某月某日、内装仕事で大田原遠征。キャンプ場建設。7時起床。昨夜あれだけ鳴いていたカエルは、日の出とともに鳴き止んだ。朝飯も寮長の太田さんが作る。固めの目玉焼きと味噌汁、焼きウインナー。アタシはコーヒーを入れる係。四人でテレビのニュースを見ながら仕事の段取りを話す。朝イチはキャンプ施設の宣伝写真撮影の為に片付け。ゴミや端材、材料を3号棟の裏に集める。午前中は左官作業。昼前に周平さん、小西さん、ごーいち(嶺豪一くん)、ちーちゃん、ボリ(写真家の内堀くん)、解体屋の鈴木さんが合流。周平さん、三平さん、ボリ、ごーいちはキャンプ場のティザー撮影でバタバタやっている。小西さんとちーちゃんは装飾係。午後からアタシは鈴木さんと組んで各小屋の屋根貼り。ポリカの波板を貼っていく。3時頃から大雨が降ってしまい作業中止。部屋内の仕上げ作業に回る。夜、みんなで温泉。なかなかいい湯でしかも500円。銭湯価格じゃないのさ。肌がツルツルになるアルカリ温泉らしい。夕食の食材を買い出しして、部屋に戻って飲みながらもつ鍋を作ってワイワイやる。太田寮長の作ったもつ鍋は絶品だった。今日は大人数で楽しい。ごーいちから誕生日プレゼントに『デューン2 アートワーク本』をもらった。ありがたい。ごーいちって本当に義理堅いよな。デューンのビジュアルすげえな。衣装ひとつとっても、ここまで作り込んでいるのかと驚いた。帰ったらゆっくり読もう。
某日、内装仕事で大田原遠征。キャンプ場建設。ボリやごーいちは夜中の3時から撮影をしていたそうだ。朝6時半に起床。コーヒーを入れてみなに出す。太田寮長の朝飯はパンにソーセージや目玉焼き、レタスを包んだサンドイッチ。美味い。今朝は雨がやんだので、朝から鈴木さんと屋根のポリカ貼り。日が出てくると暑くて屋根の上の作業は辛い。まだ5月なのに暑すぎやしないか? 昼飯は寮長が買い出してくれた弁当。キャンプサイトでみなで食う飯は美味い。午後も引き続き屋根貼り作業。キチンと太陽を浴びながらの肉体労働は、本当に気持ちがいい。働いていて一番好きな季節だ。根太が痛んでいる部分を差し替えたり、ポリカの加工があったりで予想以上に手間取る。夕方、藤田さんの運転で武蔵浦和まで送ってもらって帰る。大田原のキャンプ場は今月いっぱいかかりそうだ。いや、今月じゃ終わらないかもなあ。
某日、無職渡世。朝、メダカの水換え。水槽に小メダカがフヨフヨしていた。まだ数匹だが今年の初子なり。家庭菜園で植えた二十日大根も順調に育っている。伸也から連絡を受け、回頭日記の5月分の直しをしていなかったことを思い出す。急いで作業して送る。昼、倅とキャッチボール。投球が力強くなっていて驚く。ただ補球は下手だな。一緒に桃鉄をやる。午後、昼寝して溜まっていた洗濯をする。夜、実家に顔を出して両親と話す。じいちゃんが起きてきておしっこを漏らしてしまっていた。
某日、倅と二人で館山へ釣り旅行。倅が館山での釣りにはまってしまい、春休みに行けなかったので、5月の連休を利用して1泊する事に。朝、電車で東京駅まで出て、高速バスで館山。朝飯兼昼飯で、倅がコンビニのおにぎりを5個も食ったので驚く。連休中で交通機関がどこも混んでいる。館山への高速バスも9時発のバスだと席が取れず、10時発のバスで向かう。大井付近から渋滞にはまって、館山についたのが2時近かった。早速YANE館山で荷物を降ろし、1階の北条文庫で荻田泰永著『書店と冒険』を購入。ちょっとゆっくりしたかったのだが、倅が「ゴリ、釣りに行こう」としつこくせっつくので、歩いて館山港まで行く。途中のエサ屋さんで倅のサビキカゴ、重り、仕掛けと冷凍アミエビ1キロを購入。館山港の防波堤から外海に向かって竿を出す。と、言ってもアタシは倅の指導で忙しく、なかなか自分の竿は触れない。午後帯の難しい時間だったが、アミエビで寄せると小魚が集まる。倅は最初、なかなか投げが出来なかったが徐々にコツを掴んで、ひとりでキャストするようになる。アミエビも「くせえ!」と騒ぎながら自分でカゴに詰め出した。小サバを2匹立て続けにあげる。倅が「持って帰って食おう」とはしゃいだのだが、今回は太田さんもおらず料理道具が全くないので、持ち帰っても食えない。倅は無念そうだったがリリースする。アタシも護岸沿いに2、3投したらチビカサゴちゃんが食いついた。嬉しかったがすぐにリリースして、倅の釣りを手伝う。夕まずめで倅にはネンブツダイの群が食いつき、面白いように釣れた。倅ははしゃいで「もう、ネンブツダイはいらねー」なんて叫んでいたが、すごく楽しそうでよかった。日が暮れたのでアタシが「もう帰るべえや」と言うが、倅は「もうちょいもうちょい」と言って、竿先が全く見えなくなるまでやっていた。帰りしな、防波堤でアオリイカのバカでっかいのをあげたお兄ちゃんがいて、倅が憧れに眼差しでみていた。アタシもイカやりてえなあ。YANE館山まで歩いて帰るが、流石に倅は眠そう。夕食を済ませようと店を探すがどこもイッパイで、結局コンビニのおソバを買って帰る。部屋でソバを食いながらウツラウツラする倅を起こし、一緒にシャワーを浴びる。すぐに寝るかと思いきやベッドに入ると「ゴリ、壁の模様が目に見える」とか「天井に影が怖い」と怯えている。ああ、アタシもガキの頃に外泊すると、そういう思いをしたな。でも、いつの間にか怖くなくなってしまった。倅が「なんで怖くないの?」「大人になって感覚がバカになっちゃったんだと思う。ニンゲンってそういう恐れがなくなったらダメなんだよ」結構真剣に説明したのだが、倅はいつの間にか寝てしまっていた。
某日、倅と二人で館山へ釣り旅行。夜中の2時半に倅が起き出す。「ゴリ、そろそろ行こう」と言うが、流石にまだ早すぎる。「これじゃあ夜釣りだぜ。あと2時間寝てから行こう」と諭すが、興奮している倅は寝付けないらしく20分ごとに起こされる。結局4時に起きて再び館山港へ。エサ屋さんで冷凍アミエビ1キロ買う。まだ夜が明けきらない時間だったが、防波堤には多くの釣り人がいた。倅は慣れた手つきでアミエビをカゴに入れる。遠投をしたがるので、投げ方を教えると一生懸命チャレンジして投げていた。今まであまりこんな感覚はなかったのだが、倅が楽しんでいる姿を見るとアタシも楽しくなる。なんだろうか、これが親って感覚なのか? 無頼を気取っているアタシだが、本質的に全く無頼の資質はないのだろう。だってテメエのガキがキャッキャしてんのを見て喜んじゃってんだから。ダメだねえ。アタシも今朝はキャストするが、もちろん港にアジは入って来ていないし、カサゴちゃんを挑発する。すぐにカサゴちゃんは食いついてきた。コイツ、昨日のヤツじゃねえだろうか? リリースしながら「もうワームに食いつくな!」と念じておく。倅は小サバちゃんとネンブツダイちゃんをちょろちょろあげた。8時くらいで落ち着いたので部屋に戻る。帰りがけにパン屋「lien」で朝食パンを買って帰る。アタシはちょっと寝るつもりだったのだが、倅が「釣り行こう」とせがむ。「今行っても暑いし釣れないぞ」と諭すが、不満そう。仕方ないので北条海岸を散歩しに行く。昼前に周平さんと姐さん、エンゾーが館山に到着し、みんなで再び館山港で釣り。初めて釣りをしたエンゾーも、最初はかったるそうだったが、段々はまったようで結局はしゃいでいてよかった。みんなで昼飯に中華を食って、館山城を散策。城好きの倅はここでもはしゃいでいた。しかし2時半起きだから流石に充電切れ。高速バスで帰ろうとするとアクアラインが事故渋滞で動かないと聞いた。なら電車で帰るかと内房線に乗ると激混み。3両の電車がパンパンで動けず、判断を誤った。倅は眠気と懸命に戦い、なんとか秋津まで帰る。夜、寝る前に倅から「次は、いつ館山行く?」と聞かれて返答に困る。
某日、連休最終日。午前中、倅とチャリンコで所沢へ。先日作った倅のメガネを取りに行く。1時間待ち時間があったので、ツタヤブックスへ。ここでアタシの買い物欲が爆発してしまう。きっかけは増田俊也著『七帝柔道記2』を発見してしまったからだ。傑作『七帝柔道記』の続編で、刊行を楽しみにしていた。そして吉村萬壱著『みんなのお墓』、遠藤公男著『ニホンオオカミの最後』、団鬼六著『大穴』を購入。久しぶりに新刊本を買ったなあ。母の日のプレゼント用に倅と色々見て回るが、なかなか意見が一致せず結局保留。午後、アタシは昼寝。夕方、倅の髪をバリカンで刈る。夜、桃鉄。50年プレイを倅とやっているのだがようやく終わりが見えた。明日から再び大田原のキャンプ場の現場に行く予定だったが、連絡来ず。カミさんに報告すると「タイミーに登録して働け! お前みたいなブルーカラーは役に立つ」とアタシの頭をゲンコツで引っ叩きながら言うのだ。しかしアタシはガラケーなのでアプリで登録出来ないし「明日は映画を観る」と伝えると「貴様が消費行動するな。日本経済のために働け」とポコポコ殴ってくる。「アタシの頭は楽器じゃねえぞ」「テメェの頭はココナッツだバカ!」と手を止めないので逃げる。くそ、しばらく映画館に行けてないし明日は絶対に映画を観るんだ!
某日、朝からカミさんのご機嫌が悪い。「お前、本当に映画に行くつもりか? タイミーはどうした?」と迫ってくるので、ヘラヘラしてごまかす。倅が「カーカ、やめな。ゴリ可哀想だよ、禿げてるのに」と間に入ってくれた。最後の一言が気になったが、どうやら倅はアタシの味方になってくれている。倅を学校まで送って、実家に顔を出して渋谷へ。旧東映の文化村シアターで濱口竜介監督『悪は存在しない』を観る。傑作なり。撮影の北川さんの挑戦的な構図にやられる。大美賀さんの芝居もいい。アタシは濱口監督と北川さんが組んだ映画が好きだ。現在進行形でキャンプ場を作っているアタシには、タイムリーな内容で驚いた。賛否あるようだが、アタシは好きな映画だった。2本目は小路紘史監督『辰巳』をユーロで観る予定だったが、歩いていたら偶然カトウシンスケさんと会う。近状報告やカトウさん的最近よかったオススメの映画バス・ドゥボス監督『ヒア』『ゴースト・トロピック』の話を聞いていたら、上映時間に遅れてしまった。仕方ないので新宿に移動してシネマートで『辰巳』を観る。上映まで時間があったので、紀伊国屋書店で岩本慎史著『オアハカの動物たち』を購入。DVDコーナーで北野武監督『ソナチネ』と、崔洋一監督『犬、走る』を購入。いつもDVDを買っていたディスクユニオンシネマ館のビルが解体されていて驚いた。どうやら移転したらしい。『辰巳』もイイ映画だった。こちらは『悪は存在しない』とある意味対極にある、俳優を観る映画。遠藤雄弥くんは言わずもがな、佐藤五郎さんは抜群だった。やはり助演が良いと一気に映画が豊かになる。五郎さんの芝居の繊細さ、遠藤くんや森田さんに対する的確なパスは脱帽モノ。映画も観ていて引き込まれた。今日は2本とも良い映画だったなあ。帰って倅と桃鉄。明日から大田原遠征。支度をして寝る。
某日、 内装仕事で大田原遠征。キャンプ場の建設。昨日『悪は存在しない』を観ていても、この現場の排水マスの心配をしてしまった。タイムリーな体験だったなあ。秋津から西那須野駅まで電車で向かい、お迎えに来てもらう。移動読書は、増田俊也著『七帝柔道記2』。時間を忘れてしまうくらいのめり込んで読む。面白いなあ。太田さんとダイゴさんと三人で作業だが、ダイゴさんはサウナ室の立て込み、太田さんは細かい電気配線や雑作業、アタシは各棟のベランダや軒先の屋根かけ作業と、各自バラバラで動く。屋根作業は二人でやったほうが安全だし効率がいいのだが、人がいないから仕方ねえや。昼飯はミヒラさんが教えてくれた鳥料理店「秀」へ。アタシは鳥ピリ辛定食大盛りを頼む。太田さんは唐揚げ定食で、ダイゴさんは唐揚げカレー。アタシの定食も美味かったのだが、太田さんの唐揚げ定食が見事だった。デカ唐揚げが5個積まれて、山になっていた。次はアタシも唐揚げ定食にしよう。午後から大雨で屋根作業ができず。コーキング作業に回る。3時の休憩時、雨宿りをしながら外構工事に来ていた重機のオペさんと話す。最近、この近所で起きた夫婦の焼死体発見の話題となる。イカツメのオペさんは激しい訛りで「あんな素人みたいな焼き方しちゃダメだよなあ。そもそもガソリンで焼くのに携行缶持って行っちゃダメだっぺよ。火がついたら携行缶じゃガソリン注げないっぺよ。こっちが引火しちゃうからよお」「じゃあ、そういう時ってどうするんすか?」「500ミリのペットボトルにガソリンを小分けして投げ入れるんだあ」なるほどなあ。そんな状況になる事はないだろうが、映画の撮影時に役立つかもしれない。「ホントに死体バレないようにしたいんだったらよお、うちにあるチッパー(巨木をチップ状にする粉砕機)入れちゃえばいいんだよお。あれならズババババーって5秒で粉々だよお。絶対わかんねえから」おっかねえなあ。チッパーで砕かれちゃわかんねえもんなあ。「ドラマなんかでよ、死体穴に埋めるだろ? あんなのダメだよー。山で2メーター掘り下げるのなんか、人力じゃ無理だよなあ。土砂面なんか掘ってらんねえよ、重機使わねえと。2メーター掘って埋めても、すぐニオイが出ちゃうからバレちゃうべ。穴に大量に石灰撒いたらイイんだあ」なんだか具体的だなあ。このイカツメオペさん、マジでやってねえだろうな? 笑いながら話すところが余計に怖い。「この間、豚コレラあった時も、豚を土嚢袋に詰めて埋めたんだよ。そん時も石灰撒いたから匂い出なかったよお。でも不思議だよ、土囊袋入れたら、豚投げるのも全く罪悪感ないんだからよお。重機のツメで潰しちゃうと血が出るけどよ。ヒトもおんなじだよ、袋入れたら罪悪感ないからーハハハー!」と、電子タバコを吸いながら笑って話すオペさんが「いざって時はさ、相談してくれたらいいよお。金はかかるけどさあ」って言ってくれたが、まあお世話にはなるまい。しかし、家業人よりこういう林業もやる外構屋さんっておっかねえかもしれん。勉強になった。夜飯は材料の買い出しついでにもつ鍋の具材を買う。太田寮長が特製もつ鍋を作って、ミヒラさんを含めオッサン4人でハフハフ食う。12時、就寝。しかし、増田俊也著『七帝柔道記2』の続きが読みたくて夜更かしして読む。斉藤テツさんが最後の帝大戦で五将として出場したところで泣いてしまった。