某日、内装仕事が空いたので朝、倅を小学校まで送る。倅は連休後の登校日が憂鬱のタネで、「ゴリ、3連休を無くして!」と泣いて訴えられたことがある。倅も学校を休む罪悪感があるらしく、なかなか苦労しているのだ。今日は嫌だろうけど頑張って登校した。午前中から『あるとしか言えない。かもしれない』の10回目の初稿を書く。編集長の上田くんに文字数の確認をしたら、今回は7000字に大増量してくれた。これで思い切り書ける。前回の4200字だと、どうしても書ききれない部分があって残念だったのだ。そして上田くんから「転職する」という衝撃の事実を伝えられる。や、転職自体喜ばしいことだと思うのだが、1ミリもそんなこと知らなかったので驚いた。そして連載の打診もされたのだが、この『あるとしか言えない。かもしれない』も上田くんと立ち上げた企画だし、ちょうど11月号で第二次最上川捜索編も終わるので、これを機に連載も終えることにする。1年ちょっとの期間だったが面白い経験をさせてもらえたし、紙媒体での連載という貴重な経験もできた。上田くん、ありがとうな。残り2回分、面白い文章書きますわ。で、日記をベースに初稿を書く。諸事情あって書けない事があるのでその部分をどう創作しようかで悩んだ。昼過ぎに行き詰まったので「カフェ・ド・クリエ」へ。カミさんに「金にならない執筆で喫茶店ですか。どこの大御所だよ。仕事休むくらいならスキマバイトしろ!」と怒られる。罵詈雑言を耐え、夕方までに7400字で初稿を書き終え上田くんに送信。井上さんから入電。回頭日記の情報解禁前の現場のことについて話し合う。配信作品で契約書を交わしているため、仮名で書いても問題になる可能性があるという。そりゃあそうだわな。伸也とも話し合い、公開後や制作発表後に公開することにした。
某日、内装仕事で勝どき。移動読書は大江健三郎著『動物倉庫』。初見。本読みでこの戯曲をやるのだが、アタシは本読みをする時って初見でやりたい。読み違えを含め可能性を広げたいからだ。ただ、今回は分量があったので事前にある程度読んでおくことにする。内装仕事はダイゴさんと仕上げ作業。暑さも落ち着き、現場で空調服がいらなくなったなあ。今月末の引渡し予定だが、なんとか収まりそうだ。昼飯は唐揚げ食べ放題の店「天串にしおか」でカレーライス。もちろん唐揚げを食う。店員のお兄さんがアタシとダイゴさんを見て「唐揚げたくさん揚げるから待っててねえ」と言ってくれる。期待に応えるようにたくさん唐揚げを食った。午後はタッチアップや仕上げの残作業。定時に終えて帰る。今日はカミさんが朝起きられなかったらしく(倅も珍しく朝起きなかったそうだ)倅は学校を休んだ。アタシが帰ると漢字の練習をしていた。偉いな。一緒に風呂に入りながら倅の学校の愚痴を聞く。どうやら苦手な女子がいるらしく、その子に怒られたと言う。同級生が先生の話を聞いてなかったので「お前、耳聞こえないのか?」と倅が言った事を「そう言うことは言っちゃいけない」と注意してくれたそうだ。倅は納得できなかったのだが、アタシは「本人が身体的な事を気にしているかもしれないし、身内に耳の不自由な人がいたのかもしれないから注意したんじゃねえかな?」って意見してみた。アタシも小学生の頃、同じような失敗をして学んだ。アタシの同級生のTさんの母親はろう者で、アタシの発言を注意してくれたのだ。その事は今も忘れていないし大切な事を気付かせてもらえた。倅にもその話をした。ガキの頃ってこういう大切な事を沢山学ばないといけないと思う。夜、ユーチューブでカミさんから教えてもらった『海辺の犬』という番組を観る。農家のオッサンと愛犬ララ子の日常なのだがとてもいいのだ。
某日、内装仕事で勝どき。移動読書は大江健三郎著『動物倉庫』。藤井千帆さん演出で本読みをするための課題戯曲なのだが、何度読んでも難しいなあ。芝居に関わるト書きがいちいち説明的でムムムってなる。大江センセ、俳優を信用してねえのだろうなあ。映画も演劇も脚本のト書きで「おお、やったろうじゃねえか!」ってなったり「センスねえぞ!」ってムカついたりする。あまりにも説明的にト書きを書かれると、芝居の幅が狭くなるんじゃねえかな。特に「涙を流す」とか「怒りながら」とか書かれているとハイハイってなっちゃうんだよな。正解を作らずに色々試させてくださいよ、センセ! 本日は厨房機器の搬入作業。狭いカウンターを通しておくの厨房スペースに運び入れなきゃならんのだが、なんせ空間が限られているために、冷蔵庫を寝かせたり立てたりなんとかして運ぶ。伊藤くん、藤田さん、ダイゴさん、守屋さんが集まってみんなでワイワイ言いながらやった。昼飯は魚料理の店「道楽庭」でマグロごま鉄火丼を頼む。現場のすぐ近くなのだが外見からわかりにくい店でなかなか入れなかったのだが、鉄火丼がバカ美味かった! おいおい、大当たりじゃねえか! 勝どきでは昼飯に困っていたのだが「道楽庭」があるじゃないか。すげえ美味くてお代わりしたかった。午後も鉄火丼のおかげで仕事ができた。帰りの電車内でも『動物倉庫』を読む。夜、ユーチューブで服部文祥さんのサバイバル登山モノを観る。
某日、内装仕事が空いたので、『2nd』の連載『あるとしか言えない。かもしれない』の10回目の原稿書き。今回は編集長の上田くんの配慮で文字数を増やしてくれて7000字の原稿。初稿が7400字だったので大きく刈り込む。アタシは毎回文字数がオーバーしてしまい、初稿で好きに書いて2稿から刈り込む作業になる。今回予定していた内容まで届かず、大改稿に着手するも、結局まとまらなかった。仕方ねえや。上田くんに連絡して7000字でまとめたバージョンで勘弁してもらう。藤井千帆さんと電話。大江健三郎『動物倉庫』の本読みの件を話し合う。この戯曲は難しいなあ。大江さんは劇作家じゃないから戯曲に違和感を感じる。まあ、やってみるべえ。井上さんからも入電。近々の話だがT組の話が来た。監督のご指名らしい。嬉しいなあ。某組がハマらず決まらなかったが、もし決まっていたらT組はできなかっただろう。これも縁だな。早速シナリオを読む。おお、面白い! 内容について書けないが、普通の劇映画じゃなくTさんしか監督できないだろうなって映画。テンションが上がるなあ。早速セリフを書き出して練習する。荒川良々さんから「ピラニア軍団のCDが再発されたよ。良いから聞いてみて」と教えていただいたCDが届いた。早速聞いてみると、「関さん」という曲で泣きそうになった。「有難うございます」や「その他大勢の仁義を抱いて」という曲にもグッとくる。歌が上手い訳じゃないが、なんだか胸が締め付けられるのだ。良々さん、さすがだなあ。夜、ユーネクストでサム・ライミ監督『シンプル・プラン』を途中まで観る。
某日、午前中倅を歯医者さんの定期検診に連れて行く。淵の森を通っていくが、途中でスズメバチに出会う。倅はハチと毛虫が大の苦手で悲鳴をあげていた。アタシがハチにビビらない事を尊敬されたのだが「まあ大概刺されないし、刺されてもなかなか死なないから大丈夫だ」と諭す。「どうやったら刺されない?」と尋ねられたので「しゃがんで大人しくやり過ごすのがいいらしいが、それも状況次第で運だな」と教える。刺されるも刺されないも運だ。本人の努力だけでは如何ともし難い事って、ほとんど運だと思う。「じゃあ運を良くするにはどうすりゃいいの?」って聞かれたが、そんな方法はねえよな。ありゃあみんなやってるもんな。ま、ジタバタしないで結果を受け入れるだな、と分かった風な事を言ってごまかす。歯科健診後はカミさんと合流して3人で立川へ。倅が行きたがっていた「動物カフェ」を再訪。倅はここにいたケヅメリクガメがお気に入り。餌のキャベツを購入してあげていたが、今日のリクガメはずーっと店内を歩き回っていてあまり餌を食わない。カミさんが「ノイローゼになったんじゃない」と心配するくらい店内を休みなくぐるぐる歩いていた。倅はインコを手に乗せられるコーナーで、オカメインコとシモフリインコを肩に乗せていた。インコも人の顔を覚えるらしく、倅に乗ると安心して寝てしまっている。アタシはお気に入りのフクロウやミミズク、ナマケモノを観察して満足。ここは動物も多く退屈しない。夕方うちに帰って昼寝。カミさんから「お前どんだけ寝りゃ気がすむんだ? ずっと寝てんじゃねえか」と怒られるも、眠いのだから仕方ねえや。夜、T組のセリフを当たる。ずっと書いていなかった日記に手をつける。
某日、午前中は倅とお出かけ。倅の「なぜ人間は生きているのか」「なぜ死んでしまうのか」というとても哲学的な質問を受けて答えに詰まる。倅もそんなことを考えるようになったのか。「なぜ生きているのか」の「なぜ」は、生きる目的のことだろうから「自分が好きなことを見つけて、それをやるためかもしれんなあ。ゴリは映画が好きだから映画をやってるし。でも倅が生まれてからは、倅を育てるって事が目的に入ってきたなあ」と答える。「なぜ死ぬのか」には、「人が死なないと増える一方で困っちゃうだろ? 社会制度も停滞するだろうし、なんでもそうだけど新しいことが生まれにくくなっちゃうんじゃねえかな」と答える。倅が求めていた答えと違ったらしく、ムムムって顔をしていたから「ゴリも何で生きてるかわかってないから今も探してるのかも」って付け足しておいた。午後は倅とDVDで『宝島』を観る。倅は冒険物やアドベンチャー映画が好き。夜、ユーチューブで服部文祥さんのサバイバル登山を観る。面白いなあ。
某日、内装仕事で勝どき。移動読書は大江健三郎著『動物倉庫』。本日は什器や厨房機器の搬入作業。伊藤くん、守屋さん、ダイゴさん、藤田さん、アタシの5名で次々と届く大型冷蔵庫や冷凍庫、食洗機を運び入れる。搬入だけなら楽勝なのだが、この物件はまず道路から店前まで手運びで持ってきて、狭い入り口をなんとか通すと、すぐにカウンターがあるからカウンターの中を通して、奥にある厨房に運び入れるのだ。限られた空間に通すため、冷蔵庫を縦からねかせたり横向きにしたりしてパズルのようだ。みんなで知恵を出し合ってなんとか運ぶ。1台1台大きさが違うのでその度に試行錯誤する。ここでも性格ってでるなあ。冷静に空間を図って指示を出す守屋さん・藤田さん。みんなが立ち往生すると、ダイゴさんは経験から「こうやって持ったら入りそう」と言う。アタシと伊藤くんはとにかくパワープレイで無理やり突っ込む。色々な考え方がある。昼飯は「道楽庭」ですきみ丼。かなりというか今まで食ったマグロ丼の中でもトップクラスに美味い。午後も搬入して、なんとか全部の機器を運び入れた。近くのマリーナの現場に応援に行く。久しぶりに太田さんと会ってヤーヤーする。現場が違うとなかなか会えない。仕事終わりで浜田山へ。浜田山会館で藤井千帆さん、柴田鷹雄くん、鈴木麻美さんと4人で大江健三郎の戯曲『動物倉庫』を本読みする。藤井さんの企画で「どんな感じか聞いてみたい」と本読みをすることに。何度も読んでみたが、声に出して読んでみて初めて気付くことが多々あって驚いた。やー、やっぱり声に出して読まないとダメだなあ。柴田くんはあえて初見で読んでいたのだが、上手いなあ。上手いというか聞き入ってしまうのだ。4人で毎回違う役を読み、通して3回やる。藤井さんや柴田くん、鈴木さんもそれぞれ味があって面白かったなあ。映画で本読みをやるのは大嫌いだけど、こうやって特に発表の場がなくても読んでみることは発見がある。このメンツだったら定期的にやってみるのもいい勉強になりそうだ。帰りにみんなで飲みたかったが、時間が遅かったので素直に帰る。