某月某日、内装仕事で勝どき。移動読書は長谷川四郎著『シベリア物語』読み終わる。朝からカミさんのご機嫌が斜め。うちを出る前も口を聞いてくれない。おそらく某組の撮影予備日が前から予定していた倅との化石発掘ツアーの日と被ってしまったからだろうなあ。ごーいちくん(嶺豪一くん)と補修左官や取り付け仕事をする。昼頃カミさんから「倅が家出しました」とメールが来たので電話をすると「なんで電話かけて来た」と怒られる。倅の泣き声が聞こえたので話してみると「かーかが宿題やれってしつこくて嫌になって家出した」と言う。(倅の家では裏の柳瀬川に行くこと)倅を落ち着かせて「じゃあゴリが帰ったら一緒にやろう」となだめる。カミさんはカミさんで「アンタがいない時の倅は態度が違うし、アンタは何もできないんだから口出すな! この居候!」と一方的に言われて電話を切られた。その後もカミさんのバキバキのリリックが書かれたメールが届く。アタシはアタシでちょっと残業して帰ると、いきなり「もうアンタの面倒は見ませんから。夕食が当たり前の出ると思わないで」「明日からはアンタは毎日餃子だから自分で焼け。餃子は完全栄養食だ」と御通達を受ける。アタシの夕飯はお許しが出るまで冷凍ギョーザに決まってしまった。まあ、餃子好きだからいいか。
某日、内装仕事で勝どき。移動読書は、親父からオススメされた坂本龍一著『音楽は自由にする』を読む。正直、坂本教授ってインテリで苦手意識があったのだが、読み始めたら全く印象が違って驚いた。本日は太田さんと二人で外壁作り。だが、地獄だった。外作業で、海沿いの直射を遮るものが全くに場所。しかも10月なのに季節外れの32度。木材を刻んで脚立に登るだけで汗が吹き出る。最近、涼しかったので体が暑さに慣れずひたすらに暑い。午前中、バタバタと動いたのもいけなかった。途中でクラクラしてきて、ビスを真っ直ぐ打てなくなってしまう。やー、しんどい。昼は太田さんを連れて「道楽庭」のすき身丼をいただく。メチャクチャ美味い。美味い上に具材の量が多いので、どういただいても白飯が先に無くなってしまう贅沢な丼なのだ。午後も炎天下で作業。あの不死身の太田さんが熱中症になりかけて、ふらついている。やはりこの暑さは尋常ではない。夕方までに仕上げて帰る。帰って風呂に入っても体の芯が火照っているのがわかる。カミさんが「お夕食は餃子でございます」と、本日も餃子を出してくれる。ありがたくいただく。アタシが「熱中症になりかけてるかも」と言ったら「アンタが唯一他人に誇れることって、暑い中で外作業をやっても熱中症になりにくい体質だろ。甘えたこと言ってんな」「足が臭いんだよ」と励ましてくれる。嬉しいなあ。夜も寝付けず。T組の脚本を読む。T組は日本のパンクバンドの話。アタシも初期パンクが大好きだった。「あぶらだこ」のADK盤が好きでよく聞いていた。あのCDも手元にはないのでユーチューブで聞く。やっぱかっこいいなあ。知り合いと「こけしドール」時代の「スターリン」の曲をコピーしたのを思い出す。京都の「SS」ってバンドも好きだったな。今現在、メンバーの方々は音楽をやっているのだろうか? しかしこの映画をTさんが監督するって事がいいよな。
某日、内装仕事で勝どき。昨夜は寝付けなかったので睡眠不足。眠い。移動読書は坂本龍一著『音楽は自由にする』。教授の半生を振り返ったものだが、面白かった。クイクイ読み終わった。本日は午前中は太田さん、山田さん、ごーいちくん、守屋さん、伊藤くんとみんなで仮設ハウスをバラし、鉄骨を立てる。昼飯は「天串にしおか」でカレー。もちろんおかわり自由の唐揚げを爆食いする。午後は伊藤くんと保健所対策で建てた仮壁をバラし、補修作業。工房で片付け。夜、新大久保へ。班長さん(山本浩司さん)と喫茶店でお茶をしながら近状報告。8時に「兆奎餃子」へ。ここの水餃子が抜群なのである。アタシが班長さんにおねだりして憧れの池脇千鶴さんと3人で飯を食う。初対面の池脇さんで緊張したが、色々聞けて楽しかった。や、楽しいなんておこがましいか。勉強させていただいた。結局閉店まで飲む。うう、いい時間だった。池脇さんはやはり尊敬に値する俳優だった。班長さん、有難うございました!
某日、内装仕事で工房。移動読書は小林照幸著『死の貝 日本住血吸虫症との闘い』を読み始める。本屋で興味を惹かれて手に取った本だが、いや面白いぞ。日本住血吸虫症ってなんとなく知ってはいたが、こんな大変な寄生虫がいたのかと驚いた。工房で什器制作。色々加工が難儀で、伊藤くんと試行錯誤しながらやる。午後までに収める予定だったが、現場で大きな問題が起きて、急遽出動となる。昼飯も食わずすぐに来てくれと言われたらしいが、アタシは「伊藤くんよ、腹減ったら俺は機嫌悪くなるだろ。せめてアンパン食うからちょっと待ってくれよ」と諭して、アンパンを食ってから出動。現場でイラつきながら応急処置をする。なんつーか、上手くいかない時は上手くいかない。昨日納めた現場だったのだが、仕方ねえ。なんとか収めて帰る。仕事終わりで渋谷へ移動。吉村界人くんと待ち合わせて「たるや」で飲む。界人くんとは飲もう飲もうと話しながらなかなか行けなかった。今日ようやく飲めた。界人くんが珍しく大根組の『地面師たち』を観て欲しいと言っていたので、ちゃんと観た。感想を話しているうちに、色々な馬鹿話になってしまう。途中から大津尋葵くんも交え、ワイワイやる。こうやってバカな話でワイワイできるヤツラと笑っているのが一番楽しい。アタシはこういう時間が好きだ。2軒目もワイワイやって11時に帰る。体はくたびれていたが、精神が生き返ったなあ。
某日、午前中、『あるとしか言えない。かもしれない』10回目の原稿最終直し。文字数調整と紹介文を書く。すぐに編集長の上田くんからオッケーが出て、無事脱稿。そして昼は昼寝。ちょっとだけのつもりがガッツリ寝てしまう。土曜の昼寝は体が求めているのかもしれない。ここ1年、習慣化してしまっている。夕方に起きて飯を食って、倅がゲームをしている様を眺めながらまた寝てしまう。カミさんから「どんだけ寝てんだよ! ふざけんな!」と、蹴っ飛ばされたのはなんとなく覚えていたのだが、そのまま寝続けていた。10時過ぎに目が覚めたら、体の周りをむっちゃん、たっちゃん、ちょめの3匹の猫に囲まれていた。なんだか黒魔術的儀式のようだった。たっちゃんが顔をソフトにつつくので起きたのだが、たぶん「アニさん、床で寝ちまうと体がバキバキになって後悔しますぜ」って心配してくれたのだろう。部屋に戻ってさらにベッドで寝てしまう。やらなきゃならん事があることを思い出して「このまま寝ちゃいかん!」と考えたのだが、睡魔に抵抗せずに素直に寝た自分を肯定する。後悔は明日すればいい。
某日、朝起きると「あんた、本当に病気なんじゃない? あれだけ怒られても寝続けるってサイコパス過ぎない? 病院行って来たら?」と心配された。午前中、倅を連れて「ちば映画祭」へ。嶺豪一監督の『故郷の詩』と『黙黙』の上映を観に行く。会場で太田さんやごーいちくん、飯田芳くん、今村左悶くん、足立修くんとやーやーする。午後の上映の工藤梨穂監督、佐々木詩音くん、諏訪珠理くんとも会ってちょっと話す。なんだか知り合いがたくさん来ていてワイワイやる。初のちば映画祭だったが、アットホームでいい感じ。60席の会場が満席だった。お見事! 『故郷の詩』は10年くらい前のポレポレでの上映を観ていたが、この映画がきっかけでごーいちと仲良くなったんだよなあ。久しぶりに観たが、映画は下手だしみんなの芝居も下手で笑えちゃうくらいなんだけど、でも、面白いのだ! バカバカしくて、ごーいちの誠実さ・不器用さ・愚直さがビンビン伝わってくる。うん、やっぱ面白い映画だ。倅は嘔吐シーンが大の苦手なのだが、何度も出てくる嘔吐シーンに耳を塞いでいた。「キングダムでも1回しか吐いてないのに、ごーいちくんの映画は5、6回吐いてたよ!」とプリプリしていた。『黙黙』は倅曰く「全くわからなかった」そうだ。でも、その分からないってことが大切なんだぜ! 次の上映の『裸足で鳴らしてみせろ』も観たかったが、残念なことに満席。会場を後にする。倅と飯を食って本屋で「動物のお医者さん」の再発本を買う。夕方帰って、実家へ。米を分けてもらって、倅と氷川神社のお祭りに行く。倅は相変わらず射的・くじ引き・スマートボールをやっていた。うちに帰るとカミさんが怒っている。アタシと倅の昼飯が遅かったので(連絡したのだが)夕飯を食わないとプリプリしていたのだ。まあ、腹減ってねえから仕方ねえよなあ。夜、日記を書いて寝る。