某日、内装仕事で工房作業。さすがにねみいなあ。終電で帰ると自宅着が1時半くらいになる。そっからシャワー浴びて本読んだりしてると、あっという間に3時くらい。朝6時には起きるからなあ。だったらもっと早く帰ってこいって話だけどさ、時と場合があるわけで。もっと1日が長かったり、移動時間の省略で「どこでもドア」がありゃいいんだけどな。通勤時の読書は重信房子著『戦士たちの記録 パレスチナに生きる』を読む。イスラエルのガザ侵攻で子供達が殺されている。ニュースを見る度に気分が落ち込む。戦争で得るものって何? 一緒にキャンプしたり、子供達と釣りしたり、映画作ってる方が楽しい時間を過ごせるじゃない。なんでそんな分かりきった事をアタマのイイはずの大人ができないのでしょうか? 快楽的に過ごそうぜ! 工房で伊藤くんと作業。作業中、ラジオを流しているのだが、あまりにもお気楽な会話を垂れ流していてムムムってなる。落語流したら結構充実した作業所になりそうだけど、作業への集中力が散漫になっちゃうかもな。昼、『2nd』編集長の上田くんより入電。明日、我が連載『あるとしか言えない、かもしれない』の取材で、古銭商の方か金属探知機メーカーの方にお会いするって話だった。小判や金属探知機の性能について全く無知なので、その知識を深めるべしって上田くんが言い出したのだ。その段取りの電話だと思ったのだが、「上田くん、明日取材でしょ?」「あ、そうなんですよ」「古銭商の方? 金属探知機?」「いやー、ちょっと考えたんですけど、どっちも出し方が見えなくて」「や、見えなくてって言われてもよお。上田くんが言い出したんじゃねえか」「まあ、そうなんですけど、で、今回は実際のトレジャーハンターにお話を聞くって感じにしました」「ちょっと待ってよ、なによトレジャーハンターって?」「あ、ヤエノミツヒロさんって方なんですけど」「ヤエノさん? ヤエノさんって八重野充弘さん?」「あ、そうですー。ご存知なんですか?」「バカヤロー! ご存知なんですか?じゃねえよ! 上田くんに貸した本の著者でしょ! 日本のトレジャーハンティングの第一人者でしょうが!」「あ、マジっすか」上田くんは歳若くして雑誌編集長に抜擢された切れ者だと思っていたが、案外ポンコツかもしれねえ。しかもなんだよ、八重野さんっていきなりトレジャーハンティング界のボスみたいな人と会わせるなよ。さらに明日の昼って、準備する時間もねえ。参ったなあ。まあ出たとこ勝負だな。夕方まで作業して帰る。夜、明日お会いするので八重野充弘著『徳川埋蔵金伝説』と『埋蔵金発見』を読み直す。
某日、朝、倅を学校まで連れて行って実家に顔を出す。「カフェ・ド・クリエ」でAさんに手紙を書く。昼、世田谷の某所へ。日本トレジャーハンティング界の第一人者・八重野充弘さんとお会いする。我が取材陣は『2nd』編集長の上田くんと編集部・生田目くん。生田目くんが実際に八重野さんとコンタクトを取ってくれた。今回は記録用の写真撮影のカメラマンも兼任。まず八重野邸近くで3人で集まって、「上田くんよお、いきなり八重野さんに怒鳴られたりしたらどうするよ」「え?なんで怒鳴られるんですか?」「だって舐めた姿勢でトレジャーハンティングに関わるんじゃねえ!って言われちゃうかもしれねえじゃねえかよ」「そんな事ないんじゃないっすかー」なんてお気楽だし、生田目くんはカメラのセッティングに忙しそうだ。まあ、最悪怒られたら上田くんを人身御供にしてアタシは帰っちゃおう。八重野さんのおうちに招かれてバカ3人で伺う。八重野さんって引退したラガーマンみたいにがっしりした体格で見た目はおっかなそうだったが、話してみたらすごく優しい方でホッとしたのです。立教大学時代は映画制作サークルPSS(その後、黒沢清さんや塩田明彦さんが所属した映画サークルの母体)だったそうで思わぬ共通点を見付け、映画話をきっかけに多角的に日本のトレジャーハンティングのお話をお聞きできました。まあ、詳細は連載の方で書くとして充実した3時間を過ごさせていただきました。帰りがけに八重野さんが学生時代に撮影した映画のDVDもお借りしたのです。さあ、どうやって記事にしましょうかね? 夜、U-NEXTでブライアン・デ・パルマ監督『アンタッチャブル』を観る。
某日、内装仕事で門仲の工房。朝が寒くなってビーサンだと足が冷える。だったら靴を履けって話だが、靴を履くと足が包まれている感覚が嫌なのだ。メダカも活性が落ちたな。通勤読書は椎名誠著『サヨナラどーだ! の雑魚釣り』。椎名さん一行が日本各地で釣りをしながらワイワイする話。こういうのっていいよなあ。本日も引き続き什器制作。ジェイウェーブを流しながらひとりでモソモソやる。昼、『十一人の賊軍』のプロデューサー高橋くんから連絡。「よかったら前乗りして飲みませんか? 部屋は取っておくので」と嬉しいお誘い。深夜バスを予約していたのだが、急遽予定を変更して前乗りすることに。夕方まで作業して、大泉のオズシネマへ。マーティン・スコセッシ監督『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』をいよいよ観る。上映時間206分! 気合を入れてションベンをして、腰が爆発しない事を祈りつつ座席へ。もう、誰がなんと言おうと傑作です。すげえやディカプリオ。これを金出してあの役をやるなんて映画を分かり過ぎている。圧倒的な映画体験で、この内容の映画が潤沢な資金で製作されていることに悔しくなる。『福田村事件』の何百倍の資金だよ! 劇場を出た後、居ても立ってもいられず映画おじさんの川瀬陽太パイセンに電話。内容を熱く語り合う。夜、U-NEXTでジャン・ジャック・アノー監督『スターリングラード』を観る。ロシア人が英語を喋ることに根本的な違和感。
某日、門仲の工房で内装仕事。通勤読書は椎名誠著『サヨナラどーだ!の雑魚釣り』。最近、サブスクでの映画鑑賞が増えている。アタシも金がないのでDVDを買わずにサブスクで映画を観ている。これって便利だけどスマホで映画は観ないでほしいよなあ。せめてテレビ画面で観て欲しい。先日、瀬々監督が「コメントを求められた時にユーチューブやビメオのリンクを送られても、それでは観ないでDVDを送ってもらっている」と言っていたが、それが正しいと思う。作業は引き続きの什器制作。ひとりで作業していると独り言を言ってしまう。これって不思議だ。他人の目があると言ってないのにひとりだと「あ、そうか」とか「ちがうちがう」なんてつい呟いてしまっている。なんだろ? 寂しさから来るモノなのか? 別に寂しくねえんだけどな。夕方、工房に来た大工の山田さんに東京駅まで送ってもらって、一路京都へ。リノホテルまでバスで行く。まだ本体の撮影が終わっておらず、先に終わっていた俳優部が飲んでいるという連絡が来て、焼肉屋「楽天王」まで再びバスに乗って行く。京都はバスが充実していて便利だな。お店には阿部サダヲさん、松角洋平さん、吉沢悠さん、佐藤五郎さん、駿河太郎さんという先輩方がワイワイやっていて、人見知りでシャイなアタシは、初対面の阿部さんや吉沢さんに遠慮することもせず、バカ話でゲラゲラした。プロデューサーの紀井さん、高橋くん、野田さんも合流。高橋くんと2軒目に繰り出し、リノホテル前のバーでふたりで現在の映画界について真剣に討論もせず、お互いの色々な問題を多角的に検討し、笑い合う。リノホテル泊。リノはタバコが吸える喫煙部屋があってとてもいい。
某日、白石和彌組『十一人の賊軍』京都東映撮影所での撮影。アタシの本役「三途」はオールアップしたのだが、出番最終日に衣装の大塚さんから「マツーラくんは次いつ来るの?」と質問された。今作の出演者は自分の出番が終わったあとも、現場に差し入れ持ってきたり、炊き出ししに来たり、なんだかんだ撮影現場に遊びにきていたのだ。「いやー、どうっすかねえ」金のないアタシは差し入れもできないしなあ。「そしたら京都で撮るコロリ患者の撮影の時に遊びにきて出ちゃいなよ」と言ってくれる。「え?マジっすか」「衣装も用意しとくから。メイクのみどりさんにも言っとけばいいから」なんて仰ってくれた。そこでみどりさんに相談したら「ええやん! 三途、来なよ!」と結構ノリノリで賛成してくれた。おお、したら京都に行って、監督に秘密で出ちゃおうってそんないたずら心から京都行きが決定したのであります。これは極秘の隠密作戦なので誰にも知られず実行したかったのだが、どうやらおしゃべりな小柳くんが、事もあろうか監督のいる飲みの席でその話をしちゃったらしい。さらに他部署のスタッフさんからは「マツーラさんが京都に来るって太賀さんが言ってましたよ」なんて言われる始末。おしゃべりが多いなあ! まあ、約束した手前行くしかねえや。朝7時に撮影所集合だったのだが、電車に乗り間違えてちょっと遅刻。俳優会館の前で水澤紳吾さんが待っていてくれた。水澤さんは入江組の撮影で京都滞在中。マツーラが太秦来るってんで心配で待っていてくれたそうだ。なのに悠々と遅刻して来て怒られた。「のんびりタバコ吸ってんなよ! 早く支度しなよ!」水澤さん、すいませーん! ありがとうございます! 衣装を取りに8スタへ。なるべく顔がバレないように、帽子を目深にかぶってマスクもする。久しぶりにスタッフさん方に会えて嬉しい。「元気だった?!」「え? なんで京都いるんですか?」反応はそれぞれ。アタシの京都入りを知っている方も知らない方もいた。まあ、スタッフの方にはバレてもいいが、監督にはバレたくないので、皆に隠密行動である旨を伝える。野良着とフンドシを受け取り、メイク室へ。『福田村事件』でも一緒だった市川くんと久しぶりに会う。市川くんに「エキストラ出演なのにこんなにスタッフさんの手を使わせる人いないっス」なんて言われてしまう。支度後、喫煙所で入江組に出ている芹澤興人さん、遠藤雄弥くん、前野朋哉くん、水澤さんなんかとワイワイする。やっぱ撮影所っていいな。違う組のみんなとも会えるもんな。水澤さんから「柄本さんも来てるよ」と教えてもらったので、某組に出演している柄本明さんに挨拶に行く。柄本さんも「お、元気か?」なんて言ってくれておしゃべり。途中で「ユーヤはさあ」って言われて驚いた。え? 柄本さん、アタシのことユーヤって呼んでくれた?! 自分の名前を認識された事にも驚いたが、それより憧れて尊敬している柄本さんから名前を呼んでもらったって喜びが優ってしまう。いや、落ち着け、遠藤雄弥くんの事かもしれないぞ。しかしどう考えても、アタシに事を呼んでくれたっぽい。危なくウレションしてしまうトコだったが、そんなことしたら柄本さんに恥をかかせてしまうので、極めて落ち着き払っているふりをした。でも、マジで嬉しかったな。聞き間違えでない事を切に願う。佐藤五郎さんや松角洋平さんも喫煙所に来て、ワイワイする。しかし、会う俳優部が皆アタシが京都に来ている理由をご存知で不思議だったが、出どころは五郎さんと水澤さんだった。隠密行動だって言ったのに! さて、いよいよ現場に召集されて、京都のエキストラの方々とお白州に立たされる。演出部のあいちゃんからこっそり「なんて呼べばいいですか?」と聞かれたのでとっさに「長門屋土鳩です」と答える。アタシ、本日現場では「長門屋さん」と呼ばれていた。あいちゃんが「いつバラせばいいですか?」とも聞いて来たので「一切バラさずそのまま気付かれなかったら終わろう」と話しておく。アタシはカツラを被った上に顔を隠す白布を垂らして、顔バレを防いでいるつもりだったが、段取り中、誰一人白布を垂らしてる人がいない! たった一人、白布で顔を覆っているので逆に目立ってしまう。しかし、布を取る訳にもいかず、それで通す。アタシの事を知っているスタッフさんは、クスクス笑っているが、なるべく目立たないように芝居する。当の白石さんはずっと白布をしているアタシに疑惑の目を向けていた。段取り時に白石さんが「布はあげていていいですよ」なんて言ったが、ここで機転のきくあいちゃんが、アタシの白布を直すフリをしてピンチを救ってくれた。危なかった! 白石さんは相変わらずアタシを訝しんでいるように感じたが、近くに来るとアタシが白布越しにも分かるくらい荒い呼吸をして、「アタシャ役に集中しているんで構わないで!」オーラを全開にして、白石さんを近付けなかった。段取りをなんとか乗り切って、撮影に入る。なるべく目立たないをテーマに一生懸命やる。休憩時にお茶葉に行くと色々なスタッフさんに会って、驚かれる。白石さんが全く気付いてないって仰る方もいれば、「いや、気付いているけど泳がせてんだよ!」って仰る方もいた。午前中の芝居もなんとか乗り切って、昼食休憩。食券を渡されて食堂で飯。この時もいつ白石さんが来るかわからないので常に細心の注意を払って、柳川丼をかっ込む。休憩中、土平ドンペイさんともお会いできておしゃべり。持ち道具の松永さんから「大好きな映画を1本教えて」と質問されて、「岡本喜八監督の『肉弾』ですかね」と答える。松永さんは今回の白石組のスタッフ・出演者に同じ質問をして、答えを手帳に書き留めていた。他の人の回答を見せてもらって、意外な映画を挙げている事に驚いた。これ、イイ遊びだな! 午後からスタジオにアメフラシをさせての撮影。しかし、午前中大人しくしていた反動か、芝居がしたくて仕方なくなってしまう。我慢しないといけないのはわかっていたが、つい芝居したい発作が起きてしまい、死刑を知って逃げ出そうとする芝居をする。佐藤五郎さんが機転を利かせて、アタシを取り押さえてくれたのだが、この時にフンドシから愚息がポロリしていてスタッフさんの笑い声や「やだ、出てる!」「見えちゃってるから教えてあげて」といった声が聞こえてくる。さすがにバレるか! とヒヤヒヤしたが白石さんは衣装部さんにフンドシを直されているアタシに「大丈夫?怪我してない?」なんて優しい声をかけてくれた。返事して声バレする訳にもいかないので、何度もうなずいておく。さすがにバレたと思ったが、まだ気付いていないのだろうか? 照明部のしんさんなんか、アタシの白布を上げて確認しに来た。「芝居見て絶対マツーラさんだと思いましたよ! 出ちゃってましたもん!」と言われた。撮影の池田さんもどうやら気付いたらしく、近くに来るたびにクスクス笑っていた。アクションの吉田さんは「ジャジャ丸・ピッコロ・ポロリじゃないですか」なんて爆笑していた。本番でアメフラシ。野良着とフンドシだけのアタシは寒くて仕方なかった。全身がブルブル震えたが、他のエキストラさんも我慢しているので黙って立って待つ。五郎さんが心配してくれて、芝居でも一緒に絡んでくれて助けてくれる。夜7時くらいに出番終了。すぐに俳優会館の風呂に入ってあったまる。着替えてみなさんに挨拶して帰ろうと思っていたが、メイキング班から「白石さんに会わないんですか?」と言われ、白石さんは気付いていたのか真相を確かめに行く。白石さんに「お疲れ様でした」と挨拶すると「はい、お疲れ様でした」と軽く流される。帽子を取ったら「あれ? マツーラユーヤ?? どうしたの? 撮影?」と聞かれる。「や、朝からずっといましたよ」「え? どこに?」「お白州に立っていたコロリ患者で」「え! 嘘でしょ!」白石さん、気付いてなかったみたいだった。もしかしたら私に花を持たせるための芝居だった可能性もあるが、寄りを撮っていたのを検証していたからホントに気付いていなかったのかもしれない。まあ、大成功ってことで。出番の終わった松角さんと一緒にホテルまで送ってもらう。松角さんと二条で飲んでいる水澤さん、芹澤さん、前野くん、遠藤くんと合流するために移動。木竜麻生さんと偶然お会いしたので、お誘いして、一緒に繰り出す。松角さんが「まっちゃん、今日は朝までいこうよ!」「や、深夜バスの予約しちゃったんですよ」「わかった、したら新幹線代をカンパするから!」と言って4000円出してくれた。水澤さんも4000円、芹澤さんと前野くんと遠藤くんから3000円。新幹線代より集まってしまう。「後輩からは取るなよ、それじゃあカツアゲだよ!」と言われたが、前野くんも遠藤くんも広告やってるから大丈夫でしょ。よし、これで一泊して朝帰りゃあいいや! 門限がなくなったら急に気が大きくなる。バカみたいにワイワイ話し、ここには絶対書けないような話をする。木竜さんは10時で帰る。本当はみんな木竜さんに居て欲しかったのだが、水澤さんが「明日早いだろうしもうあがりな」と言ってくれたのだ。水澤さんってこういうトコがホント、紳士だ。そんな紳士集団は、業界における作法のバカバカしさを笑ったり、シリアスなギャラの話で盛り上がる。あっという間に閉店時間になる。「よし、なんかわからんけど、財布に金があるから、ココは俺が払う!」と、アタシが啖呵を切ったら、酔っ払っている松角さんと水澤さんが「偉い!」と褒めてくれた。しかし冷静な前野くんと遠藤くんから「それって元々僕らからカツアゲしたカンパ金じゃないっすか!」と、突っ込まれたが無視する。飲み屋の閉店後は、コンビニで酒を買って、水澤さんの部屋で飲む。水澤さんはすぐに寝てしまったが、我々はそんな事に構いはせず、朝5時までキャンキャンする。さすがに前野くんも撃沈し、解散。アタシはその足で二乗駅まで戻って始発の新幹線で東京へ帰る。
某日、8時過ぎに東京駅着。流石に眠くて仕方ない。しかも、品川で降りたのだが、山手線が工事で止まっていた。参ってしまう。大崎まで出て埼京線で池袋へ。水澤さんから電話。「誰かが部屋の鍵のカードを持っていってしまっていて、外出できない。マツーラ、持っていかなかった?」「や、俺じゃないですよ」「なんかカード入れるとこにスイカが入ってるんだよ。〇〇から●●までの定期券」「あ、前野くんが間違えて持ってるんじゃないですか?」案の定、前野くんが間違えて持って帰ったらしい。しかしなんで律儀にスイカを替わり入れたのかしら? 酔っ払いの行動はわからんなあ。秋津の自宅に着いたら昼近かった。帰り道でマネージャーの井上さんに電話。昨日、柄本さんに名前で呼ばれた事を伝える。あまりに嬉しくて、井上さんに聞いて欲しかった。休日の午前中に迷惑極まりない電話だが、それでも伝えたかったのだ。柄本明という俳優は、アタシにとってそれくらい尊敬するヒトなのだ。柄本さんの芝居に対する姿勢は真似できないけど、自分の芝居を疑う事、常に最後の最後まで探し続ける事は、真似し続けると思う。あの年齢とキャリアを持っても、本番直前までセリフの出し方を探る姿勢には感銘を受けた。クソ! アタシもあんな俳優になりてえ! って思わされる。帰宅後、すぐに寝てしまう。目覚めたら夕方。各方面から連絡あり。前野くんから昨日の部屋飲みの写真が送られて来たが、地獄の有様だった。タナダユキさんから連絡。飼い猫のひるねが亡くなった。ひるねは昔、カミさんが見つけて保護した捨て猫で、タナダさんが里親になってくれたのだ。残念だが、ここまでしっかり世話をしてくれたタナダさんに感謝しかない。夜、溜まっていた日記を書く。ああ、『あるとしか言えない、かもしれない』の原稿も書かなきゃだ。U-NEXTでスコット・クーパー監督『ブラック・スキャンダル』を観る。