某日、朝、カミさんに叩き起こされて掃除。「アンタの事を呼ぶのも腹が立つから、今日から『タイミーさん』って呼ぶわ」と言われ、「タイミーさん、猫のトイレ洗って」とか「タイミーさん、2階のトイレ掃除もやってね」とコキ使われる。庭掃除までやって、午後、倅とカミさんが遊びに行ったので、溜まっていた日記を書く。夕方、倅と実家へ。伸也が帰っていたのでおしゃべり。夜、うちに帰って夕飯後、カミさんと倅と3人で押山清高監督『ルックバック』を配信で観た。三人で映画を見るのも久しぶりだな。夜、再び日記作業。そして音声ガイドの感想を下書きする。大工の山田さんが『十一人の賊軍』を観てくれた。感想が「結構早く死んじゃったね」だった。そうなんですよー。もっと生きてスクリーンで暴れたかった!
某日、朝、親父から呼び出し。実家に行くと伸也が腰を痛めてしまい、バイクで帰れないのでバイクを車に積んでくれとの事。しかし荷台に上げるまでの傾斜がない。脚立を利用したりタイヤを積んだりしたが無理。結局、バイクは諦めた。伸也、最近腰で難儀している。ちょっと痩せた方がいいだろうに。そのまま倅を連れて、所沢のTジョイで森井勇佑監督『ルート29』を観た。前作に続いて森井節がイイ。アタシは大好きな愛おしい映画だった。一緒に観た倅もジージが出てくると笑っているし、カヌーのシーンでは「死んじゃったのかな?」と心配していた。河井青葉さんの芝居場、たまらんかったなあ。こういう作品がロングランしてくれるといいのだけど。森井組で伸也が俳優デビューした。ポスターにも名前が載っていて、アタシは悔しかった。おい、俺がポスターに名前を載せてもらうまでどれだけかかったと思ってんだ! しかも綾瀬はるかさんと芝居しやがって! 映画を舐めんじゃねえ! と、思いつつも伸也が芝居している姿を見れて嬉しかった。ただ、先輩として言わしてもらうなら、あの綾瀬さんを見る目が優しすぎた。あそこは観客が不安になるくらい狂気の目をしないと。倅は映画を観た後に隣のゲーセンでツリスピをやる。アタシは3階のジュンク堂でウロウロし、中川右介著『社長たちの映画史』、伊藤正一著『黒部の山賊』、山野井泰史著『垂直の記憶』を購入。やべえな、金を使いすぎた。カミさんにばれぬ事を願う。昼飯に倅はたこ焼き、アタシは「サブウェイ」のツナサンドを買って帰る。ツナサンド、美味えなあ。ちょっと猫と戯れていたら寝てしまい、起きたら夜だった。音声ガイドの感想文を書いて提出。日記作業をする。
某日、内装仕事で工房。移動読書は山野井泰史著『垂直の記憶』。山野井さんの文章は人柄を表していて面白い。本日は工房で什器制作。シコシコ作業なり。「労働は尊い」なんて言いますが、不労所得で食っていけるならそれに越したことは無い! と、確信を持って言い切れるのであります。アタシャ木材を切り刻みながら、そんな事を考えておりました。昼飯はダイゴさんと嶺豪一くんといっしょに、トンカツ屋「いっぺこっぺ」へ。神谷さんが激推しするトンカツ屋でとんかつ定食大盛りを食う。いやー、美味い! 脂が甘いって言ったりするけど、まさにそれだった。ここは「トンカツ檍」の系列店らしい。どーりで美味いはずだ。午後はやる気を出して仕事に励む。仕事終わりで田端へ。「シネマ・チュプキ・タバタ」で呉美保監督『ぼくの生きてる、ふたつの世界』を観た。班長さん(山本浩司さん)が出ているし、呉美保監督の映画が好きだったのでずーっと観たかったが、ようやく。もう、大傑作だった。うん、アタシも父親の立場になって、物語の両親にも子供にも心情が寄ってしまい泣いてしまった。素晴らしいな。「お、この俳優誰だ?」って思ったら、奥津裕也くんだった。出てくる俳優がみなよかったし、何しろ脚本が上手いと思った。チュプキの柴田くんに「傑作だね!」と言ったらニコニコ笑っていた。アタシは班長さんに電話して感想を伝え、脚本の港岳彦さんと奥津くんにメールした。やー、この映画に出たかったなあ。本当にいい映画だった。寝る前にネットフリックスでジョン・ホルムバーグ監督『トラブル・バスター』を観た。
某日、内装仕事で清澄。いや、起きてタバコを吸いに外に出て驚く。クソ寒い! なんだよ秋、急にやる気出しちゃって! セーターとKさんから奪ったジャンパーを着たがそれでも寒い。参ったなあ。移動読書は山野井泰史著『垂直の記憶』を読み終わる。本日は伊藤くんと清澄の現場で取り付けや什器設置。この現場ももうちょいで仕上がるな。昼飯は伊藤くんと二人で「いちばん星」へ。もちろん、生姜焼き定食。最近、可愛い娘さんが店にいないのが残念。今日は我慢して大盛りにしなかった。K組で裸になるシーンも撮り終わったし、徐々に体重を戻したい。ちょっと痩せないと腰を悪くしそうだ。夕方までやって帰る。朝・晩の駅から歩く時間は、T組の方言テープを聴いてブツブツやる。夜も寒くて参った。寝る前にネットフリックスでトム・フォード監督『ノクターナル・アニマルズ』を観た。
某日、内装仕事で工房。今日気付いたのだが5時半くらいに起きて、外でタバコを吸っているとまだ暗い。6時を過ぎるとようやく空が白んでくる。もう冬だなあ。冬の早朝って空気が張り詰めていて独特の匂いがある。まだ冬の匂いを感じないが、そろそろだろうな。夜、配信で映画を観て寝るとどうしても遅くなる。朝早く起きるのでどうも寝不足。眠くなるのがわかっていても、映画を摂取したいのだ。つまりは映画不足。スクリーンで映画を浴びたい。カネがあれば働かずに映画を観れるのだが、カネがないから働かなけりゃいかん。うー、ジレンマだよな。移動読書は伊藤正一著『黒部の山賊』。これが面白い。黒部で山小屋を営んでいた伊藤さんの体験記。アタシも日に日に秘境探索願望が強くなっている。本日も工房で什器制作。伊藤くん、ダイゴさん、嶺豪一くんと四人で狭い工房の場所を取り合っての作業。いや、木材の切り出しやっている横で塗装なんか出来ないから、それぞれの工程を話し合って作業を決めながらやる。昼飯はみなで初めて行くラーメン屋。いや、食った瞬間「ん? コレなんだ?」って感じで、味に奥行きがなくムムムだった。もう行かないだろうな。午後、やはり釣りの話をしながら作業。皆、釣りに行きたくて仕方ないのだが、仕事が切れずに続くのでなかなかいけない。エギングでイカ釣ってみてえなあ。残業してキリのいいとこまで作業。帰りの電車内でウトウトしてしまう。夜、ネットフリックスでトニー・スコット監督『サブウェイ123』を再見。やっぱり面白いよな。トニー・スコットの映画をもっと観たかった。
某日、内装仕事で工房。毎朝コーヒーを入れているのだが、コーヒー豆がなくなった。仕方なく白湯を飲むが、美味くないしやはりコーヒーは必要だ。移動読書は伊藤正一著『黒部の山賊』。クイクイ読んでしまって、読み終わる。伊藤さんの書いたものをもっと読んでみたいなあ。本日も引き続いての什器制作。ダイゴさん、豪一くんと三人。午前中は工房に溜まったゴミと不要物を出す。ハイエース満載に積んでもまだ残ってしまった。内装仕事をしているとランバー材や木材のゴミが大量に出る。端材も取って置くスペースが無いので捨ててしまう。これはもったいないよ。時間と場所がありゃあ整理して使えるんだけど、仕方ねえなあ。昼飯は焼肉屋「福ふく」へ。初めて入ったのだがランチの丸とく定食が肉も多く1000円で充実していた。今まで入ったことがなかったが、美味いしここはこれからも来るだろう。昼飯代で1000円を越えてしまうと「高いなあ」と感じていたのだが、最近じゃどこでも1300円くらいの値段が当たり前になってしまった。物価は高くなれど、我々日雇い労働者の人工は一向に上がらず。なぜだ! 説明せよ! 食費や移動費等の必要諸経費が上がっているのだから、実入りは下がる一方だ。ああ、早く革命が起こらないかなあ。こんなんじゃやってらんねえよ! 夕方まで作業して、豪一くんと銀座へ。ギャラリー小柳という画廊へ行く。アタシみたいな労働者風情がザギンの画廊なんて縁がないとお思いでしょう? もちろん、アタシもそう思っていたのですが、アタシの先輩で青柳龍太さんって美術家がいるんです。青柳さんは映画をよく観てくれていて、飯食い行ったりするダチ。その青柳さんが、ソフィー・カルさんと杉本博司さんと展覧会をやっていて、オープニングパーティーに誘われたんでございます。おいおい、杉本博司さんて「江之浦測候所」のヒトじゃん! 青柳さん、すげえな。アタシと豪一は、作業着を抱えた汚ねえかっこで手土産に豆を携え、ノコノコ不慣れな場所に入って行った。会場は盛況で、青柳さんの展示をみていたら本人が来て挨拶する。青柳さんは蚤の市で手に入れた古道具やガラクタを展示している。青柳さんの新作の絵(リトグラフ?)が飾ってあって、それがカッコよかった。欲しいなと思って青柳さんに値段を聞いたら「○○○万ですー」と言われて驚く。とても手が出せねえなあ。「でも、売れたんですよ。画廊と折半ですが」って言っていてさらに驚く。すげえなあ。金持ちっているんだなあ。アタシもこういう作品がポンと買えるヒトになりてえもんだ。会場の奥に杉本博司さんがいて、おお、この人があの杉本さんかと思う。ピンクのシャツでオサレだった。会場を出て、豪一くんと「カネが欲しいなあ」ってしみじみ話した。
某日、内装仕事を休んでセリフ練習の日。朝からカミさんに「セリフやるから」ってご報告したら、「いっつもそれだな! 2時間くらいやってゴロゴロしてサボってるだけじゃねえか!」とドヤされたので、倅を学校まで送って、セリフ練習をしながら新宿へ。はい、今のアタシには映画が必要なんです。セリフもそこそこに武蔵野館で岩屋拓郎監督『オアシス』を観る。岩屋くんとは現場で一緒になり『オアシス』の話も聞いていた。いやー、青柳翔さんのイヤーなヤクザがよかったなあ。林裕太くん、窪塚俊介くんもよかった。クレジットで撮影・池田直矢さん、照明・舘野秀樹さんのゴールデンコンビじゃないですか。驚いた。んー、岩屋くんデビューおめでとう。続いてシネマカリテで山中遥子監督『ナミビアの砂漠』をようやく観る。傑作! 山中さんの才能は「あみこ」で十分に感じていたが、やはりすげえな。主演の河合優美さんも抜群、金子大地さんもよかったなあ。アリキタリな脚本に収めないパンクさ、監督自らを隠さず晒す豪胆さ、素晴らしかった。こういう映画がもっと増えるべきだ。商業映画と独立系映画のバランスが取れていることが映画界にとっては望ましいと思う。しかし、現在の邦画界は作家性の強い独立映画の勢いがあるのに、商業映画でなかなかいい作品がない気がする。映画館の観客離れは本当に頭が痛いが、その理由は面白い商業作品のなさじゃないかな? 単館系の映画ではいい作品が集まっている。悩ましいなあ。そんなことを考えていたらカミさんからメール。「なにをプラプラしてるか知らないけどその時間みんな働いてんだよ」「金になんねー時間を悠長に自分だけに使って映画見に行って何も家事をしないとかマジでなんも変わんねーな 本当に別れたいわ」というヤバいメールが届く。何がヤバいのかって、メールの文章に句読点がない時は、カミさんがマジギレしている証拠なのだ。この後に『夜のまにまに』と『SUPER HAPPY FOREVER』を観る予定をたてていたのだが、全てを投げ打って慌てて帰る。豊満亮くんから大美賀さんの新作上映に誘われたが、上記の理由でお断りする。残念! 帰ったら帰ったで「一生帰って来なくていいのに、なんで帰ってくんだ」と、詰められる。どっちにしろ怒られるんだな。しかしなんで映画観てるってバレたんだろうか? 本当に怖い。夜、ネットフリックスでトム・ゴーミカン監督『マッシブ・タレント』を観た。タップリ芝居のニコラス・ケイジが観れて大満足。これを映画館で観なかったことが悔やまれる。『ピッグ』といい『マンディ』といい、ニコラス・ケイジは再び黄金期に入っているなあ。『ドリーム・シナリオ』は見逃さないようにしないとな。