某日、午前中、カミさんが書いてくれた確定申告書を提出しに、東村山税務署までチャリンコを漕ぐ。国会議員様が「図書費で3000万」なんてノーズラこいてるのに、アタシら国民がセッセと申告する素晴らしい国ですわ。国会議員様は国民の代表としてアタシらのために寝る間を惜しんで働いてくれてるアリガターイ方々なので、我々国民ごときが議員様に意見するなんて以ての外で御座います。あーあ、早く革命が起きて既得権益にしがみ付くヤツらをまとめて島流しにしてくれねえかなあ。そもそも3000万分も読書したら、素晴らしい政治家になれると思うけどなあ。おい、アタシに10分の1の300万でいいから図書券くれよ! アンタより有益に使ってやるで! 確定申告時の税務署前はいつも行列なのだが、あれ? 空いてやがるな。これはチャンスと急いで向かうが、閉門されていた。えー! 税務署って土・日は休みなのね! なんだよ、無駄足こいちゃったよ。午後、池袋へ。シネマ・ロサで『福田村事件』の登壇。劇場前でタバコを吸っていたら森達也監督も来た。「昨日の日本アカデミー賞、おめでとうございますー」って言ったら「マツ、俺のせいで監督の受賞コメントが流れなかったかもしれない」なんて面白そうなことを仰る。さすが森さんだ、わかってるなあ。森達也監督とプロデューサーの小林三四郎さんと3人で壇上に上がる。客席には山田キヌヲさん、市川くんとmiokoさん、そしてお隣のKさんご夫婦と娘のYちゃんまで来てくれていた。アタシが一方的に喋りたいことを喋ってしまう。森さんと三四郎さんが苦笑しながらまとめてくれた。申し訳ありません。登壇後、伊藤さんが声をかけてくれた。先日、倅にポケカをいただき倅が大喜びしていたことを伝えたら、今日もまた頂いてしまう。申し訳ありません! 息子さんにも何卒よろしくお伝えください。ありがとうございました! 森さんは次の講演がありサヨナラして、三四郎さんと市川くんとmiokoさんと台湾料理屋で飯を食う。アタシは倅の送りがあったので途中で失礼してうちに帰る。しかし、倅が熱発していて今日の予定は中止。熱が38・8度まで上がって辛そうだ。アタシも悪寒がしたので早めに寝る。
某日、倅は熱で夜も眠らなかったらしい。カミさんが眠そうだった。午前中、いよいよカミさんに撮影スケジュールをお伝えするが、案の定激怒。倅が「俺の前でケンカすんなよ!」と怒る。いや、アタシが一方的に引っ叩かれてるだけで喧嘩にもなってないんだけどなあ。やっぱ地方で長いこと合宿になると、全部カミさんに負担が行くから仕方ねえよ。午前中、日記作業。スケジュールを調整して、午後は柴田くんに頼まれたロゴをやろうと思っていたが昼寝してしまう。夕方起きるが、カミさんのご機嫌は直るどころか悪化していて困ってしまう。夜、回頭日記の修正。原稿作業。そろそろセリフをやらんといかんな。森組とF組の脚本に取り掛かる。
某日、内装仕事で市川。本日から国府台が最寄駅の現場。や、「国府台」って「こくふだい」だと思っていたら「こうのだい」と読むらしい。知らなかったなあ。また一つ賢くなりました。通勤読書は植村直己著『青春を山に賭けて』植村直己さんを尊敬する親父の影響もあったし『南極物語』が好きだったので、見つけたら著作を読むようにしていたが、アタシもこの年齢になって植村さんの文章のヒロイックな所が引っかかってしまう様になった。それってアタシが薄汚れちまったのかなあ。本日は、ごーいち(嶺豪一くん)と二人でキッチン天板のデコリエ左官。養生してプライマーを塗って、ファイバーを入れ一層目を総左官。ココまでやるとどうしても時間がかかってしまう。しかし現場は7日後に引越しが決まっている尻に火が付いた追われ現場。なんとか作業を終わらせないとヒドイ目に合う。ごーいちと二人で「ヤバイヤバイ」って言いながら作業する。昼飯はカミさんがお弁当を作ってくれた。カミさん曰く「たまたま早起きした事、アタシが有休消化中だった事、倅のためにご飯を炊いていた事。奇跡的な偶然が重なって作ってやった事だから、今世でアンタに作る最後の弁当だ」と力強く宣言された。カミさんがアタシに作ってくれた今世最後のお弁当をありがたくいただく。もちろん美味くて「ああ、早く来世になんねえかな」と早くも来世の転生を願ってしまった。午後から、二層目と三層目のデコリエ左官。残業してなんとか三層目を終わらせる。帰りの電車で寝てしまって乗り過ごす。倅は夕方から再び発熱。でも、本人は「もう元気だよ」なんて言っている。夜、柴田くんに頼まれたロゴを描く。「グラフィティ文字っぽく」という注文だったので試行錯誤。
某日、内装仕事で市川。国府台まで行く為に、日暮里で京急線に乗り換えるのだがこの乗り換えが難しい。今日は急行電車だったらしく、国府台をすっ飛ばしてしまった。乗り慣れない京急線だから注意せんといかんな。通勤読書は引き続き植村直己著『青春を山に賭けて』。8時過ぎに現場に入って昨日のデコリエ左官をチェックすると、下地のアクが出て白地に赤茶色の柄が浮き出てしまっていた! なんてこった! もちろん下地のランバー材にはアクドメを3回塗っておいた。それでもアクが出てしまう。本日中に仕上げたかったのだが、予定が狂った。仕方がないので再びアクドメ処理を行い、ごーいちと再び左官。本当は1日硬化をさせてから磨くのだが、時間もないので午後から磨き作業。トップコートと油性のA液・B液(激臭でアタシは匂いを嗅ぐとえづいてしまう)を塗りきって、ごーいちと共にバタバタと下北沢へ向かう。本多劇場で、赤堀雅秋さん作・演出『ボイラーマン』を観る。劇場で演出部のケイティと落ち合って、3人並んで観劇。『ボイラーマン』、メチャクチャ好きな芝居でした。赤堀さんの近作では「人間が本来持っている暴力性」や「突然起きる暴力的な行為・事件」が作品のテーマになっていたと思う。しかし、今作は暴力行為を封印して、それぞれが事情を抱えながらも仕方なしに生きていく姿に、赤堀さんの「人間に対する優しさ」が感じられ、アタシにはドンズバで刺さってしまった。観ていて、これは汚い『北の国から』だな! と感激した。以前、赤堀さんと飲んでいて「赤堀さんは今後、どんな戯曲が描きたいんですか?」って質問したら、「落語みたいな話が書きたいなー」と言っていたのを思い出した。まさに今作がその「落語みたいな話」だと思う。人間の汚さ、哀れさ、滑稽さが、愛しさになってしまう。素晴らしい演劇だった。こういう赤堀さんの演劇をもっともっと観たい。村岡希美さんや水澤紳吾さんも素晴らしかったなあ。水澤さんなんか出てきた瞬間、暴力の匂いがする凄い芝居をしていた。演劇ってすげえなあ! 終演後、赤堀さんと水澤さんに誘われて、3人でビバリさんの店へ。毎熊くんも来て、田中哲司さんや八嶋智人さん、平田敦子さんとワイワイ飲む。いい芝居を観た後の飲みって何故こんなに楽しいのだろうか。終電で帰って、柴田くんのロゴ描き。なんとか仕上げた。
某日、内装仕事で市川。通勤読書は植村直己著『青春を山に賭けて』を読み終わる。午前中に什器搬入をして、午後から工房で残りの什器制作。昼はカミさんが握ってくれたオニギリ2つ。歳を重ねるごとに朝早く起きるのが苦では無くなってきた。ただし、肉体疲労が抜けず体がしんどい。昔みたいに解体作業をしてるわけじゃないのに、体がだるい。なんなんだろうな? 解体屋でもおじいちゃんとかいるし、体の使い方が下手なのかな? 夕方、定時で上がらせてもらって、新宿へ。西口の喫茶店「ピース」で、柴田鷹雄くんと会って、イラストの受け渡し。『風のセールスマン』のチラシデザインが出来たので見せてもらう。意外な版画が使われていたが、かっこよくて驚いた。うん、デザイナーさんがセンスあるんだな。よかった。柴田くんといつもの如くくだらない話をワイワイやる。帰って脚本を読む。もっと時間が欲しい。自由な時間と自由に使える銭。もっと映画が観たいし、本も読みたい。版画も掘りたいし釣りもしたい。ああ、不労所得が欲しいなあ。特許とか思いつかねえかなあ。
某日、無職渡世。朝、東村山税務署へ確定申告の提出。倅は本日も咳が残ってしまい学校を休む。なかなかしぶとい風邪だ。いよいよカミさんも調子が悪いらしい。倅の看病で付きっ切りだもんな。帰って『あるとしか言えない。かもしれない』の第6回の原稿書き。うちのダイニングテーブルで作業。倅は咳が出るだけで元気なので、アタシが選んだDVD『レディ・プレイヤー1』を観ている。これでカミさんが一人でゆっくり寝られるだろう。原稿を書きながらチラチラ倅を観察するが、映画に集中していて微動だにせず。ちょっと怖くなって声をかけるが、集中しすぎて気付いていない。すげえな、スピルバーグ作品は。文字数を気にせず、ザザザーっと書き出すと6500字になった。昼飯を倅に食わせて、午後は一緒にDVDを観る。倅が宇宙人ものがいいと言うのでDVDで『アタック・ザ・ブロック』を観た。夕方、浪子回頭日記の4月分の修正作業。終わらせて伸也に送る。夜、カミさん発熱。倅と夕飯を食って早めに寝る。
某日、内装仕事で工房作業。通勤読書はチャールズ・ブコースキー著『勝手に生きろ』を再読。読み始めて、あ、読んだことあったと記憶が蘇った。本日は市川の什器の仕上げ塗装。ウッドシーラーを塗って乾いたら400番でヤスリ、油性のツヤなしクリアを塗装。仕上げに1000番で水研ぎ。乾燥時間も考慮し、バタバタと仕上げる。昼飯は百均で安いバケットを買って食う。このバケットって不思議なことに小麦の味すらしない。なんでかしら? 午後3時に水研ぎも終わらせて、そのまま市川の現場へ。コーキング材や現場で足りない材料を抱えて電車で向かう。現場で大工の八木沢さんと久しぶりにあって映画話。八木沢さんは映画が好きで、アタシやごーいちの出演作を映画館で観てくれている。材料を届けたらすぐに帰るつもりだったが、現場が大変そうなので洗面台のコーキングを打って帰る。ごーいちと共に新宿3丁目へ。スペース雑遊で渡辺謙作さん作・演出の『愛の全う』を観劇。孫さんや田中彪さん、メイクのゆうちゃん、岡部尚たん、受付をやっていた影山祐子さん、原田真由さんと会う。終演後、尚たんとごーいちと影山さんと「みさき丸」で飲む。後からわざわざ謙作さんも顔を出してくれてワイワイやる。柄本明さんは、よく「客は敵だ」と「(芝居の最適解を)毎回さがせ」と言うそうだ。尚たんが話してくれたことで、とても印象に残った。観客に阿ることなく、常に芝居を探求せよって事なのかなあ。いい言葉だ。終電で帰って、原稿作業。
某日、無職渡世。朝から倅とカミさんがメダルゲームをやりに出かけたので、カフェドクリエで『あるとしか言えない。かもしれない』の原稿を書く。4200字にまとめるが、面白いなと思う部分も泣く泣くカットせざるを得ず。残念だが、仕方ない。午後、うちに帰って引き続き原稿作業。倅が1週間、風邪で欠席だったので、宿題が山のようにあった。二人で一緒に宿題をやる。原稿は宿題の合間に仕上げて、上田くんに送る。今月も乗り切った。書くのは楽しいのだけど文字数を考えて添削するのが苦手なのだ。夜、倅とポケモンをやる。