某日、内装仕事で工房作業。移動読書は引き続き是枝裕和著『映画の生まれた場所で』。什器の組み上げと仕上げ。昼飯はまいばすけっとで菓子パンを食う。本日は一人作業だったので、ラジオを聴きながらバタバタやる。定時に作業を終わらせて、新宿へ。松尾スズキ演出『ふくすけ2024』を観劇にシアターミラノ座へ。もちろん荒川良々さんを観に行く。正直に申し上げましょう。アタクシ、初めて松尾さんの舞台を観ました。豪華だし、まあバタバタと展開する芝居で「すげえなあ」と感心して観ていたのですが、なにより申し上げたいのは、我らが荒川良々さんの芝居の凄さです。もう、鬼気迫る感じで、後半の電話のシーンのやり取りでは、涙を堪えたのですが、最後の指揮者のシーンで気付くと涙を流していました。その芝居って泣かしに入っていたわけじゃないんです。だけど、良々さんの芝居で泣いてしまったのです。すごい芝居でした。初日だったのにあの芝居を見せつけられて、終演後から電車で帰るまで、ずーっとあの指揮者の芝居を考えてしまいました。本当に凄い芝居だった。現在の荒川良々さんの芝居は絶対に観た方がいいと思います。ホントに圧倒されます。アタシャ、打ちひしがれて床につきました。
某日、内装仕事で工房作業。移動読書は吉村昭著『長英逃亡(上)』。本日は明日からの大田原遠征に備えての仕込み作業。向こうで必要な部材の切り出しと加工。伊藤くんと一緒にやる。工房での作業は、外作業や空調の一切ない現場作業よりも涼しい分、楽である。ただ、細かい作業が面倒だけど。昼飯はカミさんが握ってくれたデカおにぎり2つ。東映から送ってもらった白石和彌組『十一人の賊軍』のポスターやチラシを持っていったのだが、思わぬ好評。出演者をみて伊藤くんが「マツーラさん、山田孝之さんとやってたんですか?!」なんて驚いていた。「僕、山田さんのファンなんですよー」珍しく羨ましそうに言う。おいおいアタシと山田くんなんて、ほとんど顔も同じじゃねえか? アタシにもその憧れを抱きたまえ。大工の山田さんが、知り合いの店に貼ってくれると言って、大量にポスターとチラシを持っていってくれた。ありがたい。明日の準備や荷造りをした為、残業。夜、伸也と班長さん(山本浩司さん)とスカイプで打ち合わせ。班長さんが脚本を書いたオリジナル映画を成立させるための話し合い。さあ、この企画も着地するといいな。
某日、内装仕事で大田原遠征。移動読書は吉村昭著『長英逃亡(上)』。太田さんと早朝から工房に集まって、積み込みをする。小雨の中、一路大田原へ。キャンプ場では太田さん・ダイゴさん・安藤さんが知恵を集めて作ったツリーハウス(メチャかっこいい!)や、ファイヤーピットも完成していて、見違えるようになっていた。ただ、肝心のキャンプ場の集客は、この暑さで難儀しているらしい。まあ、尋常じゃない暑さだったもんな。現場では雨降りだったので、アタシはサウナ室のベンチ作り。太田さんはショップ棟のベッド作りと手を分ける。サウナベンチは部屋のワイドいっぱいで切り出したので、クリアランスが10ミリもなく、組み上げるのに苦労した。午後の一服から太田さんに合流し、夕方、材料の買い出し。夜は2人で冷凍庫に放り込まれていた肉を解凍して、焼肉。ユーチューブで内房の釣りチャンネルを眺めながら、館山遠征時の釣り勉強。アタシは最近主流になっている短いアジングロッドを試したいなあと思うのだが、そんな金はないので指をくわえて眺めるしかない。太田さんの恋話事情を聞いたり、アタシの撮影の愚痴を言ったりしてオッサン二人できゃっきゃする。井上さんから連絡。某組の話が来る。個人的に監督のファンなので、純粋に嬉しい。
某日、内装仕事で大田原遠征。朝から大雨。と言うかバケツをひっくり返したような土砂降り。太田さんがケータイで調べたら、災害警報が出ていた。こんな中で外作業はできないわ。道具も材料も全部濡れてダメになっちゃうもん。朝っぱらから太田さんと途方にくれる。しかし、仕事はやんなきゃなるめえ。屋根のあるベランダに切り出し場所を作って、加工作業。しかし、材料を運ぶので結局濡れる。一度全身ずぶ濡れになると、もうどうでもよくなってそのまま作業する。太田さんと細かい加工をしながら、ベッドと天板を設置。大量の材料や荷物を、3号棟から母屋の地下室に移動。目が開けられないくらいの豪雨だったが、キレ散らかしながら太田さんと荷運びする。なんとか2時までに目処をつけ、早上がりさせてもらう。移動中は吉村昭著『長英逃亡(上)』を読む。今日は夕方から新井浩文さんと飲んだ。みんな久しぶりに新井さんに会えて、よかった!
某日、無職渡世。午前中、この1週間日記を書けなかったので、3日分の日記を書く。●組『某』の準備稿が届き、オファーが来たので脚本を読む。なかなかの長丁場になりそうだ。午後、倅とカミさんと一緒に西武園へ。アタシは昭和レトロ改装をしてから初めての西武園となった。行くまでは結構バカにしていたのだが、行ってみたら面白い。園内をウロウロして倅と縁日に勤しむ。中でも「砂金すくい」があって、実際に砂金をすくって、パンニング皿でパンニング作業をした。制限時間もあったし、初めてのパンニングだったのでなかなか難しかったが、面白かった。倅はアタシより砂金粒をゲットしていた。Kさんから電話。脚本の話をする。井上さんからも電話。今後の仕事の話。夜、19時半から西武園の花火。今日は風もあって涼しかったし、お客さんが驚くほど少なかったので、打ち上げ会場の広場で寝そべりながら鑑賞。目の前で上がるので、興奮した。規模も小さいし、時間も30分くらいだったが、ここまで近くで見たことがなかったのでとても良かった。西武園、すげえぞ。バカにしたもんじゃねえや。夜、実家に顔を出して、『十一人の賊軍』のポスターとチラシを渡す。
某日、無職渡世。午前中、日記書き。先週分の残りを書いた。毎日書くべきだろうが、なかなか時間が取れないので仕方ない。でも、時間を置いてから書くことで、物事が整理できていたり感情的な表現が抑えられたりするので悪いことではないかもしれない。午後、N組『O』のセリフを練習する。1言のセリフでも何遍も言っておかないと現場で痛い目にあう。若い頃は反射でなんとかしてきたが、最近はその反射が半拍くらい遅れている気がするのだ。だから1言でもちゃんと声に出して練習しなきゃダメなのだ。仕方ねえなあ。うちの中でブツブツやってると、カミさんから「念仏唱えてんのか! うるせえぞ! 休日なんだから倅と遊んでやれ!」と、怒鳴られる。練習を切り上げて倅と水風船合戦をやる。夕方、二人でマイクラ。夜、ネットフリックスで『鬼滅の刃 柱稽古編』を4話観る。
某日、朝から倅と共に下北沢へ。東京乾電池主催・柄本明演出・別役実作『歌うシンデレラ』をアトリエ乾電池で観劇。角替和枝さんが「子供も一緒に楽しめる芝居」を目的に立ち上げた乾電池こども劇場のシリーズ。アタシは倅と共に初演の『さらっていってよピーターパン』から毎回楽しみにしている。観劇中、声を出してもいいし、怖かったら出てもいいという公演スタイルで、子供が演劇に触れるいい機会なのだ。倅もこども劇場のおかげで演劇を観るのが好きになって、乾電池の公演があると(それが普通の芝居でも)一緒に観劇するようになった。こども劇場と銘打っているが、そこは東京乾電池。大人が観ても面白い。実際、アタシも声を出して笑った。ベンガルさんのトボけた芝居や、いじわる姉妹の松沢真祐美さん・上原奈美さんのコンビ芝居、熊王子の谷川昭一朗さんの力の抜けたセリフの出し方、仙女の沖中千英乃さんの素晴らしい衣装と力演! すごく面白くて、アタシも出たい! と羨ましかった。やっぱ子供が喜んでくれる芝居っていいなあ。偶然観劇していた足立智充さんとカンちゃん、娘さんと五人で昼飯にスパゲッティを食う。こうやって足立さんと家族ぐるみで飯を食うなんて、若い頃は想像もできなかったが、いいもんだなあ。下北沢の駅前で国境なき医師団のカンパをしていて、口説かれる。ちょっと迷ったけど、倅も賛同するし熱心に話す学生さんの説明を聞いて毎月3千円のカンパを決めた。金はねえけど、働きゃいいや。それよか、パレスチナの子どもたちの支援になるなら安いもんだ。ただ、カミさんにどうやって話そうかしら?
某日、N組『O』の撮影で新宿へ。初めてのN組なのだが、衣装部の篠塚奈美さんやメイクの石邑麻由さんがお久しぶりでヤーヤーする。特殊造形の中田彰輝さんもF組に続いてだし、そして驚いたのが、アタシの同級生で一緒に自主映画を作っていた相沢克人くんが、美術部として参加していた! いやー、嬉しかったなあ。相沢とは撮影所なんかで偶然会ったりしていたが、今作でやっと同じ作品がやれた。二人でキャッキャしてしまう。今作は歌舞伎町がメイン舞台となっており、新宿のど真ん中でのロケを敢行。朝から喫茶店で主演のKくんや林裕太くんと芝居する。「N監督は結構粘るのでテイク重ねますよ」って話を小耳に挟んだのだが、「ええ? もう終わりですか?」ってくらい進みが早い。Nさんは基本的に俳優部を信用してくれている印象を受けた。そして芝居の中で遊びを入れるのを嫌わない監督かもしれない。順調にバタバタ撮影が進む。2シーン目はオープンで新宿区役所のど真ん前で撮影。朝まで飲んだイキリ兄ちゃんがワイワイ言っていたが、これもまた歌舞伎町っぽい。こちらもあっという間に終わってしまう。アタシは中空きでしばらく時間があったので、新宿の東宝でマイケル・マン監督『フェラーリ』を観に行く。あたしゃマイケル・マン監督って『ザ・クラッカー』が最高傑作で『ヒート』もそこまで傑作だとは思っていない。つまり大作映画を撮っているだけってイメージだったので今作もあまり期待はしていなかった。だけど、主演がアダム・ドライバーだから観たのだ。で、結果はアダムはやっぱすげえなあって話。映画は正直、そこまでだったなあ。やはり、リドリー・スコット監督の方が好きだわ。まあそんな気分で劇場を出ると、演技事務の李さんから「現場が巻いているのですぐ来てください!」なんて言われちゃって、慌てて再入。土砂降りの雨だったが雨がやみそうな30分の間を狙って、西武新宿のペペ前でエキストラ60人くらいを仕込んだ大掛かりなシーンを撮影する。雨の中、動きの確認だけして現場で待機。待機中にN監督から「フェラーリ、そうでした?」なんて聞かれちゃってドキッとしてしまった。本当に30分だけ雨が止んで、その間に2カットを2回戦。2回戦目のカットがかかった瞬間に雨が降り始めたが、そのテイクでオッケーが出た。本日は予定よりだいぶ巻いて撮影終了。いやースリリングな撮影で楽しかったなあ。