某日、昨夜午前4時近くまで日記作業。朝、9時半起床。倅と実家へ行き、伸也と『浪子回頭日記』の修正作業。お袋から注文していた『小山さんノート』を受け取る。親父からは井原忠政著北近江合戦心得シリーズ『姉川忠義』、『長島忠義』、『長篠忠義』の3冊を受け取る。午後、倅と大泉学園へ。ブックオフで、関容子著『名優が語る演技と人生』、吉田勝次著『洞窟ばか』、柳家小三治著『落語家論』、藤崎武男著『歴戦1万5000キロ』の4冊を購入せり。その後、Tジョイで古賀豪監督『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観る。水木しげる先生の描いた漫画版の鬼太郎誕生とは全く異なった作品になっていた。アタシは水木先生の描くオドロオドロシイ漫画版の鬼太郎が好きなので、絵のタッチや物語の展開が好みではなかった。漫画版の鬼太郎の持つ暗さやダークヒーロー感を現代に受け入れられるようにしようと工夫していたと思うが、なんか悔しい。ただ、倅は好きだった様子でよかった。倅と話していたら「俺は拍手されるのが嫌いなんだ」と打ち明けられる。なんかわかるわ。アタシは褒められるのが大嫌いだ。褒められるくらいなら貶された方がいい。クソ! チクショー! って思える方が、伸び代がある。褒められると慢心し、それ以上伸びなくなる。褒めるって残酷な事だ。だから、褒められても嬉しくないしその相手と関係性が深くなければ、敵意すら持ってしまう。ひねくれた性格だと思う奴は慢心することへの恐怖がないバカだぜ。現状の自分に満足した瞬間、後退が始まる。褒められたら終わりだ。若人よ、無責任に褒める奴を疑え!
某日、内装仕事で門仲の工房へ。移動読書は関容子著『名優が語る演技と人生』。柄本明さんと白石加代子さんの対談があったために読んだ。柄本さんが言う「くだらない」という誉め言葉が、イイ。柄本さんは自分の演技についての思考をあまり語らない。著作の『東京の俳優』でもそうだった。対談で「言葉って自分の肉体や経験を通して発するものだから、他人が書いたセリフを自然にいう事を求められるなんて不条理だよね」といったヒントのようなちょっとした考え方は出てくるが、体系的にまとめられたものを読んでみたい。ちくま書房あたりから出してくれないかな? 後進のためにも先人の思考を残して欲しい。アタシはだいぶ昔に、井口昇組で柄本さんと現場が同じだったことがある。『福田村事件』で共演する10年以上前の話だ。ある俳優が「こんなセリフは言えない」とごねだして撮影現場が止まったことがあった。監督とその俳優のディスカッションタイムが始まってしまい「こりゃあ時間がかかりそうだ」と思って外でタバコを吸っていたら、同じシーンに出演していた柄本さんがやって来て、「セリフなんて、口がついてりゃ言えるんだよな」とあの座った目で呟いた。柄本さんは特に意識せずに言った言葉かもしれないが、アタシにとっては衝撃的だったのだ。確かに口がついてりゃあセリフは言える。言えない理由はその当人の生理や違和感だけで、物理的に言葉が発せないわけではない。俳優の仕事はその違和感あるセリフをどう消化して発するか、だ。その思考や行為の過程が面白いのに、そこを放棄したりすぐに監督に答えを求めるのは俳優にあらずだと気付かされた。アタシは柄本さんのその言葉を拠り所にして、「セリフが言えない」俳優には絶対にならないようにしてきた。東京乾電池で柄本さんと日々過ごし、その演出を受ける事が出来れば柄本明的思考を学べるだろうが、そうじゃない俳優にも教えて欲しいと痛切に思うのですよ。そんな事を考えながら工房で什器仕上げをした。や、実際は考えながら同時に作業することなんて出来ないから、それはウソだな。まあいいか。夕方、『オノダ』でお世話になった澁谷悠くんと門仲の喫茶店でお茶をする。しばらく会えなかったが、澁谷くんの監督した中編の感想をやっと直接伝える事ができた。澁谷くんの映画、アタシは面白いと思ったのだが、映画祭では軒並み落選らしい。他人がする映画の評価なんて、信用なんねえ。アタシが面白いと思うのだから面白い映画なのだ。澁谷くんにはどんどん監督をして欲しいが、その機会を掴むまでが大変なんだな。アタシに金がありゃ、ポンと5000万くらい出すのになあ。お互いに近況報告をしあって、日本映画界の劣悪な労働環境について話す。澁谷くんはフランスを拠点に映画をやっているので、フランス映画界との労働条件の違いを教えてくれた。ホント、邦画周りで働いているヒトってすげえよ。本人の映画に対する気概だけで、なんとか堪えているもんな。しかしその気概だって、いつポッキリ折れるかわからない。だからアタシャ、映画に見切りをつけて去っていくモノを引き止める事はできねえのよ。
某日、本日は原稿書きの日。朝、倅を小学校に送って実家に顔を出す。先日、『●』のクランクアップ時に頂いたお花をお袋にあげたのだが、実家の庭に飾られていてまだ元気そうで驚いた。なぜお庭に飾られているかと言いますれば、我が実家の庭には歴代の飼い猫たちが埋葬されているので、お花をお供えしてくれているのです。実家で飼われていた猫のタマ、我が家で飼われていたシャーコとジロが埋葬されているのです。実家の大鉢で飼われていたメダカは、どうやらハクビシンにいたずらされていなくなってしまったそう。春になったらうちのメダカを移そうと思う。この辺もハクビシンが多くなってきたのかな? アタシも先日、自宅の玄関前でタバコを吸っていたら、ノコノコとハクビシンがやってきた。しばらく観察していたのだが、ハクビシンって目が悪いのかな? アタシに気付かないで、干してあった倅の運動靴の匂いを嗅いだり、ブロック塀の匂いを嗅いだりしていた。最近はタヌキの姿を見ないが、おそらく北秋津小前の雑木林が伐採・造成されて、一大住宅地になったからだと思うんだよな。タヌキファンのアタシとしては悲しい事だ。午前中は「カフェ・ド・クリエ」で『あるとしか言えない。かもしれない』の構成を考える。編集長のウエダくんから「マツーラさん、12月号は雑誌として出版されるんですが、1月号はウェブのみの発売なんです。一応、ウェブの1月号分も原稿をください」と言われたので、安請け合いしてしまったが、前編・後編にして八重野充弘さんとのお話を5000字くらいにまとめないといけない。これはなかなかの作業量だぞ。ざっと構成を考える。アタシは書けない事はないのだが、必ず文字数がオーバーして削除が必要になる。その作業が、大変なのだ。昼、中村橋の古書店『古書クマゴロウ』へ行く。先日、ネットの「日本の古本屋」という古書の販売サイトを検索していたら、この「古書クマゴロウ」に大量の埋蔵金本が販売されている事を知ったのだ! しかも、多くの本がプレミアがついてしまっているのだが、「クマゴロウ」の本はほぼ古書値段で安かったのだ。これは早めに行かねばならん。『2nd』編集長のウエダくんに「資料代としていくらまでなら領収書を切っていいか?」と連絡し、出し渋るウエダくんを脅迫及び恐喝をして「1万円までなら」という言質を引き出し、意気揚々と乗り込む。あるわあるわ、大量の埋蔵金本! 嬉しくて悲鳴をあげそうになるが、予算内で買えるだけ買うために、冷静に各種埋蔵金本を選別し、大量購入。まずはレジェンド畠山清行著『ルポルタージュ埋蔵金物語1』『ルポルタージュ埋蔵金物語2』、『眠ったままの埋蔵金』、そして我が師匠八重野充弘著『埋蔵金を発見した!』、『宝さがし冒険ブック 日本編』『宝さがし冒険ブック 世界編』、松好貞夫著『黄金と落城 戦国の軍資金』、三杉隆敏著『新安沖海底の秘宝』、加門七海著『黄金結界 講習埋蔵金の呪いに挑む』、日本トレジャーハンティング・クラブ著『百五十兆円の黄金を探せ』、小島謙太郎著『日本埋蔵金物語』、桑田忠親著『日本宝島探索』、勁文社発行『謎の埋蔵金』以上計13冊を購入せり! 素晴らしい! 金額は1万円をちょっと越えてしまったが、泣き落とせばなんとかなるだろう。店長さんも若く親切な方で、とても好感を持ってしまった。「なんでこんなに埋蔵金モノが充実してるんですか?」と質問したら「マニアの方が手放して大量に出たんですよ」と教えてくれた。なるほどなあ。埋蔵金本以外にもアタシが好きそうな本があったので、後日再探索せねばなあ。その後、ケーズシネマへ。『二人静か』の上映を見た後、坂本礼監督とトークショー。うまく喋れなかったが『二人静か』出演者の芝居が素晴らしかった事だけは言えた。水澤紳吾さん、ぎぃ子さん、裕菜さんはもちろんだが、本編を2回観たら西山真来さんの芝居がスゴイ事に気付かされた。彼女の素直に「セリフを言っている」というセリフの出し方、これって凄い。多くの俳優が、自分の言葉ではないセリフをいかに自然に出すかというアプローチをする中、西山さんは、ただセリフを言っている。その境地ってどうやったらいけるのか。アタシなんかどうしても不安で芝居をしちゃうが、西山さんはただ素直にセリフが言える。おっかねえ俳優だ。上映後、観に来ていた吉岡睦雄さんから「トークが下手すぎるぞ!」と、甲高い声でダメ出しされた。本当は続けて『映画 (窒息)』を観ようとチケットを買っていたのだが、皆で飲みに行く流れになったので、嶺豪一くんにチケットを譲り、居酒屋「三平」へ繰り出す。坂本礼さん、川瀬陽太さん、菊地健雄さん、西山真来さん、影山祐子さんとワイワイやる。西山さんに「セリフを言うだけ」の感覚の凄さを説明しようと頑張ったが、なかなか上手く説明できなかった。でも凄えんだよ、西山! 坂本さんが「柄本さんと京都で飲んだんだけど、マツーラのこと話してたよ」「マジっすか?」「今、面白い顔してる役者はマツーラか?って」面白い顔かどうかはわからんけど、アタシャ面白くない顔じゃあないと思うな。影山さんが結構酔っ払って、新作映画が公開中の菊地さんにバンバン絡んでるのが面白かった。影山さんの矛先がアタシに向いて、「マツーラさんの日記読んでますから」と言うのでヒヤヒヤしていたら「面白いですよなかなか。勉強になりまーす」と据わった眼で言うので、おっかなかった。影山さんも西山さんも、今や邦画界に必要とされる俳優部だ。川瀬さんの言葉だけど、「続けるだけ」なのだ。寝る前にU-NEXTでスザンナ・ホワイト監督・サイモン・セラン・ジョーンズ監督『ジェネレーション・キル』を観る。
某日、昨日は「原稿執筆日だ」と宣言して内装屋を休んだものの、1行も書いていない。焦って本日も「執筆日」宣言をして仕事を休んだら、カミさんに鬼詰めされる。「アンタ、偉そうに仕事休んで書くって言ってるけど、それいくらになるの?」『あるとしか言えない。かもしれない』の原稿料は家庭に入れず、アタシの映画代・書籍代・DVD代、観劇代といった研究費に流用する計画だったので詳細は答えなかったら「金にならない事ばっかやって、仕事休むなんてどういうつもりだ」と至極真っ当な意見を言われてしまう。アタシが特技ヘラヘラ躱しを使うも、腕を掴まれ「いくらもらってんだコノヤロー!」と問い質される。ここで口を割ったら流用金が没収されてしまうので黙っていると「撮影だ、取材だ、執筆だとエラそうな事言って仕事休んでんだろ! 最低でも日当1万として3万か!」と具体的に数字を言われる。しかし、それ以下のギャラだなんて口が裂けても言えない。なんとか敵の追撃を躱して「カフェ・ド・クリエ」に逃げる。原稿書く時間をとるのも大変だ。しかも今回は前・後編で5000字にまとめないといけない。ムムム、なかなか手強そうだぞ、と思ったが、書き出したら前編部分はサックリ書けた。書く時間さえあれば出来るんだな。そのまま欲をかいて後半部分に突入したが、カミさんから「いつまで遊んでんだ、倅のお迎えしろ!」とメールがきたので途中で打ち切る。午後、工房に置いてきた作業着と手道具を取りに、門仲へ。帰宅した倅も連れて行く。富岡八幡宮で酉の市をやっていると思ったのだが、明日からだった。富岡八幡宮を歩いていると、倅が突然「水柱の富岡さんって、富岡八幡宮から名前とったんじゃねえか?」と言い始める。「だってここって水掛祭りが有名でしょ」おお、なるほど。すごく説得力のある説だな。そうかもしれねえ。小学校1年の倅の推察力に驚く。工房で細金さんが仕入れてきたでかいモミの木を見せてもらう。モミの木って新鮮だとすごくイイ匂いがするんだな。夜、倅と『鬼滅の刃』を観る。遊郭編までいった。アタシの好きなキャラクターは富岡さん。寝る前にU-NEXTで『ジェネレーション・キル』観る。
某日、内装仕事で大田原遠征で宿泊労働。初めて行く現場だが、何しろ遠い。移動読書は八重野充弘著『埋蔵金を発見した!』を読み切る。新秋津駅を早朝5時半に出発し、大宮から宇都宮へ。宇都宮から烏山線で仁井田駅まで。この烏山線が難敵だった。初めて乗る路線で、2両編成のバッテリー電車でワンマン運転。途中の宝積寺からは無人駅で、降車時に運賃を払う仕組みらしい。ICカードが使えないらしく、降車時に運転士さんに「どうやって乗ったの?」と怒られた。「いや、普通に乗り換えで」「じゃあ、次に有人駅でこれ出して精算してください」とキレ気味に未精算証を渡される。アタシもどうやって乗ったらいいか分からなかったので「そしたら一回宇都宮駅で改札を出て、切符を買えばよかったんですか?」と聞いたら「まあ、そうですねえ!」とキレ気味に答えられる。そんな仕組み知らねえわ! 大工のダイゴさんが迎えに来てくれるはずだったがまだいないので、バス停みたいな無人駅を出て周りをウロウロする。こりゃタバコを買うのも苦労しそうだな。ダイゴさんが「とにかく寒いから防寒対策と寝袋、できればコット(折り畳み式の簡易ベッド)も持って来た方がいい」と教えてくれたが、確かに寒いわ。駅の周辺も全くやる気のない雑貨屋が1軒あるだけで、買い物ができるお店が見当たらない。ダイゴさんが車で迎えに来てくれたが「マツーラさん、お風呂ないですし、想像を絶するくらい寒いです」と、いきなり厳しい忠告をしてくれる。コットがないと言うとダイゴさんは哀れむ目でアタシをみて「それじゃあ寝れないと思うので、せめて断熱マットを買いましょう」とスーパーに寄ってくれた。ここで断熱マットを買って現場入り。現場まで車で40分。「この辺はどの駅からも現場まで30分以上かかっちゃうんですよ」との事。現場に近付くと車道がどんどん狭くなり、車道というか農道、や、あぜ道を走っている。現場まで山を越えたが、更に山の中に今回の現場があった。どうやらお蕎麦屋さんと母屋、そして2、3棟の小屋が集まっている施設で、ここを改装してオートキャンプ場とカフェを作るようだ。山の中は寒い。そして寝泊まりしている母屋は外気温と変わらないくらい寒い。家の中なのになぜだ? ダイゴさんも「この母屋だけは異様に寒いんです」と諦めている。電気と水はかろうじて通じているが、ガスはない。とにかく荷物を置いて、カフェ部分の解体作業に入る。ダイゴさんは月曜から乗り込んで、たった一人で作業していたらしく「ヒトと話す、久しぶりす、よ」と、カタコトになっていた。久しぶりにヒトと喋るダイゴさんは、とにかく他人が存在している事が嬉しいらしく、やたらにアタシを褒めてくれる。昼飯は近くに飲食店など存在しないので、我慢。火を起こしてお湯を沸かしてコーヒーを落とす。これで終わり。午後は解体したガラを出し、木材をまとめていく。3時の休憩時にダイゴさんから「暗くなったらできないので、先に薪割りをお願いします」と言われる。軒下に積まれた丸太を斧で叩き割る。斧は刃が錆だらけだったので研ぎ出す事から始めなければならない。これじゃあ、仕事に来たんだかキャンプしに来たんだかわからねえや。薪を割っていると斧の柄が折れて刃先がぶっ飛んでしまう。嘘でしょ? 柄が腐ってやがった。あぶねえなあ。クソ寒い母屋には薪ストーブがあったのでダイゴさんに使っていいか尋ねる。「一人だったので事故が怖くて使ってませんでしたが、使えそうなら使ってください」と言うのでストーブを点検すると、煙突への接続部が外れていた。これで火をつけてたら部屋に煙が逆流するところだった。なんとか修理して薪ストーブを使えるようにした。アタシが煙突部分の修理をしていると、中から大量のカメムシとカマドウマが出てくる。マジかよ! ちょっと信じられない量のカメムシ。カーテンや壁を叩くとボトボト落ちてくる。ホウキで外に掃き出すがキリがない。ダイゴさんがコットを持ってこいと言った意味がわかった。最初はカメムシの匂いでむせたが、30分もすると慣れてしまい匂いがわからなくなる。カメムシは引き戸の隙間やドアの隙間、什器の裏などいたるところに密集していて、掃き出すのを諦めた。4時過ぎには暗くなってしまう。夕方、ダイゴさんと夕食の食料を買出し。肉と野菜と酒を買い込んで、外で火を炊き鉄板で焼肉。焼肉が一番手がかからず美味い。鉄鍋に玉ねぎとニンニク、唐辛子、タラと牡蠣をぶち込んでスープも作る。ブロックを積んだかまどに落ちていたグレーチング(側溝・U字溝のフタの金属)を乗せて、使い勝手のイイ火周りを構築。ダイゴさんが食材を切り出す間に、アタシはかまどと薪ストーブに火を起こす。薪ストーブの排煙もうまくいった。外でダイゴさんと肉をアグアグと頬張り、めちゃくちゃ美味いスープをズルズル啜る。このスープ、味付けもしていないのに牡蠣とタラの旨味、玉ねぎの甘みが出ていて絶品なり。食い切れないかもと思った量の肉も全て平らげた。つーか、こりゃ完璧にキャンプだよな。母屋に入ると、薪ストーブで部屋もあったまっていて「こんなに部屋が暖かくなるなんて夢みたいですよ!」と感動していた。「煙突の修理をしたら使えたのに」「たった一人じゃそんな気にもなりませんよ、寒すぎて」ダイゴさんは暖かさを実感しているらしいが、それでも充分寒いぞ。すぐに寝袋に入るが、寝袋の周りのカメムシを動くたびに潰してカメムシ臭がキツイ。さらに部屋が暖かくなった事で、カメムシどもが嬉しそうに飛び回っていてウルサイのだ。ウルサイだけならまだしも、ちょいちょいアタシの寝袋や顔に突撃してきて気になってしょうがない。気を抜くとカマドウマもやってくる。地獄だな。あと、いくらでかい薪を突っ込んでおいても、2・3時間で燃え尽きるので、その度に寒さで起きて薪を突っ込まなければならない。12時、2時、4時、5時と小刻みに目覚めてしまう。クソ!なかなかの現場だ大田原!
某日、引き続き内装仕事で大田原の山の中。7時過ぎまでウトウトするが、寒さで何度も起きてしまい、きちんと眠れなかった。ダイゴさんは「昨夜はあったかくて、寝袋から出ちゃいましたよ」なんて嬉しそうにしていた。あの寒さが気にならないなんて、この数日の寒さはどれだけ異様だったのだろうか。ダイゴさんにコーヒーを落としてもらい、作業内容を打ち合わせて仕事。午前中は解体作業。昼は何も食べずに昼寝。太陽が昇ると暖かく、作業をしていると汗をかく。午後から外壁工事の足場を作るために、潅木や竹、低木の伐採作業。根を掘り起こすのは無理なので、地ズラで切る。これが重労働だった。「ああ、チェーンソーや、せめてセーバーソーがありゃあな」って思いながら、手鋸で引いていく。カメムシの襲撃や寒さを乗り切った身体だが、伐採までやるとは考えてもいなかったわ。4時前に軒並み切り倒せた。ダイゴさんに今日は宝積寺駅まで送ってもらい、駒場東大前へ。移動読書は畠山清行著『眠ったままの埋蔵金』を読み切る。夜、アゴラ劇場で『小野彩加 中澤陽 スペースノットブランク 松井周と私たち』を観劇する。三好さんにチケットを取ってもらい、一緒に観たのだが、前半部の松井さんパートは面白かった。後半はずっとカマドウマがなぜ怖いかを考えていた。カマドウマって異様な高さのジャンプをするしその時に驚くくらい音を出す。その挙動が想像の範囲を超えているのが原因の1。そして胴体や足の長さに対して、頭が異様に小さいのが怖さを倍増している。見た目の異様さが原因その2。鈴虫やショウリョウバッタと違っておっかなく感じてしまう原因だろうな。って考えていたら舞台が終わったので、松井さんに挨拶して帰る。うちで風呂に入れて幸せを感じた。