映画の撮影から公開までの時間差が大体1年くらいだという算段のもと、1年前の日記を連載していくスタイルを編み出したとほほオジサンの浪子回頭日記でしたが、それさえもハマらなくなって参りました。公開までの時間が1年以上かかる映画や配信作品が増えてきたのです。特に配信作品は発表まで時間をかけてやられております。情報解禁前の作品や公開前でネダバレ的記述を含む日記に関しては、後日掲載とさせてくださいませ。後日って書きましたが具体的に決まったら追って沙汰する次第です。すみません!
某月某日、無職渡世。朝、倅を小学校に送って実家に寄り、じいちゃんをデイケアのお迎えに送り出して帰る。K組と白石組のセリフを念仏して、3時間歩く。まだ『G』には手がつけられない。午後、下北沢へ。本日千秋楽の『日本対俺 赤堀雅秋一人芝居』の物販手伝いへ。楽日だからか、早い時間からスズナリの前に当日券を求めた列ができていた。本日のゲストは永山瑛太くん。瑛太くんとは『福田村事件』の撮影現場以来。ヤーヤーしてしまう。喉も身体もボロボロな赤堀さんだが「今日で最後だから」と自らに鞭打っていた。物販は水澤紳吾さんがお休みで、荒川良々さんが手伝ってくれる。やっぱり良々さんがいるだけで売れ行きが違うなあ。飛び込みで丸山隆平くんも手伝ってくれた。アタシも最終日なので気合を入れて口上を述べる。開演すると赤堀さんは今日もアクセルをベタ踏みで「声が飛ぼうが関係ねえ!」って全力芝居。決して安全運転しないその様に感動してしまう。「無敵の男」を演じている時に歌う姿を見て、不覚にも泣きそうになった。ガラッガラの飛びまくる声でも懸命に歌っている姿が美しかった。モニターを観ていた八嶋智人さんも「声出てねえじゃん、でもカッコいいな!」とつぶやいていた。最終幕まで赤堀さんは見事にやり通した。瑛太くんの発案で、カーテンコールで八嶋さん、良々さんそしてアタシも舞台に立って頭を下げた。いやー、本当に面白い舞台だった。この作品に関われて、赤堀さんの姿を観れた事は本当に財産になる。ありがとうございました! 「福島屋」に移動して打ち上げ。赤堀さん、良々さん、瑛太くん、丸山くん、八嶋さん、大根さん、山下さん、高橋努さんが参加。更に水澤さんも乾杯に来る! 無事に完走した赤堀さんを褒め称えるワケでもなく、いつも通りワイワイやる。ああ、この場の会話を書きたいけど、幕内の話なので残念!
某日、無職渡世。朝、倅を小学校まで送って「カフェ・ド・クリエ」へ。シナリオを読んで、『2nd』の下書き作業。埋蔵金の資料をあたったり、興味が湧いたことを調べる。だが、なんとなく鼻水が止まらず、体調悪し。下書きもあまり進ます。午後、大泉東映で城定秀夫組『嗤う蟲』の初号試写。完成稿では『村八分』というタイトルだったが、改題したそうだ。久しぶりの城定組だったし、気合を入れたのだが何しろ自分の芝居のアラばかり見えて、頭を抱えてしまう。映画自体はジャンルにとらわれない面白い映画だったが、何しろアタシの芝居がなあ。「あそこはコウするべきだった」と考えてしまい悔しい。でも、映画が面白いからとにかく上映時の反応が楽しみ。終映後、城定さんとおしゃべりして別れる。駒澤大学へ移動して、我が事務所のメンツが集まり撮影している、『大橋トリオ』のMV撮影へ。村上淳さん、テイ龍進さん、大西信満さん、ほか若手が集まってやっていた。撮影趣旨を何も理解しないまま、飲み食いする。外でタバコを吸っていたら、岡部尚たんに声をかけられて立ち話。そこに山田キヌヲさんも偶然通りかかって、おしゃべりする。おそるべし、駒沢! だって駒沢には「犬の手作りご飯屋さん」まであるんだぜ?! すげえよなあ。秋津と比べちゃいけねえけど、暮らしのレベルが違うわな。いつの間にか撮影も終わり、大西さんを頭に「もうちょい飲むか」となって、2軒目に向かう。その途中、再び尚たんから連絡があって、アタシは尚たんとおしゃべり。河井青葉さんも合流しておしゃべる。尚たんに駅まで送ってもらって、なんの疑問も持たずに電車に乗ってしまう。乗って、しばらくして「大西さん達と飲むんだった!」と思い出したが、もう遅い。岡部ひろきくんに事情を話して、そのまま帰宅。大西さん、すみませんでした! センパイと約束してたのに、シラバックレて帰っちゃうんだもんな。我ながら自分に驚きますよ! 夜、半藤一利著『昭和史残日録』読み終える。面白く、一気読み。
某日、無職渡世。朝から咳と鼻水が止まらない。朝起きて、タバコを吸うが咳き込んで全く吸えず。こりゃあ、風邪ひいてしまったな。タバコはアタシにとって健康の判断基準。タバコが美味しく吸えなかったら体調が悪い。こういう時は寝るに限る。カミさんは相変わらず無視モードで、倅の送り迎えもやらせてもらえない。仕方ねえ、午後3時まで寝込む。夕方、新宿御苑にある制作会社マッチポイントへ。早めに着いたので根岸さんとおしゃべりし、事務所にある根岸蔵書の中から、田村志津枝著『非情城市の人びと』、笠井潔著『テロルとゴジラ』、斎藤美奈子著『出世と恋愛』をいただく。根岸さんからは定期的に蔵書を強奪させていただいているのだ。ありがとうございます! 笠井さんの本はちょうど『ユートピアの冒険』を読んでみたいと思っていたところだったのでありがたい。その後、根岸さん、森重さんと三人で「向井さんの結婚お祝い会」の打ち合わせをする。開催日が近付き参加者の出欠連絡が集まってきた。参加者が100名を越えそうで、安心する。そして会の具体的な討議へ。と、言っても映画に関する感想や裏話をしながら、ワイワイとやっていく。具体的に煮詰めて、判断を下す早さはさすが映画界でプロデューサーとしてやってきた方々だけあるな。根岸さんは音楽と本に詳しいインテリなオジサンだし、森重さんは強面だが現場叩き上げの面白いオジサンという認識だったが、ヤる時ゃヤるオジサンなのよ! なーんも役に立たずチンポコばっか勃ててるアタシとは大違いなり! 打ち合わせが終わって、森重さんに蕎麦を食わせてもらい、バー「猫目」に連れて行ってもらう。ここで「向井会」の幹事、小学館の飯田さんを紹介してもらう。美術評論家の山下さんもいらっしゃり、会の進行について話す。飯田さんは映画をたくさん観られていて映画話でもワイワイと。森重さんとひょんなことから『真剣師・小池重明』の話になり、色々と相談する。森重さんの現場話ってすげえ面白いから、聞いていてあっという間に時間が過ぎる。11時過ぎにお開きになって、西武新宿線で帰ろうとしたら、全く持ち金がない。財布をうちに忘れて、小銭入れに入っていた残金で行きの分の切符は買えたのだが、帰りの電車賃がなかったのだ! さっきまで「森繁さんに千円借りよう」って思っていたのに、おしゃべりに夢中になってしまい借りるのを忘れてしまった。仕方ないので駅員さんに事情を話すと、「本当はダメですけど、今回は特別に」って、所沢までの特別切符を出してくれた。所沢駅の駅員さんに再び事情を話して、明日の朝、返金すると約束して帰る。ああ、助かった! 人様の善意でなんとか生きてる42歳のオッサンでございます。
某日、無職渡世。朝からカミさんの無視モードは続いている。なるべく家にいない方がいいので、所沢駅に昨日の借金を払い、「ドトール」で日記を書く。諸々終わらせて「ドトール」を出て帰るつもりが、ついつい駅前のツタヤブックスに寄ってしまう。今月もやりくりがキビチイので、本は買わず見るだけのつもりだったが、ケンケンの本を発見してしまい思わず手に取る。市川右近著『右近vs8人 アーティスト対談集』。中身をパラパラやると、ケンケンが現代美術家8人と対談する企画。なんだか面白そう! 知り合いでも本に関しては、面白いと思わずに買う事はない。これは純粋に読みたいと思った。気付くと高野秀行著『トルコ怪獣記』も手にしていて、購入。正午、K組『S』の天候判断が出て、本日気仙沼に前乗りが決まる。午後、学校から帰ってきた倅と宿題をやって、そのまま気仙沼へ。大宮から新幹線で一ノ瀬、そこから気仙沼線で終点は気仙沼まで。移動読書で早速、高野秀行著『トルコ怪獣記』を一気に読んでしまう。オモチロイ。気仙沼に向かう電車では、もう暗くなってしまい景色が見えず残念。気仙沼からホテルに入る。コンビニでカレー味のカップラーメンと昆布のおにぎりを購入。部屋で食す。先にカレーラーメンの麺だけ食って、残り汁にオニギリをぶっ込んで食うのがなんとも言えぬ背徳感で美味いのだ。減量が続いていたのでホントに久しぶりに食って、こんな美味いモノがあるのかとひとり感動する。シナリオを読み返しながら寝る。
某日、K組『S』撮影で気仙沼。この日の日記は未発表映画の内容に関わる記述がありますため、後日の公開とさせてくださいませ。
某日、白石和彌組『十一人の賊軍』撮影で鋸南のメインセット。この日の日記は公開前の『十一人の賊軍』の内容に関わる記述があるため、公開後2024年11月1日以降の公開にさせてくださいませ。申し訳ありません。『十一人の賊軍』、ぜひ映画館で観てくださいませ。アタシは凄腕剣士で百二十人斬りをしております。
某日、無職渡世。昨夜帰宅後に、『2nd』で連載する『あるとしか言えない。かもしれない』(ウエダくんが命名した正式タイトル)の第1回原稿の最終的な直しをして送る。上田くんは編集長に出世したそうだ。上田くん、おめでとう! 原稿は2248字。だいたいこれくらいの量がマックスになりそうだ。寺西晃さんのイラストもカッコよくて、嬉しくなってしまう。本日は、午前中から倅と立川で、「妖怪盆踊り」に参加する。昼から焼きそばを食ったり、アイスを頬張ったり、妖怪コスプレをした人々と交流したり、ウロウロする。倅はキョンシーのコスプレをして、射的やくじ引きを楽しんでいた。BB弾の鉄砲が当たったのが嬉しかったらしく、帰って遊びたがる。が、それを宥めて、「たましん美術館」で『五美大版画教員展 版の実験場~プリントアートの現在地~』を鑑賞。アタシは版画が好きなので、興味があったのだ。倅も結構熱心に見ていて安心した。こういう作品に触れるだけでも、子供には色々刺激になると思う。ある作品を見た倅が「これはかーかだったら捨てちゃうな」と言っていたのが面白かった。意図的に千切られてクシャッとされた紙に印刷した作品で、確かに部屋に転がっていたらカミさんが捨ててしまうだろう。うちに帰るとまだカミさんの無視は続いている。アタシは不貞腐れて昼寝。夕飯もないので、勝手に食べる。カミさんの無視モードが早く終わることを心から願う。夜、岩谷健司さんから電話。岩谷さんは赤堀さんの舞台で流れた短編が痛く気に入ってくれたそうで、あれを長編化してくれ! との話でした。嬉しいけど、アタシャそんな権限ないっすよー。深夜、ハマスのイスラエル攻撃を知る。今回は大規模な攻勢で、ハマスの兵士がイスラエルに侵攻。多数の死傷者が出ているらしい。パレスチナ、特にガザ地区を思うと心配で不安になる。どこで刀を収めるのか? どこが仲介に入るのか? 早期の停戦を願う。