某日、お盆で建築現場が休み。朝から雨。倅とカミさんに「今日も水かけ祭りに行きたい」と懇願したが「あんたそんな金ないでしょ、雨で倅が風邪引いたらどうすんだ!」と言われ渋々諦める。残念だな。今年は3年に1度の本祭だから、神輿が50基くらい出るのになあ。午前中、メダカの水換え。たまっていた日記を書きかけるが、寝てしまう。起きたら2時だった。カミさんから呆れられる。午後、ここ数日分の日記を書く。泊まりや帰りが深夜になった時は、日記を書けない。まあ、仕方ねえ。夕方、倅とマリオカート。撮影に入ったら泊まりが多くなるだろうから、一緒に過ごせる時間を大切にしたい。夜、ブルーレイでウィリアム・フリードキン監督『恐怖の報酬 完全版』を観る。フリードキンって傑作が多いのにあまり評価されていない。中古のDVDでも安く手に入る。しかし、作品はバカみたいに面白い!『恐怖の報酬』は吊り橋のシーンが有名だが、個人的にはその前のギリギリの崖を通るシーンの方が怖くて好きだ。トラックに乗ってから降り続ける豪雨もこの映画を傑作にしている理由の一つだと思う。『十一人の賊軍』でも、こういう雨を降らせてほしいなあ。更に大友克洋監督『アキラ』を観るが、途中で寝落ちする。
某日、盆休み。無職渡世。今日から倅は義兄と義父母のうちにお泊り。アタシは朝からカフェ・ド・クリエで『浪子回頭日記』の為の修正作業をする。夕方までかかって2022年9月・10月分を直す。ダヴィにメール。夜、倅がお泊まりでいないので、ネットフリックスでハン・ジュニ監督『D.P. -脱走兵追跡官-』の第2シーズンを観る。正直、話が段々デカくなり過ぎてリアルではないのだが、俳優の芝居で観れてしまう。自国の問題点を脚本に入れ込む姿勢や、第1シーズンの主役であるチョン・ヘインやク・ギョファンを脇に回し、キム・ソンギュンやソン・ソックをメインにする脚本の構成に感心した。上手いよなあ。脇役が豊かになるとグッと世界観が広がる。これは映画だと出来ない手法。ドラマで話数があるからやれる。俳優のレベルが高いから羨ましい。結局、全話通して観てしまった。
某日、盆休みで無職渡世。午前中、脚本を読む。午後、メダカの水換えをして買い物。減量して常に腹が減っていると、日本がいかに飲食店が多いか気付かされる。どこを歩いていても食い物を扱う店が目に入るし、いい臭いをプンプンさせて食い物を売っている。パン屋さんのバターの香りやテンプラ屋さんのゴマ油の香りは特にヤバい。腹が減って頭がおかしくなって殺意さえ湧く。最近、電車の中刷りで、「アメリカンビーフ」の広告が出ている。肉がたくさん挟まれたクソ美味そうなハンバーガーの写真が、いくつも掲載されているのだ。見ちゃいけない! って自分でもわかっているけど、どうしても眺めてしまう。チクショー! 白石組が終わったら、ハンバーガーと天丼とカツ丼とコロッケと餃子を吐くまで食ってやる! 夜、ネットフリックスでジェイミー・ペイン監督『刑事ジョン・ルーサー フォールン・サン』を観る。
某日、内装仕事で館山遠征。しばらく撮影が続くので、夏の館山遠征はこれで最後かもしれない。工房に集合して、嶺豪一くんと藤田さんと三人で館山の現場に乗り込む。現場で太田さんと合流して、早速左官作業。今日明日で3階部分の左官は終わらせないといけない。下地処理をして、午後から豪一と二人で塗り始める。大きな壁は終わらせたので、明日は細かい部分を潰す。3時の一服の頃から、作業よりも釣りが気になってソワソワする。太田さんが「今日からちょうど上げ潮になるから、夕方と明日の朝は釣れるぞ」と言ったのが聞こえてしまい、もう我慢できなくなった。「太田さん、今日も釣り行きましょう!」「じゃあ5時に終われるようにがんばれ!」アタシ、必死でやりました。夕方、キッチリ終わらせて、皆で桟橋に繰り出す。豪一と藤田さんは初めての海釣りで、サビキ釣り。アタシは太田さんの指導でワームを使ってアジ釣りに挑戦。サビキの二人はバカみたいにバタバタ釣る。小イワシと小アジがバンバン上がる。この辺でアジが大量にかかるのは珍しいらしい。キャッキャする二人を尻目に、何度もキャストするがアタリすらない。ムムム、ルアー釣りって難しいな! それでも竿を出しているだけでメチャクチャ楽しい。日が沈み切るとサビキ組も釣れなくなった。太田さんが海面をライトで照らすと、無数のクラゲが漂っていた。「クラゲが出たら釣れないわ」との事で本日終了。釣った魚を食べたいので、ダメもとで中華屋「正龍」に持って行き、頼んだら見事なフライにしてくれた。生まれて初めて釣りたての魚をフライで食ったが、アジもイワシも身がフワッフワでメレンゲみたいで、驚いた! こんな柔らかくて美味いのか! みんな感動しながら食った。釣りたてってスゲエな。夕飯で冷やし坦々麺もいただく。これも美味い。「正龍」は何を食っても美味いのだ。明日の朝も竿を出す約束をして、早めに寝る。すべては釣りのためなのだ!
某日、内装仕事で館山遠征。朝5時に起床し、皆を叩き起こして、「館山港」の防波堤へ釣りに行く。もう釣りの事しか考えられず、起床アラームが鳴る前に起きてしまった。釣りってヤベエな。竿を出していると幸せな脳汁が分泌されているんじゃねえか? 何も考えず夢中になれる事ってこの年齢になると少ない気がする。昨日に引き続き、ワームとルアーで挑戦。豪一と藤田さんのサビキ釣り組は、朝イチから小アジを上げている。餌を撒く度にバチャバシャと小アジが食いついていた。アタシは無心でワームを放るが、愛用の安竿は硬くてラインも太いので、アタリが取れない。やっぱり道具って大事なんだよ。それでもキャストする度に幸せ脳汁が分泌されてしまう。海中でワームがどう動いて、アジがどう食いつくかを想像するとワクワクする。あっという間に日が昇って、7時半に竿を収める。サビキ組が小アジを15匹上げたので、太田さんがサバいてくれて、刺身で食う。美味えなあ! なんでこんなに美味えんだろうか。現場に乗り込み、左官作業の続き。8時からバンバン塗る。普段は朝からこんなに動かないが、早朝釣りで身体があったまっているからトップギアで左官できた。ただ、1日がとても長く感じる。昼過ぎには感覚的に、もう夕方5時くらいの疲労感だった。予定通り3階部分の左官を終わらせる。そして夕方に東京に戻る予定だったが、「アクアラインの渋滞始まってる時間だな」なんて言い訳して、再び皆で「館山港」に釣りに行く。こりゃあビョーキだよ。サビキ組は今回も小アジをバンバン上げる。アタシはワームでパチャパチャやって脳汁を分泌する。ルアー釣り師匠の太田さんが「マツ、本気でやるなら中古でいいから竿とルアー買ったら?」なんて言ってくる。「道具揃えたら500倍楽しくなるぞ」なんて言いやがる! 確かにこれからしばらく白石組の撮影で、鋸南合宿だ。鋸南には漁港や釣りスポットが多数あるらしい。出番がない日を釣りして過ごすなんて最高じゃないの! でも、釣り道具を買うカネをどう算段するか、、、。そんなことを考えながらキャストしていたら、もう日が沈みきって真っ暗になっていた。ああ、竿とルアーを買ってアジ釣りをしたい! 東京戻りの車中、我慢できなくなって東京の釣り師匠・川瀬陽太おじさんに相談する。「マツーラ、1万用意して中古で道具揃えたら? 一緒に選んでやるよ」なんて空気を入れられ、その気になってしまった。さあ、ゼニの算段だ。ゼニさえ算段すりゃあ、幸せ釣りライフが待っている! 道具を揃えてキャストする自分の姿を想像したら、もうその事しか考えられなくなった。倅にゼニを借りるか? や、そんなことしたら確実にカミさんにバレて怒られる。帰省中の哲也に借りようか? でも、哲也は明日誕生日だよな? プレゼントもあげてないのに、借金を申し込む兄貴ってヤバいよな? うう、カネが欲しい!
某日、昨夜は帰ってから、堤防でのルアー釣りについて調べてしまい、ほとんど寝ていない。アジにはアジ用の道具が、イカにはイカ用の道具がある。そんな事も知らない初心者なので、調べる事がたくさんあって時間が足りないの。完全に中毒者の所業なり! ゼニの算段だが、部屋中を引っくり返してカネを捜索していたら、台湾撮影時に使っていた財布の中に、奇跡的に残された1万円札を発見した! スゲえぞ、当時のアタシ! こんな時の為に残していたんだね! 100均の財布の中に入っていたシワクチャな1万円札を見つけた時、夜中だったがちょっと雄叫びをあげてしまった。これで中古の道具を揃えて幸せ釣りライフが出来る! なので、全く寝ていなくても機嫌がいいのだ。でも、カミさんはそんなアタシの変化を目敏く見抜くので、細心の注意を払って日常を過ごさねばならない。あえて疲れてかったるそうに起きた芝居をする。ウチの中でも芝居をして過ごすなんて、俳優の鏡だね! 朝、倅を連れて実家へ。哲也と倅と3人で『大友克洋全集 AKIRAセル画展』を観る為、池袋へ向かう。伝説的アニメーション『アキラ』のセル画や演出コンテ、カット割表などが展示されていて、アニメ制作当時の大友さん直筆の直しや色指定をみて、興奮してしまった。大友克洋さんの漫画やアニメからは多大な影響を受けている。アタシも哲也もキャッキャしていたが、倅は鉄男の化け物姿を見て怖がってしまった。そうだよなあ、小学1年生にゃ早かったか。昼食に中華屋『蘭蘭』で刀削麺を食う。哲也に名物の黒酢酢豚を蒸しパンで挟んで食わせたかったのだが、昼はランチメニューだけだった。残念。伊賀に帰る哲也をお見送りして、倅と中古釣具屋『タックルベリー』へ行く。店内の様々なルアーを見ているだけでテンションが上がってしまう。倅も興味を持ったらしく、エビ型ルアーを見て笑っていた。そうだ、倅も巻き込んで趣味にしちゃえば、家庭行事として堂々と釣り行ができるんじゃねえか! 我ながら冴えた発想に惚れ惚れしてしまう。というわけで、倅を釣り好きに洗脳する為、色々付け焼き刃の知識を披露する。倅は将来「マグロ漁師」になりたいそうで、その為に釣りの修行が必要だぞ!と言いくるめる。夜、DVDでキム・ギドク監督『悪い男』を流し見。寝る前に、アジのワーム釣りについて研究。