某日、内装仕事で清澄白河。もう居住されている住宅の部分解体。シャワーユニットを入れ替えるために、天井を解体してスペースを作る。天井ボードを剥いだら、吹き付けの断熱材に覆われた鉄骨がある。天高を確保するために、断熱材を剥いで鉄骨を現さないといけない。ただ、断熱材が××だった。朝からウンザリ。マスクとゴーグル、ヤッケを着て完全防塵して(居住住宅だったので靴下を脱いで裸足だった)4尺脚立の上で断熱材をこそぎ取る。スクレーパーを使ってやり始めだが、鉄骨のボルトに当たってやりにくい。結局カワスキを使う。伊藤くんが掃除機で粉塵を吸ってくれるのだが、ゴーグルは曇るし、粉塵で(陽に当たるとキラキラしてとても綺麗なのだ)部屋内が真っ白になるし、視界が極めて悪い。一区切りして脚立を降りた時、右足でスクレーパーを踏みつけてしまった。体重が乗った瞬間に「あ!やった!」と思う。右足親指の腹をざっくり深々とやってしまい、皮と肉がぺろりんちょしている。大量に出血。イトウくんがトイレットペーパーを持ってきてくれて、切口を養生テープでグルグルまきにして止血する。作業が残っていたので終わらせて、工房に帰って傷を消毒する。作業現場の仮床が血だらけになった様を見て、伊藤くんが「殺人現場みたいです」ってぼやきながら掃除をしてくれていて、申し訳なかったな。工房で傷パワーパッドをもらって巻いておく。夕方まで作業したが、なかなか血が止まらなかった。仕事終わりで新宿へ。佐藤五郎さんに差し入れを持って、新宿の東西をつなぐ半地下のトンネルを訪れる。ちょうど五郎さんがいて、抱き合う。ホームレス生活を始めて2週間。思いの外、元気そうで安心した。五郎さんから日々の生活を聞き、面白くて大笑いする。食糧は配給や炊き出しがあり、不自由していないそうだ。衣料品や医療薬も困らないし、区役所で洗濯もできるらしい。「マツーラくん、日本はセーフティネットがしっかりしてるよ!」五郎さんが力強く言っていた。東西通路はお布施もけっこうあるそうで、今の所、生きていく上で困っていないそうだ。そして、「倅にあげてー」と、モササウルスの歯の化石をいただいた。五郎さん、倅が恐竜化石が大好きなのを覚えてくれていた。ありがてえなあ。そうだ、話に夢中になっていてなぜ五郎さんが化石を持っていたのか聞きそびれていた。クビにヒモをぶら下げたまま生活している先輩浮浪者の大杉さんの話。酒を盗み飲むシロクマさんのモノマネ。全てが新鮮でクソ面白くて五郎さんが羨ましかった。「マツーラくん、朝起きてからの時間が長くて、参っちゃうんだよ」と五郎さんが言っていたが、やはり人間が無為に生きるって、なかなか難しいんだと思う。今の五郎さんは本物の路上生活者で、現代日本においても珍しい位置から物事を見ている。その目線の経験は絶対に今後、五郎さんの演技に反映されるし、俳優・佐藤五郎の大切な武器になるだろう。22時くらいまで五郎さんの路上観察話を聞いて、そのまま宮藤組『季節のない街』の前乗りで土浦に向かう。荒川良々さんと奥野瑛太くんから飲みのお誘いがあったのだが、到着が遅くなってしまい間に合わなかった。残念。
某日、宮藤官九郎組『季節のない街』撮影で土浦。8時ホテル発。毎回、宮藤さんの前で芝居をするのが楽しくて仕方ない。2回テスト、2回本番で、あっという間に終わってしまった。「オッケー」が出てから、もっとこうすりゃよかったと後悔する。ああ、余計なことしたなー。撮影現場で荒川良々さんや奥野瑛太くん、戌井昭人さんとも会えて嬉しい。戌井さんの芝居、楽しみだなあ。名残惜しくも現場を後にして、土浦駅にある本屋「天狼院書店」で、常盤新平著『片隅の人たち』、二代目神田山陽著『桂馬の高跳び』を購入。ここの店主さんがなかなかいい感じで、会計時に「常盤新平さんのエッセイ、面白いですよね」と話しかけられた。そうなんですよねえ。常盤さんの文章って、丁寧で面白いんですよね。なかなかいい本屋さんだ。また行こう。秋津駅でまたジャグラーの誘惑が沸き起こるが、見事に我慢して帰る。や、ただたんに金がなかっただけだ。倅が保育園を早上がりしていて、一緒に小学館版『学習まんが日本の歴史』を読む。自分が読んでいたまんが日本の歴史と、だいぶ変わっていた。歴史の新発見で考察が変わっているのだ。未来だけでなく過去も変わる。最終巻の現代史を読んだら、コロナ禍の日常が描かれていて驚いた。あと、小泉の構造改革が結構否定的に描かれていて、お、やるなあと思う。『日本の歴史』は倅と一緒に読み直そう。子供にこそ、日本の近現代史をキチンと学んでほしいよな。
某日、内装仕事で表参道。先日、奥野俊作組でのラストシーンを撮影した現場のすぐ近くだった。つい2日前はカッコいい衣装を着させてもらい、カッコいい植田さんと、ツヤっぽいシーンをやっていた場所で、今日は塗料で汚れた作業着を着て、同じような格好の守屋さんと、ひたすら室内の左官をした。しかもピンク色に着色した特殊樹脂モルタルでベッタベタになりながら。入口が仮囲いで、隙間風が寒くて、全身ピンクに染まったオッサンが、唸りながら左官している。まあ、それが現実。それでいいのだ。昼メシさえ食う場所がなくて、渋谷の宮益坂まで歩いて中華「你好」でネギチャーシュー麺。テーブルにあった焦がしネギを入れたら更に美味。夕方まで作業して、新宿の路上生活者・佐藤五郎さんに本を届けに向かう。しかし、五郎さんの寝場所というか居場所というか、とにかく新宿の東西通路には居らず、しばらく待ったが会えなかった。文庫本に手紙を挟んで、寝場所に置いてくる。そのまま宮藤組『季節のない街』の前乗りで土浦へ。夜、演出部チーフで入っている張元さんと軽く飲む。
某日、宮藤官九郎組『季節のない街』撮影で土浦。朝6時半にホテル出発。現場の廃校まで車で1時間かかる。毎日大変だな。車両部さんと話していたら「多い日は送り便で3往復します」と言う。約6時間運転している計算。凄いな。本日は池松壮亮くんと2人のシーン。ただ白菜を抱えて届けるシーンだったのだが、やりたい病が出てしまう。(スタッフの皆さんが「奥野瑛太くんの芝居が面白かったー」とか、「荒川良々さんの猫を呼ぶ芝居だけで過呼吸になった」と話してくれるのでアタシも、なんかしたい!やらなきゃ!と勝手な使命感がうまれてしまうのだ)テスト前に池松くんと話し、テストで白菜を抱えて池松くんと倒れてしまう芝居をする。宮藤さんに採用していただき、更に池松くんと打ち合わせ。より面白くなるように池松演出を受ける。池松くんは日芸の監督コース出身で、演出がうまい。2人でキャッキャしてしまう。こういう時間が1番楽しい。2度目の白菜を届けるシーンも、テンドンで、今度は倒れた時にちょっとだけボーイズラブ感を出した。本筋とは全く関係がないが、伝わる方がいたら嬉しい。そもそも編集で切られる可能性が大きいし、本編に残っているか分からないけどね!本日も撮影は午前中で終わり。常磐線で寝過ごして北千住まで行ってしまう。前回も寝過ごした。おそるべし常磐線。また揺れ具合が塩梅良くて、よく眠れるんだ。夕方前に秋津に着いたので、魔が差してジャグラーを打ってしまう。レギュラー2回引くも、ビックは来ずに3千円の負け。もうやらんぞ。アタシはもうジャグラー卒業だ!夜、ネットフリックスでハビエル・ルイス・カルデラ監督『オンブレ・デ・アクシオン 伝説のアナーキスト』観る。モデルとなったルシオ・ウルトゥビアを知らなかった。彼の本を読んでみたいが、ざっと調べても出てこなかった。
某日、朝、倅とカミさんと自転車で野口町の保育園へ。毎年恒例のお餅つき。もち米を蒸し釜で蒸して、ウスでつく。野口と秋津の園児・家族が集まって、餅をついたりバザーをしたり。倅も年長なので、今年で最後の参加になるかもしれない。餅をつくのは若い父兄の方に任せて、もっぱら声出しでやってる雰囲気を出したり、盛り上げたりする。こんなところで日ごろ鍛えたガヤ芝居が生きるとは思わなかった。帰って昼飯につきたての餅を食う。美味かったなあ。午後は倅と実家で自転車の練習。先週、乗れたと思ったら、今日は完璧に乗りこなしていて驚いた。ご褒美にスーファミで「マリオRPG」をやる。倅はアクションゲームよりRPGの方が合っているらしい。アタシもそうだった。変なところが似るんだなあ。
某日、内装仕事で清澄白河。太田さんと伊藤くんと引き渡し前の細かい仕事。珍しく太田さんが遅刻。朝からフラフラして調子が悪そう。話すと「2日前から熱が出て寝込んでたけど、今日はだいぶ楽になったから現場にきた」「熱の他は大丈夫なんですか?」「飯が食えないくらい喉が痛い」「コロナじゃないですか!」「や、コロナちゃうやろ、風邪薬飲んだら楽になったし」と、言いながら激しく咳込んでいた。いやいや、かなりの確率でコロナですって。しかし、イトウくんも周平さんも気にしていない。自分は撮影中だから気にし過ぎてるのかな?とにかく今日は作業中もずっとマスクをする。昼は久しぶり「一番星」のハムカツ定食か豚キムチ丼を食べようと思ったが、定休日だった。したらば「桃太楼」のばあちゃんに会いに行くかと向かうと、めちゃ行列していた。なぜかしら?いつもは行列なんかしないのになあ。サッカーの代表選手の実家だったりするのだろうか?残念ながら、この並びだと昼休みが終わってしまうので、「鴻利」で、ワンタンメンと半チャーハン。「鴻利」ではいつも坦々麺なのだが、正解はワンタンメンだったのだ!美味かった!なぜ今まで頼まなかったのか後悔した。夜、新宿で録音部の寒川さんと飯。去年から約束していたのだが、お互いなかなか予定が合わず行けなかった。「嵯峨野」でたらふく食う。カラオケ嵯峨野のママが手伝っていて、寒川さんの恋バナに熱いアドバイスを送ってくれた。