某日、明け方帰ると玄関の内鍵が閉められていて、ドアが開けられない。30分くらいガチャガチャやったら、カミさんがメチャクチャ不機嫌な顔で降りてきて「こんな時間に起こすな」と怒られる。アタシは抜かりなく連絡したし、仕事なのになあ。猫だけは優しく迎えてくれて久しぶりに一緒に寝る。11時に起床。角川大映スタジオへ。K組『G』衣小合わせ。久しぶりにK監督はじめ、Gクルーに会う。メイク望月さん、衣装部モモさんは引き続きだが、撮影部・照明部さんは入れ替わり。そりゃそうだ。いつもの池田さんと舘野さんは、只今絶賛白石組で一緒だもんな。しかし、今回の撮影部・渡辺寿岳さんは何度もやっているので安心。照明の水瀬さんも荒木組で一緒だった。みんなから「痩せたなあ!」「マツーラさん、クスリやってないっすよね?」と言われる。そりゃ昨年の『G』撮影時と比べたら、20キロ以上減量したもんな。衣小合わせ自体はパパっと終わらせて、喫煙所でKさんや演出部の山口くんとおしゃべり。すると学校の同級生だった相沢克人くんに会う。今、美術部さんをやっているそうだ。あらー、お互い生き抜こうな。角川スタジオを出て、稲田堤で釣具屋に寄り、豆アジ用のジグを買う。帰って『2nd』の連載用原稿を書いて提出。実家に行って、伸也と『浪子回頭日記』の打ち合わせ。夜、ここ数日分の日記を書く。寝る前にカミさんと話すと「アンタは自分の事ばっかりだな。せめてうちにいる時くらい倅と過ごしてあげなよ。いつまでも一緒にいれないんだから」と、極めて真っ当な意見を言われて、その通りだと思う。明日は4時起きだ。しかし原稿の直しをやっていたら2時過ぎまでかかってしまった。
某日、白石組『十一人の賊軍』鋸南のセットで撮影。起きたら新宿郵便局前出発の3分前。ああ、やっちまった! マネージャーの井上さんと演技事務の田口さんに連絡。とにかく新宿へ向かう。遅刻なんて何年ぶりだろうか。言い訳しますとね、携帯を修理に出していて代替機でアラームが鳴らなかったのですよ。やっちまったなあ。遅刻している時って、どエラい焦ってバカみたいになるか、妙に冷静になってパキッと行動するかの2パターンだけど、今回は冷静バージョンでした。新宿に着くと、鈴木さんの運転するロケバスが待っていてくれて、アタシが乗り込むや否や出発。申し訳ありません! 無言で神妙にしていたら、今度は強烈な眠気が襲って来て、さすがに遅刻している最中、バスの中で寝たら悪いと思って必死に耐える。現場に着くと支度班のスタッフさんや田口さん、ハルなんかにイジられる。メイクの山下さん(みどりさん)からは「仕度時間に遅れただけで、開始時間には迷惑かけてへんから気にせんとき!」と励ましてもらった。ありがたいことに支度時間に遅れはしたが、撮影開始には余裕を持って間に合った。ああ、よかった! 本日はデイシーンの撮影で、砦に到着した賊軍が、修理や補修をしているシーンを中心に撮る。丸太を運んだり水桶を運んだりする。アタシは普段内装屋でやっている作業とあまり変わらないので何の違和感もなく芝居していたが、千原せいじさんが「若い頃、西成で散々こんな事やらされて、嫌やから芸人になったのに、何で今更こんなことせなあかんの?」とボヤいているのを聞いて笑ってしまった。撮影時に何やら見慣れぬ集団が、プロデューサーの高橋くんに案内されて、現場を見学している。不思議に思っていたら、白石さんが「冲方丁さんが見学してる」と教えてくれた。どうやら今作をノベライズするそうだ。小説化の際にはアタシの役、三途が大活躍してほしいなあ。休憩中、白石さんと立ち話。今回気になっていた事を質問してみる。アタシは何度か白石組に参加させてもらっているのだが、今までは白石さんに「マツーラ!」と呼ばれていた気がしたのだが、今回は必ず「マツーラくん」とか「マツーラさん」と呼ばれて、なんだか距離ができたように感じてしまい気になっていたのだ。「白石さん、今まで通りマツーラって呼んでもらえませんか? なんか気持ち悪くて」「いや、マツーラって呼び捨てで呼んだ事ないよ! 必ず「さん」か「くん」を付けるようにしてるから」「えー? そうでしたっけ?!」白石さんは誰を呼ぶときでも、昔から必ず「さん」か「くん」を付けるようにしてきたそうだ。それは昨今のコンプライアンス的考えではなく、仕事相手に敬意を持って対する白石さんの矜持なんだろう。いや、アタシの勘違いでした。大変失礼いたしました! アタシの勘違いといえば、白石さんの「スタート」の掛け声も、「よおーい、ハイ!」だと思っていたが、デビュー時から一貫して「よーい、スタート」だと教えてもらった。なんだかなあ。なにひとつまともに記憶してねえじゃないのさ。ダメなおっさんだ! 撮影現場は夕暮れとともに本隊がバタバタしだして、予定シーンを撮り終わらせようと頑張ったが、日没で試合終了。1、2カット残してしまった。残念! 夜、プロデューサーの紀伊さん、高橋くん、野田さん、白石さんに誘われて、「ノン」という出来たばかりのお店で飲む。俳優部は山田くんと松尾さんとアタシが参加。途中で野村周平くんと演出部の野村愛ちゃん、撮影部の池田さんと鈴木さんが合流。今回の撮影ではじめて監督と飲んだ。皆、ラグビーの日本代表戦を観ながらいい感じでざっくばらんに話す。明日からナイター撮影が続き、「ナイターシフト」という夜型生活に移行する為、今日は気遣いなく飲めたのだと思う。こういう機会がたくさんあるといいな。俳優部だけじゃなくて全てのスタッフさんと交流できたらいいのになあ。しかし、遅刻した日に監督と飲むなんて、どういう神経してんだろうな! アタシはアタシが理解できず、怖くなってしまう。山田宿舎に戻って、野村くん、松尾さん、山田くんと更に飲む。この4名は偶然にも釣りが好きで、野村くんに至っては昨夜わざわざ自宅に帰って釣り具を揃えて、鋸南に合流した猛者。明日の釣り行の予定を決めて朝方寝る。
某日、白石組『十一人の賊軍』鋸南のセットでナイター撮影。朝8時起床。山田くん、松尾さん、野村くんと4人で保田港へ行き、釣り。山田くんはサビキ釣り。野村くん、松尾さんはシーバス狙いのルアーを投げる。アタシはジグ単で色々な場所で投げる。川との合流部で上潮にのせて投げていると、2匹ワームをかじり取られたが、上げられず。アタリもわからなかった。しばらくそこのポイントに投げているとフグを釣る。え? フグってワームを齧り取れるの?? 口が鋭いから食っちゃうのか。勉強になりました。湾の防波堤から投げると、小魚が寄るが食わない。なんでだろうなあ? しかし本日は台風一過で天気が良くて、気持ちがいい。海水もだいぶ濁りが取れて透き通っていた。昼過ぎまで釣りを楽しむ。山田くんがネンブツダイで泳がせをしたが、ダメ。松尾さんとアタシもボウズ。野村くんはシーバスをバラしてボウズ。結局、誰も釣れなかった。でも、楽しいからいいのだ。大型スーパー「おどや」で買い出しをして、山田宿舎に戻る。シャワーを浴びて現場へ。本日の撮影は、初の官軍との戦いに至るシーン。吉田さんのアクション部さんが集まって、早々に殺陣の段取りをしている。出演者も増えて、支度班が大変そうだ。ナイター撮影時は、撮影開始の前に夕食のケイタリングが入る。更に24時くらいに夜食休憩も入る。今回の食事は豪華で、貧乏映画に慣れてしまったアタシなんかは「ちょっと豪華すぎないか? 予算大丈夫か?」なんていらぬ心配をしてしまう。アクションシーンが始まったら、夕食か夜食を取ることに決めていたので、今日から食事を解禁する。『賊軍』の食事は毎回美味そうで、毎日我慢することに苦痛を覚えていた。やっと食える! 今日は迷った末に夜食を選ぶ。夜食はかっぱ寿司の巻物詰め。うまかったなあ。撮影は橋周りをドタバタ駆け回る。鋸南のロケ地は夜になると夜露で地面がぬかるみ、足を取られるので大変なのだ。しかも草鞋だと踏ん張りが効かない事がある。細心の注意が必要なり。出番のない時間、ケンケンこと右近くんに歌舞伎俳優について色々教えてもらう。ケンケンは丁寧にわかりやすく教えてくれるので、気兼ねなく質問できる。歌舞伎俳優は血縁関係が入り組んでいたりするので、なかなか難しい。ちゃんと勉強せねば。明け方4時まで撮影して終了。予定シーンを1つこぼす。制作部さんが用意してくれた簡易シャワーで泥や汚れを洗い流す。これが気持ちいい。本日は山田宿舎に新たなメンツが泊まる。宿泊メンバーは、山田孝之くん、アタシ、野村周平くん、千原せいじさん、佐久本宝くん、仲野太賀くん、小柳亮太くん。満員御礼の合宿所スタイルだ。酒飲みばかりなので朝9時過ぎまでワイワイ飲んだ。飲んでいて今回の食事の話になり、せいじさんが「今回の食事、大丈夫でっか? こんなん毎日食えますか?」と言うので驚いた。せいじさんはバラエティーだともっと凄い弁当が出るので、今回の食事に面食らったそうだ。アタシ達もそれを聞いて驚いたが、皆で今回の食事がいかに恵まれているかを話す。ケイタリングだし、毎回あったかい汁物まで作ってくれる。そんな現場、映画では珍しいのだ。少なくともアタシが参加してきた映画の中では、トップクラスに食事の質が高くて感心していたので余計に驚いた。賊軍メンバーは、俳優部だけではなく、芸人さんや元力士、アイドルと様々な出自の方がいるから面白い。色々な価値観が集まって一つの作品を作っている。アタシは映画の現場に慣れてしまっているが、初めて映画に参加するフラットな目線を持った方にも、感心されるような撮影現場を作らなきゃいけない。映画の現場でもいつか「こんな美味いもん毎回食ってるんですか!」って驚かれるくらいにならなきゃなのだ。本日から寝る場所は、それぞれ好きなところに布団を敷き、雑魚寝だ。アタシの横には佐久本くんが寝た。
某日、白石組『十一人の賊軍』鋸南のセットでナイター撮影。昨夜というか、今朝床についたのが9時だったため、さすがに眠い。昼過ぎに起きてシャワーを浴びる。まだ寝ているメンツが多いので、ベランダに出てカミさんにスカイプするが、怒っているのか全く出てくれない。カミさんは、アタシが泊まりのロケだと必ず機嫌が悪くなったり体調を崩す。昨日、体調を崩して実家に泊まると連絡があったが、どうなったのだろうか? 午後になるとメイメイが起き始めて、合宿所が動き出す。アタシは午後3時半に現場入り。支度をして本日はケイタリングの夕飯をいただく。サラダスパゲッティ。美味かったなあ。今日からいよいよ官軍との戦いが始まる。が、メインでアクションするのは、小柳くんと本山力さん、そして侍方なのでアタシは草むらに伏せて隠れるカットを2つ撮ったら、本日の出番が終わりだった。夜食に「ケンタッキーのラップサンドとチキンが出る」という確実な情報を、食事担当のサクラから聞き込んでいたので、夜食前に終わったのが非常に残念だった。同時に終わった山田くんと9時頃宿舎に帰る。まだ皆は撮影しているので、山田くんと2人でベランダで飲みながらおしゃべり。山田くんが監督した短編を観せてもらう。意外にもシュールコメディーで面白くて驚いた。山田孝之といえば俳優だが、監督としても、プロデューサーとしても活躍している。しかも、現状の邦画界に強い危機感を持っていて、変化・改革の意思を持って行動している。批判を恐れずわが身を呈してやっているのだ。すげえなあ。現場単位、作品単位ではなく、もっと大きな視野を持っていて、勉強になる。山田くんと映画のよもやま話をして、短編のネタの話をする。ここ2日は睡眠時間が短めだったので、1時過ぎに寝る。「まだみんな頑張って撮影しているんだな」「正座してお迎えしたら笑えるかな?」とちょっとだけ思ったが、あっという間に寝てしまった。
某日、白石組『十一人の賊軍』ナイター撮影イン鋸南のメインセット。10時起床。朝まで撮影していた小柳くん、太賀くん、野村くんはまだ寝ていたので、1階のリビングで「向井さんのお祝い会」の案内を各人に送信する。撮影しているとそういった作業も出来ないので、昨日の終わりが早くて助かった。山田くんも起き出したので、2人でベランダに出ておしゃべり。昼前に山田くんは、来週からの宿の内見に行ってくれた。何から何まで段取りしてくれる。しかも自腹で。アタシの方が年上なのに、全く情けねえなあ。減量と合宿でなかなかうんこが出なかったが、久しぶりに排便。立派なヤツが出たのは食事のおかげだろう。午後までかかって案内送信作業を終わらせる。起きた野村くんから、「昨夜のアクションで小柳くんがちょっと怪我をした」と聞いた。本人が起きたので話を聞いたが、折れた剣先が顔に当たったそうだ。大事にならず良かった。仲野太賀くん、野村周平くん、本山力さん、田中俊介くんは、殺陣があるので撮影前から長いこと稽古していたそうだ。先日から始まった立ち回りも見事な殺陣を演じていた。練習は裏切らないな。午後4時半に現場入り。本日はアタシが初めて官軍兵を殺すシーンを撮影。自分でもどう演じるか想像がつかなかったが、実際に現場に入ってその場所に立ち、状況を理解して、自分の状態を作る。うまく集中出来た気がする。ただアクションシーンなので冷静な面もなきゃいけないのに、1回目のテストは主観が強くて周りが見えず、田中俊介くんに竹光を当てそうになって「マツーラさん、危ないっす!」と注意されてしまった。申し訳ねえ! 殺した相手が血飛沫を上げ、顔にかかるカットでは、1発勝負なのでより集中した。首を切るアクションと血飛沫を上げる装置とのタイムラグがあって(おそらくコンマ5秒とかの世界だが、集中しているので長く感じてしまうのだ)ひやっとした。更に血が吹き出したら、アタシの顔にかかるはずだったのだが外れてしまった! ここで「血飛沫を浴びに自ら動くか?」と瞬間的に迷ったが、殺された方が倒れこむ動きを取ってくれたおかげで、血飛沫の軌道が変わって、血がうまいこと顔にかかってくれた! 奇跡ですわ! 白石さんのカットがかからなかったので、そのまま芝居を続ける。視界が暗くなり、何も見えなかったが、その焦りや不安を芝居に使えた。カットがかかってもすぐにベースから「オッケー」の声がかからず、協議している雰囲気。「あら? 芝居がマズかったか?」と後悔していたら、オッケーが出る。すぐにミドリさんが目の中に入った血糊を洗い流してくれた。顔にかかった瞬間から目の前が真っ赤でよく見えなかったのは、大量の血糊が目に入ったせいだったんだな。ミドリさんが「よかったよー、男梅みたいに真っ赤っかやわ」と笑ってくれる。メイク部の皆さんより『男梅』とのあだ名をいただく。記録の中須さんにこっそり協議の理由を尋ねると、「噴射機の装置がバレたから後処理で消せるか相談していたんですー」との事で安心した。本日はしばらく出番がなさそうなので、夜食で餃子と唐揚げを食う。美味かった。夜食がしっかりしていて本当にありがたい。結局、その後は呼ばれず、4時に撮影終了。シャワーを浴びて宿舎へ帰る。ヨゴシや血糊を落とすには、専用の油や洗顔フォームを使っていたのだが、今回は本山さんのオススメで普通の石鹸を使っている。どんなクレンジング剤よりも、石鹸が一番落としやすいのだ! コレはいい勉強になった。そして制作部さんが用意してくれた簡易シャワーは本当にありがたい。アタシはヨゴシや血糊をつける機会が多いので、毎日シャワーを使わせてもらっている。サンキューです! 山田宿舎に戻って合宿メンバーと飲み、男だけなので尾篭な話で笑い合う。こういう尾篭話が面白いのって、小学生くらいから変わらねえんだよなあ。本日も盛り上がり、朝9時頃寝る。今回の撮影は、やはり俳優部のまとまりがいい。これも山田宿舎合宿のおかげなり。
某日、白石組『十一人の賊軍』鋸南のメインセットでナイター撮影。11時起床。本日で第1期の宿舎が宿替えとなるため、ゴミ処理や残ったお酒類の箱詰め引っ越し準備をやる。昼頃、自分の荷物のパッキングをする。出発時間まで、「向井さんのお祝い会」のメール作業。午後3時半、現場に出発。支度をして段取りに行くが、撮影シーンの最後の最後に出るだけだった。もしかしたら本日の予定シーンを撮り切れず、明日の予備日を使うことになるかもしれない。ここで、本音の話を。今作や大きな予算感の映画現場で、「大変ですね」ってお気遣いいただく事が多いのだが、全くそうは思わない。だって予算のある現場って、1日で20シーンの撮影がある事はないのだ! それに比べて低予算映画の場合、1日で20シーン、ひどい時はそれ以上のシーンを撮る事なんかザラにある。そうなると「アタシャ、今、何をやってるの?」って状態で、必死にそれらしきセリフを言わなきゃならんのよ。今作のように1シーンづつ時間をかけて豊かなシーンになるように探求する時間なんかないし、金がないからセリフで全てを説明する事になるので、セリフ量が異様に多くなる。そんな地獄撮影の現場に比べたら、今作は天国ヨ! アタシは散々地獄現場をやってきたから、こんな恵まれた現場で「大変だ」と感じる事はない。撮影期間やクルーの人数、映像表現の幅、出演俳優の力量、全ては予算なり。本日は第1次官軍戦の大トリ。しかし、毎日現場を回してくれていた演出部の野村愛ちゃんが体調不良で欠席。連日のナイター撮影で本隊もだいぶ疲れている。始まった時は「おそらく予備日を使うことになるだろうな」と、皆が思っていた。しかし12時を回ったあたりから、白石さん自ら現場で立ち回って、撮影を鼓舞する。すると今まで現場を覆っていた停滞感が吹き飛び、回り始める。やっぱり現場って監督次第だよ。アタシも今日は呼ばれないだろうとカツラを外してもらっていたが、12時の夜食休憩後、準備する。3時過ぎに呼ばれて、いよいよ出番。バタバタと撮影し、4時に終了。終了時は現場も混乱していて、明日の予備日を使うかどうか判断が出ていなかったが、シャワーを浴びて出てくると、予定シーンを撮り切ったから、明日は休みとの決定が出る。よかった! これでスタッフの方も休めるだろう。今日に限って白石さんが最前線で陣頭指揮を取っていたのは、撮りこぼして明日の予備日を使わないように、頑張ってくれたのだろうな。そういった気遣いができる監督なのだ。さすがだよな、白石さんは。こういう行動を取れる監督の組だと、皆がついていく。アタシも白石さんの為なら!って感化されるもん。演技事務の田口さんからハイエースに誘導されて、新宿まで帰る。流石に新宿から始発電車で帰るのはしんどかった。でも、通いのスタッフさんは毎日コレで帰ってるもんな。アタシなんかがブツブツ言っちゃあなるめえて。帰りの電車内で寝てしまい、危うく乗り過ごしそうになる。朝7時にうちに着く。
某日、朝7時に帰宅。カミさんが驚いていたが、機嫌がすこぶる悪い。1時まで寝る。起きてからカミさんと話そうとするが、取りつくシマがない。「アンタは自分の好きなことばっかやって、家事・育児を押し付けてる」まあ、そうだよなあ。空気のように無視されているが、名誉挽回を図らねばならん。白石組の後半戦の撮影も、山田くんの宿舎にお世話になろうと思っていたが、家庭のためには通いでやらなきゃだな。せっかく用意してもらっていたので申し訳ないが、キチンとお話ししよう。荷ほどきをして、倅を小学校までお迎えに行く。ちょうど雷が鳴り出し、豪雨となる。倅が雷を怖がるので、「雷が光ってから音がなるまでの時間で、落雷の距離感が分かるよ」って教える。「光ってから1秒で340メートルらしいから、10秒後になったら3・4キロ離れてるから、怖くないよ」倅も数字を出して教えたら妙に納得していた。倅は今、両前歯が抜けて、間抜けな顔で面白い。一緒にスイッチのポケモンをやる。夕方、倅と風呂に入って、アニメのポケモンを見る。一緒に宿題のひらがなの書き取りをやる。永山瑛太くんから電話。「赤堀さんと飲むから」とのお誘いだったが、流石に断る。水澤紳吾さんからも「赤堀さんが脱稿したから飲もう」とお誘いを受けるが、今日行ってしまったら確実に離婚されるだろう。赤堀雅秋さんに脱稿労いのメールを送る。夜、日記を書く。倅と過ごす時間が欲しいが、明日も岸組の衣小合わせが入っている。映画でも連れて行きたいが、どうなるか? 寝る前に読書。ピョートル・ジャンスキー著『天山紀行』を読み終わる。