだ。午前中で取り付けは終わったのだが、補修左官をやらなきゃならない部分を発見。これは誤魔化せないので、昼飯を食わずに補修を行う。飯食う時間も惜しいので、急いでコンビニで昼飯買う。のり弁とお茶、コロッケパンで800円。お、こんな高いの? ま、それは我慢しよう。それよりのり弁だ。ご飯におかかのり、から揚げ、磯辺揚げ、白身フライ、コロッケが入った一見正しきのり弁。しかし気付いた。あや? 醤油がねえぞ? 白身フライにはタルタルソースがかかってるけど、コロッケと磯辺揚げは何もかけないの? なんだよ! ジャパンはそこまで貧しくなったのか! 腹立たしかったが、我慢して食う。納得いかずに味気ない磯辺揚げ食う。最後に残したコロッケを食ったら、カレーコロッケだった。フザケンナ! コロッケはプレーンコロッケじゃなきゃダメだろ。や、1万歩譲ってカレーコロッケでも良しとしよう。ならでっかく「コロッケはカレーコロッケです!」と明記すべきだろう! 頼むよ! カレーコロッケに精神を揺さぶられたが、午後もなんと作業。伊藤くんと残業してクリーニングまで終わらせて帰る。夜、最上川の小判捜索の準備。「川中から砂利を掻き出してどう岸まで上げるか」が、作戦の成否を左右する。これは川の水位で作戦が変わる。しかし、山形と秋田で豪雨予報を知る。捜索は最上川の水位が上がると厳しい。でも天候はなんともならねえしなあ。
某日、内装仕事で森下。移動読書は鈴木義昭著『桃色じかけのフィルム』。守屋文雄さん、伊藤くんと乗り込む。大工手で大吾さんと八木沢さんがいるのでアタシが手元についての什器設置。この現場は月末引き渡しなのだが、工程が遅れていて、現場がヒッチャカメッチャカだ。更に風が全く通らず高温多湿の最悪の状況。厨房屋さん、設備屋さん、塗装屋さんが狭い現場に入っていて、道具を置く場所すら難儀する。これは地獄現場だ。暑くて汗が止まらずキツイ。昼飯は守屋さんと「ニュータンタンメン」で、担々麺を食う。ずっと行ってみたかったがようやく念願がかなった。溶き卵仕立ての担々麺で、美味かった。でも、想像を超えてくるものはなくちょっと残念。午後も什器設置作業。キッチンの吊り戸を付けるが、躯体が孕んでいて水平をとるのに難儀する。ひたすらレーザーを当てて調整し、数字が苦手なアタシは四苦八苦した。夜、山形の局地的豪雨のニュースをみて、上田くんに電話。最上川の小判捜索を4日後から行う予定だったが、豪雨の被害がでかく、最上川も氾濫しているため、苦渋の決断で延期を決定。リスケを行う。せっかく捜索に協力してくれようとしていた大吾さんとプッシーに延期の連絡をする。残念だが仕方ない。山形の水害被害が大きくならないことを願う。
某日、内装仕事で工房へ。移動読書は鈴木義昭著『桃色じかけのフィルム』を読む。ピンク映画創成期の話で、本の中で知っている監督や俳優の名前が出てきてドキッとする。野上正義さん(ガミさん)が度々出てきて、ガミさんってすげえ方だったんだなと再認識。ガミさんとの共演は、城定組『デコトラ』でご一緒したのが最後だったな。定食屋の親父を演じられていたのだが、セリフが出てこなくて苦労されていた。城定さんから「マツーラと吉岡さんでセリフの隙間になんか挟んで」と耳打ちされて、吉岡睦雄さんと一緒に、ガミさんのセリフの隙間にアドリブを入れた。オッケーが出るとガミさんが「ありがとね」と言ってくれたのを覚えている。ガミさんは初めてお会いした時に(加藤義一監督の薔薇映画『兄貴と俺2』)カラミがあって、初対面でいきなりベロチューをかまされたのだ。それからピンク映画の現場でお会いするたびに優しくしてくれた。「マツーラはさ、おとなしくしちゃダメだよ」なんて言ってくれた。ガミさんの事が活字にされていて嬉しい。本日は工房で什器制作。守屋文雄さんと一緒に作る。昼飯は中華屋「和合餃子」で、汁なし担々麺の大盛り。パクチーが効いていて美味い。守屋さんと作業をしながらいろんな話をした。倅が部屋でひとり宿題をしていて「だれかいるの?」と、言うのが聞こえたから倅の部屋に行き「どした?」と聞いたら「誰かいる気がしたから」と言っていた。不思議だが、子供の頃ってそういうアンテナがあると思うって話をしたら、守屋さんも子供の頃、家の中で誰かに追われている感覚があったという。アタシはガキの頃、座敷わらしに会った話をすると、守屋さんも母親の足先に顔だけのオッサンが噛み付いているのを見たらしい。やっぱりガキの頃って、そういうアンテナがあるんだな。作業終わりで、守屋さんと帰る。明日、守屋さんの誕生日だったのでコージーコーナーでケーキを買って渡す。守屋さんからも誕生日の近いカミさんに、フィナンシェをいただいた。夜、溜まっていた日記を書こうとしたが寝てしまう。最上川、各所で氾濫水位を超えて非常に危険な状態だとニュースが流れている。支流では氾濫しているそうだし、人的被害も出ているそうだ。捜索を強行せずよかった。被害の少ないことを心から願う。
某日、朝4時半に起床。なぜだか早く目覚める。今日は仕事が休みだからゆっくり眠れるのになあ。二度寝しようと試みるが、目が冴えていて眠れず。仕方ないのでN組のセリフをさらう。カミさんが起きてきてブツブツやっているアタシを見て「なんでこんな早起きしてんだ? なんか怪しいな、出会い系でもやってんじゃねえのか?」と、朝から励ましのお言葉をいただく。午前中、回頭日記の直し作業。今月はなんだかんだバタバタしていてなかなか手が付けられなかった。月末だがようやく直しが終わって、確認のために井上さんに送信する。昼から玄関先に広げられたビニールプールで、倅とパチャパチャ遊ぶ。カミさんも加わってきて、水かけ合戦。カミさんのシャワー攻撃でびしょ濡れになったアタシを見て「おい! アンタ、想像以上にハゲてるじゃないか!」と、大笑いされる。「なんだそのみっともないアタマ!」カミさんは笑い過ぎて吐きそうになっていた。携帯の写真でハゲた頭を激写され、見せられる。うん、アタシの思っていた以上にハゲている。こりゃ、石橋蓮司さんみたいでかっこいいじゃないか。アタシが満更でもなさそうにしていたら、カミさんは「その自己肯定感の高さはなんなの? めっちゃムカつく!」と、怒っていた。午後、溜まっている日記を書かなきゃとパソコンに向かうが、いつの間にか寝ていた。夕方、倅を連れて所沢のツタヤブックスへ。倅が夏休みに読む本を購入。漫画は大量に読んでいるので、そろそろ小説デビューをさせようと企む。倅は「冒険物が読みたい」というので、学研の「10歳までに読みたい名作」シリーズ『トム・ソーヤの冒険』『十五少年漂流記』『ガリバー旅行記』を買う。これで活字に慣れて読書の面白さを知ってもらえたら嬉しい。夕方から保育園の納涼会に参加。いつの間にか手伝いをさせられて、後片付けまでやる。そして保育園のウッドデッキの補修や外庭の屋根つけを頼まれる。夜、カミさんと倅と一緒に、実家へ。哲也がお祭りのお囃子に参加するために帰っていておしゃべり。帰って日記を書く。
某日、朝、実家に行って親父と一緒に小手指の商工会祭りの準備。小手指駅前に提灯を釣る作業をする。毎年夏に行われるお祭りで、伸也が忙しいからアタシが駆り出された。商工会のオッサン達に気に入られたのか、「2日の準備も来い!」と言われる。アタシが返事をする前に、親父が「いいですよ」なんて返事してしまう。参ったなあ、こっちも予定があんのになあ。ま、仕方ねえや。昼前に作業を終わらせて、親父と狭山の洋菓子屋へ。桃を丸ごと1個使ったケーキを買って、実家へ。本日はカミさんの誕生日なので実家に集まって、みんなでピザやケーキを食う。カミさんがお袋にずーっとアタシの愚痴を言うので、「ここは俺んチだぞ!」と言ってやったが「あんたと別れてもお母さんの養子になるからアタシのウチでもある!」なんて言いやがる。「おい、あんたが養子になったら俺の兄妹になっちゃうじゃねえか! 関係がややこしくなるから、別れねえでくれ。それと、うちの実家で別れるとか言わないでくれ」って言ったが、お袋まで「そうね、早く別れて養子になればいいわ」なんて言うから呆れてしまった。夕方、倅と秋津神社のお祭りへ行く。PTAのお祭り係なので、「安全」と書かれた腕章をしていく。お囃子で弟の哲也や、倅の友人のGちゃん、Kくんも踊るので楽しみにしていた。秋津神社ではコロナ以来2日の開催だった祭りが、1日だけになったので人出がすごい。貧乏人が集まっちゃうんだな。倅とお囃子を最前列で観る。Kくんの踊りが凄かったし、Gちゃんも頑張っていた。みんなで露店をウロウロしてくじ引きやかき氷を買う。今年も秋津神社のお祭りは平和だった
某日、午前中、倅の小学校で個人面談。カミさんと2人で参加し、倅の話を聞く。帰って倅とマイクラ。倅に「夏休みの宿題をやれよ」と言うと「もうほとんど終わらせたから大丈夫だ」と言い返される。そんなにすぐ宿題って終わらせられたっけ? まあ、学校の夏休みのプールも市民プールもないから、時間が余っているのかもな。午後、倅を学童に送って、アタシは「カフェ・ド・クリエ」で日記作業と修正作業。夕方、倅を皮膚科に連れて行く。山形の水害、最上川本流の中流域や支流の川での被害が多いようだ。局地的な豪雨で相当量の降雨があり、氾濫につながった。こんな時期に再び小判探しに行っていいものだろうか? 道義的に時期をずらすべきだろうか? すごく悩む。
某日、内装仕事で森下。移動読書は伊東仁兵衛著『戦後 日本共産党私記』。なかなか読み応えがある。森下は引き渡し直前の物件で、藤田さん、守屋さん、伊藤くんと最終的な手直しとクリーニング作業。藤田さんはこの難儀現場でだいぶ疲弊していてかわいそうだ。昼飯は守屋さんオススメの350円ラーメンこと中華屋の「やまや」に行くが、休みだった。残念。並びの「福興園餃子」で、鶏肉辛子炒め定食を食う。本格的な中華屋で美味い。守屋さんの食っていたニラレバ炒めも美味そうで、ここはレベルが高いと思う。6時まで作業して工房で明日の仕込み作業。守屋さんと一緒に帰る。帰りに守屋さんのシナリオの書き方を色々と聞いてしまった。夜、某さんから珍しく電話がある。話を聞いたら「家庭にお金を入れないといけないので、俳優をやめる」という内容だった。正直、クソ驚いた。某さんはアタシの先輩で、映画俳優としてのキャリアも芝居の力もズバ抜けたものがある人だ。アタシは某さんを尊敬していたし、まさか「俳優をやめる」という選択をするとは思ってもいなかった。話を聞いていると、専業で俳優をやってきたが、最近仕事が安定せず、バイトもなかなかうまくいかず苦労していたそうだ。アタシは某さんくらいのキャリアがある方なら、しばらく休業しようが俳優としての価値が損なわれるとは思わない。だから、俳優をやめるとか休むとかって選択はどうでもよくて、それより某さんが精神的に追い詰められている感じを受けたので、そっちの方が心配だった。アタシはその事を正直に伝えた。某さんも自分がだいぶ切羽詰まっている事は理解していた。「今いろいろ考えても、極端な答えを出してしまうだろうし、一度ゆっくり寝て考えた方がいいですよ」みたいな事しか言えなかった。某さんは明日、マネージャーさんにその事を伝えるそうだ。俳優業を続けることが良いとは思っていないが、本人がまだ続けたいのに辞めざるを得ない状況はしんどいだろう。いろいろ考えてしまってあまり眠れなかった。
某日、内装仕事で蔵前。移動読書は引き続き伊東仁兵衛著『戦後 日本共産党私記』。昨夜の某さんのことを考えてしまい、眠れず。アタシは俳優業を専業にしようとか、職業俳優としてやっていこうとは思っていない。今の所、これだけは一貫して変わっていない。アタシがなぜ職業俳優という選択をしないかと言うと、仕事の選択が制限されてしまうからだ。金に苦しんでいる時に、やりたくない仕事が来たとしよう。今のアタシなら「この仕事を受けなくったって、内装仕事で食いつなぐからやんなくていいや」って断れるが、専業で俳優をやっていたら「これをやんなきゃ食えなくなるから、やるしかねえや」って受けざるを得ないだろう。もちろん「俳優を仕事にするなら、どんな仕事も受けるべきだ」という意見は正しいと思う。アタシも俳優部の後輩には「仕事は断らず、なるべく撮影現場に出た方がいいよ」と言っている。でも自分のことに関しちゃ、そうはしていない。だってそもそもアタシャ、「映画が好き」で「映画に関わる仕事がしたくて」現在に至る。「俳優をやりたくて」とか「役者として食えるようになりたい」って思いで始めた訳じゃない。一番最初は映画の脚本家になりたくてこの業界に飛び込んだ。で、「脚本家を目指すなら実際に撮影現場に出た方がいい」なんてそそのかされて、制作部に突っ込まれた。(20年前も現在も、制作部は人材不足でアタシは騙されたのだ)やったらやったで制作部の仕事が性に合っていて、現場で重宝されていた。そっから偶然が重なって、曽根晴美さんのお付きをやらせてもらって、俳優部になったのだ。俳優部になったのだって「俳優部って1番最後に撮影現場に来て、1番最初に帰っていくし、制作部よりラクそうだなー」って思った事がでかい。長々と書いてしまったが、今でも映画に関わる仕事ができるなら俳優部でなくてもいいと思っている。あれ? なんでこんな話書いてんだ? あ、俳優をやりたいなら映画も舞台もドラマも配信も広告もやるべきだけど、あたしゃ映画がやりたくて続けているから兼業で続けるって話か。まあ、そういう事だ。偉そうに書いてスミマシェン。でも、長く続けるためにはこの方法は賢いと思うんだよな。で、本日は蔵前の現場で朝イチから伊藤くんとガラ出し。2トンの平トラックに山積み。重量オーバーじゃねえかってくらい無理積みした。汗がとめどなく流れて、唇が乾いて割れた。昼飯は「あんだけ労働したんだから精をつけようじゃねえか」ってんで、トンカツ屋「かつ善」でとんかつ定食。美味かったなあ。午後は什器設置と仕上げ作業。残業して終わらせる。夜、某さんと電話。マネージャーさんと話して、廃業するのではなく、一時休業って形にするそうだ。某さんに長く続くバイトや、俳優仕事がはいるといいな。兎に角、今すぐに廃業しなくてよかった!