某月某日、内装仕事で清澄白河。電車内読書は赤松利市著『救い難き人』。赤松さんの新刊で、この作品のために1年かけた渾身の一冊。心して読み始める。昨日の内装現場とは違う、マンションの室内解体現場へ。伊藤くんと二人で作業。アタシは木軸解体と天壁解体。伊藤くんは床のケレン作業。暑い、、、暑すぎる。東京は34度。だが、風がなくて蒸している。大型送風機を最強風量にして回しているが、湿度の高いヌルっとした空気をかき混ぜているだけで、不快指数が高い。脚立を登り降りするだけで全身に汗をかく。天井裏に回された電線や火報線を捌かなきゃいけないのだが、縦横無尽に張り巡らされていてクッソ腹がたつ。誰だ! こんなバカみたいな配線したヤツは! 暑さや作業の面倒臭さにイライラしてしまう。や、それだけじゃないわ。減量で腹が減っているのも多分に影響してる。本日も昼飯抜き。午後、急に雷と豪雨。一気に気温が下がって作業しやすくなった。ガラ袋30体分を解体した。夕方、近くの現場で作業していた守屋文雄さんと嶺豪一くんが助っ人に来て、ガラ出しをやってくれた。伊藤くんと残業して、床のケレンを終わらせる。ヘトヘトになる。夜、豪一と新宿御苑へ。ファッション誌『2nd』の上田副編集長とカメラマンの行武くん、ごーいち、アタシで『赤ちょうちん』という料理屋へ。上田くんがオススメのお店で、肉料理がメチャクチャ美味かった。牛肉の刺身や焼肉、皿モノの料理、全てが絶品!驚いた。減量中なのに「肉はタンパク質だから」と言い訳して食ってしまう。行武くんが豪快にバンバン注文するので、メニューの値段を見たアタシはビビってしまった。ヨッ! 貧者の小心者! で、今回の会合は、上田くんとセカンドにおける連載の企画を話し合う場だったのだ。上田くんが「マツーラさんの日記、面白いんでうちでやりません?」と誘ってくれたのがキッカケ。でも日記連載は伸也と『浪子回頭日記』を準備中なので、他の企画を提案する。「こんな企画どうかしら?」と出すものが、お下品過ぎたり、おバカ過ぎたりしてしまう。上田くんは面白アンテナが鋭いヒト。上田くんの面白アンテナをバキバキにおっ勃てたいのだが、なかなか反応を示さない。雑誌のテイストもあるし、企画って難しいなあと感じ始めた頃、ふとアタシがやりたい事を話したら上田くんがバチッと来た様で、「それ、いいですよ!やりましょう!」と乗ってくれる。方向性が決まれば、バタバタアイディアが出て来る。1軒目の高価なお食事代は、上田先生がお支払いになられる。ゴチです! 2軒目は「呑者家」へ。いい具合に伸びている企画を更に揉む。うん、コレは面白くなりそう。さあ、後はアタシが書くだけだがどうなるか。上田くんは「いつでもいいので書いたら連絡ください」と言ってくれたけど、アタシを信用しちゃいかんよお。終電まで飲んで、西武線で所沢へ。所沢から歩いて帰る道中、色々考えがまとまってきたが、マジでいつ書く??
某日、内装仕事で清澄。本日から5時半起床。一昨日乗り込んだ左官現場へ。電車内読書は引き続き『救い難き人』。一昨日、昨日と午前1時過ぎに帰宅し、風呂入って寝るのが2時過ぎ。結局3時間くらいしか眠れず。流石に眠い。昼の酷暑の中の肉体労働もあって更にシンドイのだろう。仕方ねえなあ。好きな事やってんだもんな。本日は室内壁のシートップ左官。守屋文雄さんとバタバタ練って、バタバタ塗る。守屋さんのスピードについていこうと頑張ったが、敵わず。午後1時まで作業して早上がり。虎ノ門のオズワルドシアターへ。全く知らなかったのだが「虎ノ門ヒルズ」って新駅が出来ていて、初めてそこを使った。まだ天井のボードも貼り終わっていない工事途中の駅だった。奥野瑛太くんと待ち合わせ、一緒に劇場へ。宮藤官九郎監督・横浜聡子監督・渡辺直樹監督『季節のない街』初号試写。(全10話のうち、1・2・3・6話を上映)上映前に荒川良々さんや岩松了さんとお話しする。現場で撮影もしたし、脚本も読んでいたのだが、想像以上に面白かった。そして、6話でホームレスの子供が死んだシーンで涙が流れた。全話観たわけじゃないですが、これは大変面白い作品ですわ。よかった! 初号後、良々さんのお誘いで「福島屋」で打ち上げ。良々さん、岩松さん、奥野くん、宮藤さん、横浜さん、渡辺さんのメンツ。宮藤さんと横浜さん、岩松さんとは初めて飲んだ。「気違い水」を飲んだら、どんなヒトも同じ地平に立つ様に思う。みんなでワイワイやって、キャンキャン言って、ゲラゲラ笑うのだ。横浜さんの枝豆の食い方がカワイくて、見惚れてしまった。バカヤロー! 邦画界の宝だぞ! 途中、「ナカゴー」の主催・鎌田順也さんが亡くなったことを知る。虚血性心不全だったそうだ。「ナカゴー」は岩谷健司さんに勧められて3回くらい観たが、毎回、過呼吸になるくらい腹を抱えて笑った。あんな面白い劇を作るヒトだったのに。本当に惜しい。夕方5時過ぎから飲み始め、11時過ぎまでずっとワイワイする。「福島屋」を出て駅まで横浜さん、宮藤さん、渡辺さん、奥野くんと歩く。15分くらいだったが、なんだか凄くいい時間。ディズニー作品の試写は初めてだったらしい。作品もDVDにはならないかもって話を聞いて、腹が立つ。だって、配信が終了したらこんな面白い作品を観る手段が無くなってしまうじゃないのさ! 配信優先で作品をDVDにしないと、必ず後悔する時が来るぞ! チクショウ! と、唇を噛みながらなんとか終電で帰る。
某日、内装仕事で清澄白河。本日も5時半起床。の予定だったが、4時くらいに両足のふくらはぎが激しく攣って目が覚める。メチャクチャ痛い。少しでも痛みが和らぐ体勢を取ろうと、モゾモゾ動いてみるが、全く効果がない。どういう体勢になってもふくらはぎはピーンッとなって呻いてしまうくらい痛いのだ。まだ外は暗いし、こんな時間にカミさんを起こす訳にもいかない。歯を食いしばってのたうち回っていると、飼い猫のタロとむっちゃんが「もうご飯の時間ですか?」と、ニャーニャー鳴き始める。チョメがうずくまるアタシの背中に乗ってフミフミする。それどころじゃないのに! 連日の猛暑の中の労働と、睡眠不足が招いたのだろう。30分くらいのたうち回った。5時くらいに猫に餌をあげて、コーヒーを入れ、タバコを吸いながらメダカに餌。朝顔とプランターに水を撒いて、猫トイレを片付けて出勤。歩くとふくらはぎが痛む。でも、後悔はない。身体がキツかろうが好きな事をやってキャッキャしている時間が、アタシにとっては大切なのだ。通勤読書で『救い難き人』読み終わる。本日も守屋さんと左官の続き。現場内は直射日光が差し込み、外気よりも暑くなる。午前中が勝負なので、守屋さんとバタバタ左官する。コテの使い過ぎで右肩も痛む。プロ野球選手が登板過多で怪我をする様なモンだな。向こうは上手くすりゃウン千万を稼げるが、こっちは日当いくらの微々たる金だ。格差があるよなあ。昼休憩時、職人さんたちはメシに出払うので、昨夜届いた白石和彌組『十一人の賊軍』の決定稿を読む。出番が増えていた。ああ、白石さんありがとうございます。アタシがしつこく「もっと出せ! 最後まで生きのこらせろ!」って言ったから出番を増やしてくれたのだろう。懸命にやります。楽しみだなあ。新発田弁なので練習しないと。午後、残りの左官をやり始めるが、何かおかしい。左官したところに気泡がたつ。んん?? こりゃ、壁が暑くなり過ぎて硬化不良を起こしてるっぽいな。左官が出来ないくらい暑い中で働いているってどうなのよ? 残りの左官面が僅かだったので、無理やりしごいて終わらせる。流石に疲れ切って清澄の駅の階段を降りていると、再びふくらはぎが攣る。しばらく動けず。うちに帰って早々に寝てしまう。
某日、内装仕事で清澄白河。5時半起床。よく寝たので気分がいい。ただ、気を付けないとふくらはぎが痙攣する。こむら返り爆弾を抱えたままソロソロと動く。電車内読書は川崎洋著『悪態採録控』。白石組は幕末の時代劇なので、チャチャを入れるのも現代語になってしまうとマズイ。当時の言葉のお勉強のために読む。想像していたより口語は今と変わっていないな。「サンピン」という言葉が「三一」で博打用語から来ているとは知らなんだ。幾つになってもお勉強だ。本日は左官した壁のエイジング塗装。ちょっと枯れた感じの古びたエイジングを求められた。シャバくした白塗料を薄い順に何層も重ねて塗っていく。時間と手数をかける作業だが、嫌いじゃない。暑い中、ねじり鉢巻で壁に向かって作業に没頭していると、段々自分が何をしているか分からなくなってくる。その分からなくなりながら手を動かしている時間が好きだ。昼休憩で、実家の本屋から届いた「映画芸術484号」を読む。巻頭が『福田村事件』の特集、中島貞夫さんや福間健二さんの追悼特集もあった。映芸は追悼記事ばかりだという批判があるが、業界に貢献した方々の功績を残して何が悪い! アタシ的に素晴らしくお勉強になったのが、「日本映画制作適正化とは?」の対談。昨今、話題になっている映適の成り立ちや過程が理解できた。映画界の労働環境、いつ変わるの? 今でしょ! 4時くらいであまりに暑くて早上がり。映画でも観たいが、金がねえよお。うちに帰ってここ1週間、全然書けていなかった日記を書く。「映画芸術」を読み切って寝る。
某日、内装仕事で清澄白河。5時半起床。朝方、左足がこむら返りを起こす。またかよ! 癖になってるな。サッカー選手の如く、つま先を持って伸ばす。本日は土曜だったので電車にゆっくり座れた。毎日これくらいの乗車率ならいいのにな。電車内読書はジョン・ハント著『エベレスト登頂』。これを読んでいて、実際の登坂よりも出発に至るまでの準備が大切なんだということが分かる。映画も同じ。撮影現場に臨むまでの準備が大切だし、それが大変なんですよ。でもその準備作業って見えないし、理解も得られにくい。つまりゼニにならねえって話。でもさあ、準備を怠っている俳優ってすぐわかるよな。現場で対峙した時に「お、やってるねえ」ってなるか「俳優やめちまえ!」って思うか、その差ってでかい。なんてイッパシの俳優ズラして能書き垂れておりますが、本日は什器塗装と外部の補修左官。外で配管の埋め戻しのため、モルタルを練っていると、練ったそばから硬化が始まってしまう。いや、暑すぎるんだよ! こんな時に左官作業なんかやっちゃダメなんだって。参っちゃうなー。もうジャパンは7月8月は仕事しちゃダメな国なんだ。どうしても仕事させたいなら、日当を3倍にしてくれよ! 昼休憩時にふて寝する。暑くて眠れやしねえやチクショー。夕方、作業が残ってしまったが残業する気力はない。守屋さんと話し合って、明日、日曜出勤やることに。真面目な日雇い労働者だねえ! 秋津駅で倅と待ち合わせ、一緒に小手指へ。小手指の公園で4年ぶりに盆踊りが開催されている。出店もついているので、早めに行って倅と射的やくじ引きをする。かき氷を頬張って、再び射的。お袋も合流してくれる。人出が多くなったので倅をお袋に任せて、実家の本屋「菊屋書店」で本を見る。ユヴァル・ハラリ著『21 Lessons』を購入。お袋とともに帰る。夏祭りが開催されるようになって、どこも例年に比べると人出が多い。多分、みんな金がないから近所で済まそうとしてるんだな。ジャパンは貧国になりにけり。
某日、清澄白河で内装仕事。5時半起床。日曜で電車はガラガラ。しかし6時台なのに、もうすでに暑い。電車内読書はユヴァル・ハラリ著『21 Lessons』。現場は守屋さんと二人だけかと思ったが、電気屋さんが分電盤を取り付けに来ていた。「お互い、休みなく働いてバカみたいだねえ」なんて言われる。そうだよなあ。こんな働かないと食えないって異常ですよ総理! 本日は什器塗装と床塗装。職人さんが少ないので守屋さんと映画話をしながら作業する。しかし、今日も暑くて、入り口付近の塗装をしたら、壁が熱を持っていて、筆を置いた瞬間、塗料が膜を張ってしまう。これじゃあ塗装もできないよお。守屋さんが諦めた口ぶりで「玄関は明日オレがやるから飛ばしていいよ」と言う。申し訳ないなあ。全てこの気温、ひいてはこのジャパンが悪いのであります! 午後までに作業を終わらせて帰る。うちに帰ると、ベッドに横たわった瞬間に寝てしまい、夕方起きた。倅から、「今日、エジプト展行ったからお土産」と、ツタンカーメンのペンをもらう。なかなかイケてるな。作業着をまとめて洗面台で手洗いすると、泥水がブクブク出てくる。これって全部現場のホコリだよな。イイ環境で仕事しているなあ。夜、数日分の日記を書く。明日も早いのだが、このまま寝るのは癪なので、DVDでジョー・コーニッシュ監督『アタック・ザ・ブロック』を観る。