某日、朝、実家の水道工事の立会いに。実家も建ててからもう30年経つ。あちこちにガタがきているが、仕方ねえよな。そのまま町田に飛ぶ。なんと釣り好きの冨永昌敬監督が、アジングロッドとリールを格安で譲ってくれたのだ。新品同様の7フィートロッドで、ロッドもリールもシマノ製。さらにジグやワームなども多数つけてくれた。冨永さんは「6、7年前のモデルだけど」なんて謙遜していたが、初めてアジングロッドを手にして、その軽さに驚いてしまう。アタシが使っているロッドはいわゆる汎用竿で、アジングロッドではない。あまりの軽さに興奮してしまう。早速、うちに帰って我慢できずに柳瀬川で竿を振る。なんだよ、この軽さ。そしてこの感度! ジグが着底した時の感触が分かるし、ジグがどう動いているか反応まである。このスケベ竿、感度ビンビンじゃねえか! 今使っている鈍感竿が7・6フィートだから、敏感竿は18センチくらい短い。今のアジングロッドは短めが流行っているが、アタシにとってはこの敏感竿が初めてのアジングロッドだから関係ない。早くこの敏感竿を使いてえなあ! カミさんが帰るなり「またガラクタ拾ってきやがったな」なんて言っていたが、ルンルン気分のアタシは全く気にならない。午後、カミさんにメチャクチャどやされてうちの大掃除。アタシはクーラーの外装を外して掃除。そしてベランダの大掃除。水を流すとセミの死骸やら洗濯バサミやら毛の塊が大量に流れ出て来る。ビショ濡れになりながら必死に掃除する。夜、倅がスイッチで「ポケモンSV」の『藍の円盤』という新シリーズをプレイするのを見学。アタシのポケモン熱が再燃し、夜中、再びポケモンをプレイする。
某日、昨夜夜更かししたため、朝カミさんに叩き起こされる。今日は倅の行っていた保育園の餅つき。8時過ぎから保育園に行って、古めかしいブリキ製のでっかい蒸し器に薪で火を起こして、もち米を蒸す。薪の管理や火の調整、蒸し器の水差しなんかを煙に巻かれながらやる。毎年のことで、職員の佐藤さんや先輩の椿田さんとワイワイしながら。今年はお隣のKさんも手伝いに来てくれた。カミさんと倅も遊びにくる。倅は昼飯で1度帰ったが、再び来園し、アタシが帰るまで遊びまわっていた。一度蒸し始めたらノンストップで夕方5時過ぎまで薪をくべて、水を足し、蒸しあがったもち米を運んで、せいろを調整・セットし続ける。まあ、全身がススくさい。ただ、腰の調子が悪いので、餅をつく係に回らなくてよかったわ。もちろんつきたての餅は美味かった。夕方、片付けをして帰る。夜、倅と『ハンター×ハンター』のアニメを見始める。アタシが夜に在宅し、カミさんが風呂に入っている間は、倅と共にアニメや映画を見る習慣がある。先日までは『鬼滅の刃』だったが、「鍛治の里編」を見終わってしまった。このアニメもなかなか面白そうだ。寝る前に日記を書いて、ポケモン。
某日、内装仕事で新富町。今日から乗り込みの新規現場。移動読書で井原忠政著『姉川忠義』読み終わる。伊藤くんと相番でまずは不用品の撤去や解体。午後から現場を養生して、壁に貼られたポスターを剥がす。これが難儀だった。壁に直接糊付けされていて、シール剥がしのスプレーを吹いたが、全く剥がれない。スクレーパーでちょっとずつ剥がすが、時間がかかるし壁を傷つけてしまう。参ったなあと伊藤くんにぼやいていたが、濡れ雑巾でふやかしてみたらスルスルはがれた。なんだよ! 結局、水でふやかすのが一番簡単だった。ひとつ勉強になりました。作業後、新宿の喫茶店「ピース」で東京乾電池の柴田鷹雄くんと打ち合わせ。柴田くんが来年公演する『風のセールスマン』のチラシのイラスト(版画)を手がける約束をしていたのだ。柴田くんとどんなイラストにするかか話し合う。アタシの好きなメスキータの画集を見せてなんとなくイメージを伝える。柴田くんはアタシと好みが合うらしく、気に入ってくれた。柴田くんのアイディアで色々な動物の目を彫ることに。なんだかイメージが湧いてきた。柴田くんとはセリフを覚える事のしんどさや、芝居のアイディアが降りてきた瞬間の快楽について話す。柄本さんの話を聞いていて「俺も乾電池入りてえなあ」と呟いたら「ユーヤさんは絶対ダメです!」と、強く否定された。柴田くんも岡部尚たんも、何故かアタシの乾電池入団を強く拒否する。まあ、集団行動が嫌いなアタシを知ってるからだろうな。帰宅後、倅の宿題を見てポケモンして寝る。
某日、内装仕事で新富町。本日はひとり作業の予定だったのですが、伊藤くんにお願いして助っ人に来てもらう。移動読書は伊原忠政著『姉川忠義』(北近江合戦心得シリーズ)これは『仁義』の三河雑兵心得シリーズとは別物だけど、同時代の侍を描いた井原さんの新作なのかな。読み終える。アタシは壁面のパテ打ちに専念。伊藤くんに残置物の処理をやってもらう。まあ、荒れた壁面で補修部分が多いのです。さらに2面は黒板塗料での仕上げなので、壁はスーパーフラットにしなければいけない。黒板塗料って凹凸を拾いやすく、既存壁に塗装するのってシロウトの方にはオススメしません。オサレ塗料ですが、扱いが難しいのでござる。お家やお店の壁ってまっすぐでフラットに見えますが、実は結構斜めっていたり、はらんでいたりするんです。既存の建物に完璧な垂直や水平ってないと言っていいでしょう。なので大工さんは、その経験値や感覚で「垂直に見える」「水平に見える」ように調整しているんですよ。まあ、1日中パテをしごいてはヤスってなるべくフラットにしていく。粉まみれ作業でございました。作業後、池袋に移動し、シネマロサで楽しみにしていた戸田彬弘監督『市子』を観る。ううー、食らったなあ。圧倒的な杉咲花さんの芝居に魅了された。杉咲さん、まだ26歳? すげえなあ。このまま染まらずに俳優としてやってほしいなあ。若葉竜也くん、宇野祥平さんもよかったなあ。森永悠希くんや中村ゆりさん、石川瑠華さんもいい。まあ、よかった映画って大概、出演者も全員いいよなあ。エンドロールで脚本が上村奈帆さんだと知る。上村さんって『書くがまま』という傑作映画の監督でもあるのですが、最近脚本も書いている。若手だとホントに好きな脚本家だが、監督してほしいなあ。撮影は春木康輔さんだし、照明は大久保礼司さん。春さんは池田さんの撮影助手で『岬の兄妹』でも回してもらっているし、大久保さんとはピンク映画や若松組からやっている。みんな、やってるなあ。いいじゃねえか! 思わず若葉くんに電話して感想を伝える。宇野さんと上村さんにもメールしてしまった。お袋から『冬物語』を観たとメールが来る。「こんな寒い日に来てくれるお客さんを大切にして、マジメに登壇しなさい」との内容。ありがてえなあ。若い頃ってお袋が観たなんて連絡が来たら、うっとおしく思ったものだけど、今となっちゃ素直に感謝できる。大塚に移動し、シネマハウス大塚で本日から公開が始まる奥野俊作監督『冬物語』の登壇。劇場のパクさんと話していたら「AFF作品で今日みたいに観客が入る映画も珍しい」と言われてしまう。天下の悪政AFFで、ロクでもねえヤツにも申請が通って、「上映しないと助成金が降りないから」って理由で宣伝もせず上映の既成事実を作るだけの公開がまかり通ってしまっている。ふざけやがって! そんな精神だからテメエは映画が撮れねえんだよ! 文句あるならかかってこい、いつでも勝負すんぞ! テメエらみてえな映画をナメてるヤツらはアタシが全員成敗して、秋水園で焼却処分してやる。アタシャ、文化庁にも頭にきてんだ。助成するなら制作者なんかよりも、映画館や劇場を支援しろ! 映画館や劇場こそ、コロナ禍で一番ワリを食ってるじゃねえか。映画屋なんか普段から泥水啜ってやってんだから、コロナなんかじゃ倒れやしねえわ。ったく御国ってやつぁ、金の使い方にセンスがねえよな。『冬物語』上映には奥野さん、プロデューサーの布施さんはじめ、山本奈衣瑠さんも植田紗々さんも参加。皆でヤーヤーして登壇。お袋から「マジメにやれ」って言われたけど、全力で不マジメにやってしまう。まあ、仕方ねえや。上映後、飲み屋で打ち上げ。アタシの卑猥なお言葉使いにダメ出しがでる。当たり前だよ。アタシみたいなヤツが映画に出ている限り、邦画に未来はねえぞ!
某日、内装仕事で新富町。本日はひとり寂しくパテ打ちと塗装作業なり。移動読書は井原忠政著『長島忠義』(北近江合戦心得シリーズ)読み終える。井原さんの本って電車の行き帰りの時間でだいたい読み終えるからちょうどいいのだ。ひとり作業が好きってヒトもいるけど、アタシはみんなでワイワイ言いながらやる方が好きだ。パテも2回目を打ってヤスって、3回目まで打った。トイレの塗料が届いたので、1回目を塗装する。作業終わりで池袋に移動し、グランドシネマサンシャインでリドリー・スコット監督『ナポレオン』を観る。主演が敬愛するホアキン・フェニックス。まあ、観始めてすぐに「あら? フランスの話なのに英語喋ってんな」って気になってしまう。ホアキンの芝居も「いつものホアキンじゃん。アタシはこの芝居知ってるぞ」と、ムムムとなる。だけど、映像がすげえのよ。リドリー・スコットって世界一金の使える監督だな。同じ鑑賞料金を払わせてしまう邦画関係者としては肩身がせまいぜ。しかも、死んでいく兵士をこれでもかってくらいシツコク撮っていて好感が持てる。ナポレオンの元、多くの無名兵士が犠牲になっている事を伝えているワケ。あれ、気付くとホアキンがナポレオンに見えてきた。と言うか、ナポレオンにしか見えない。すげえなあ。たださ、これだけナポレオンの指揮した戦争で多くの犠牲者が出ているんだからナポレオンはよくない奴だな。って思っていたら、最後のクレジットで各戦いの犠牲者数が出てきて「おお! リドリーはわかってらっしゃる!」と溜飲を下げた。ホアキンとバッチバチの芝居がしてみてえや。シネマハウス大塚に移動し、『冬物語』登壇。本日も奥野監督、山本さん、植田さんとおしゃべり。毎回アタシの脱線を山本さんが修正してまとめてくれる。この子はホントできた子やで。観に来てくれた俳優部の伊藤佳範さんや『福田村事件』のMIOKOさんとおしゃべりし、池袋の居酒屋でちょっこり飲む。市川洋くんも合流。久しぶりにワイワイした。
某日、太田さんの仕事の代役で早朝から日比谷の帝国劇場へ。荷揚げと養生と聞いていたのだが、知り合いの制作部の山村さんから連絡があり、映画の撮影のための養生仕事だった。某組『もしも徳川家康が総理大臣だったら』みたいな東宝映画の撮影だった。あんだかや。地下駐車場からブルーベニアを120枚荷揚げして、屋上に敷き養生する。山村さんから「まっちゃんがいまだにバイトしてるなんてなあ」と感心される。知り合いのスタッフさんがいるかと探したのだが、残念ながら発見できず。まあ、先発立て込みの美術部さんしかいなかったし、その美術部さんも日テレ系の美術さんだったので仕方ねえか。昼までやって太田さんと交代し、新宿へ。移動読書で井原忠政著『長篠忠義』(北近江合戦心得シリーズ)読み終える。キノシネマ新宿で岸善幸監督『正欲』を観る。これまた面白い映画で、岸さんのちょっと俯瞰した(登場人物に寄りすぎない演出)がビタっとはまって素晴らしかった。今日も宇野祥平さんが刑事役で登場。東野絢香さんが印象的だった。岸さん、やっぱりすごい監督だなあ。ここ三日、観る映画全てに感心しているが、ヒキがいいんだろうな。やっぱり映画は面白え。もっともっと観たい。夕方、大泉東映へ。片山慎三組『雨の中の慾情』のアフレコ。片山さんとはしょっちゅう会ってるな。録音部の秋元さんや、撮影の池田さん、編集のおもちちゃんもいてワイワイやる。アフレコ部分は新たなセリフを言ってみたり、軍歌をがなったりしたがその軍歌そのものを変える事になるかもって話が出て本日終了。池田さんと木村大作さんの話をする。帰りに片山さんが自車で送ってくれる。車中でバカ話で笑い合う。片山さんも現在進行形で配信ドラマの撮影中。『雨の中の慾情』は追加撮影が間近だし、来年も大作が控えている。忙しいはずなのに、会うとバカ話しかしていない。「飯でも食おう」って話になって、アタシが大好きなたこ焼きや「竹辰」で、おばちゃんのお好み焼きとたこ焼き、玉ねぎバターとイカゲソを食う。片山さんが「ホンマ美味いで。関西出身のボクが言うんやから確かや」と、普段はあまり使わない関西弁で感心していた。「美味いやろ、当たり前や、竹辰やぞ」とアタシもエセ関西弁で返す。今度は荒幡のコロッケも食ってもらおう。結局、アタシの自宅まで送ってくれて、うちに遊びにくる。倅もカミさんも降りて来てワイワイする。片山さんに石川達三著『生きている兵隊』と、藤崎武男著『歴戦 1万5000キロ』を貸す。倅が片山さんと春にキャンプに行く約束をしていた。
某日、内装仕事の予定だったが、塗料が届かないためにおやすみ。朝、倅を学校へ送って実家に顔を出す。じいちゃんの退院が決まった。だいぶ痴呆が進行したらしい。退院の日は手伝う事にする。注文していたジョルジュ・ル・フェーブル著『中央アジア自動車横断』を受け取る。これで河出書房から発売された「世界探検全集」は全部購入。特典で『未来の探検準備室』という別巻本が届いたが、この内容が全集に負けないくらい良くてお得でした。親父から井原忠政著『奥州仁義』受け取る。井原さんもすげえ書いてる作家さんだな。先月取材させていただいた八重野さんにお借りしていたDVDを荷造りして郵送。新井さんに手紙も出す。午後、倅をお迎えに行って、一緒にポケモンをプレイ。澁谷悠くんから、WOWOWで放映された『ONODA』のDVDとクッキーをいただく。つーか、ヨーロッパではソフト化されている『ONODA』だが、日本では未ソフト化だ。本当に残念だし悔しいよなあ。気合いを入れて臨んだ作品だし、DVDが手元に欲しい。澁谷くんの送ってくれたクッキーがメチャ美味くて、カミさんと倅とアタシで争奪戦になった。アタシと倅に隠れてカミさんが食っていた事実がバレて、倅が鬼の首を取ったように晒していた。夜、溜まっていた日記を書く。やらなきゃいけないことはたくさんあるが、久しぶりにゆっくりできた。
某日、本日倅は終業式。朝、学校に向かう道中、ずーっと冬休みをどう過ごすか計画を話される。「ごり、釣りにも行こう」と言われたので、館山遠征も考えなければ。午前中、ウエダくんに頼まれた『あるとしか言えない。かもしれない』の別バージョンを書く。なかなか考えがまとまらず、2000字近く書いたが、全て書き直す。書く作業は楽しいが、書けない時は辛いな。午後、倅とポケモンをプレイ。倅に教わりながら「甘スパイス」を探すが、なかなか手に入らず。夕方、倅と一緒に大泉学園へ。駅からバスに乗って「パパパ」という美術教室へ体験入学。カミさんが倅のために見つけた。東京芸大生が子供に自由に創作させる場所らしい。小学生が10人くらい集まっていて、ワイワイ工作したり絵を描いていたり。倅は初めてなので緊張していたが名前を聞かれて「マツーラキューリです」と言って、みんなから「キューリ」と呼ばれていた。代表の田中さんに「見学されますか?」と聞かれたが、せっかく子供だけの空間なので時間までファミレスで時間を潰す。『未来の探検準備室』を読むが、対談者がアタシの好きな冒険家や登山家で面白く読んだ。時間に迎えに行くと、倅は木工と粘土細工をしたらしく作品を渡される。田中さんは「今まで2000人くらい子供を見てきましたが、なんかすごく不思議な子で掴めないんですよ」と倅を評していた。倅は楽しかったらしく「また行きたい」と言う。習い事が嫌いな倅にしちゃ珍しい。帰りに「なか卯」でいくら丼を食う。明日の夜に来るであろうサンタをどう捕まえるかという計画を倅に話すと、本気で心配された。