某日、家族旅行で新潟は村上。朝起きると飯の時間まで暇なので、倅と朝風呂。倅も温泉に浸かる良さが理解できたみたいだ。7歳で温泉の良さが分かるなんて渋いな。朝飯もバイキング。これも美味いのよ。パンやソーセージもたくさん種類があるし、おかゆや定番の焼き鮭ご飯もある。またバカみたいに食ってしまう。あまりにせり出た腹に食後、ようやく罪悪感が生まれるが、見なかったことにする。ホテルをチェックアウトして、再び海へ。今朝は海中が透明で、底が見える。倅とテトラポッドまで泳ぎ、イソギンチャクを突っついたり、タチウオの稚魚を観察。生き物の数は少なかったが、やはり太平洋とは違う。アタシは日本海の海が好き。昼まで日焼けで真っ赤になりながら遊ぶ。帰りは水に濡れてクソ重くなった荷物を抱え、帰る。倅も流石に疲れた様子で電車では寝ていた。うちに着くと猫が「てめえらどこ行ってたんだ!」と怒って甘えてくる。楽しい旅行だった。ただ、恐ろしいことにこの2日の暴食で体重が3キロ戻ってしまっていた! マジかよ! 3キロも食ったのか? 帰るなりカミさんはスマフォの家計簿アプリを開いてブツブツ言っていたので、倅と早々に寝る。
某日、無職渡世。朝起きるとカミさんが「アンタ仕事は? なんで夏休み気分なの?」と詰められる。内装の仕事が館山の案件しかなく、泊まりで遠征なので参加できないのだ。そればっかりは仕方ない。「まあ、都内現場がでたら働きますわ」「いいわよねー、極楽とんぼは。アタシにオンブにダッコだもんね。穀潰しが!」と褒められるので、倅を連れて秋水園のプールへ。ここは入場無料なので、小学生が大量に来ていて無秩序の動物園状態。父親もアタシだけで居心地が悪い。早々に上がって、市民プールへ。こちらは空いていた。倅は自らビート板を手に泳ぎ始める。バタ足で25メートルを泳いで、折り返す。100メートル超えた時に「もう疲れちゃうから休憩しよう」と提案したが「カントー地方のポケモン(150匹らしい)を超えるまでやる!」と言って、結局160メートルを泳ぎきっていた。驚いた。先日まで深いコースもビビって泳げなかったのに。すげえなあ。午後、日記を書いたり雑務をこなす。3時頃、寝てしまう。夕方、カミさんから引っ叩かれて起こされる。「アタシが働いてんのに子供の面倒も見ないでよく寝れるな! アンタ、お盆のスケジュールどうなってんのよ!」と怒られたので、井上さんに確認する。夜、倅とお土産、通知表を持って実家へ。倅はお袋からご褒美にお小遣いをもらっていた。昼寝したので眠くなく、夜、DVDでコーエン兄弟監督『未来は今』を観る。
某日、無職渡世。朝、倅を学童に送る。起きがけはカミさんに「行きたくねえ」と愚痴っていたらしいが、アタシが送るとなると観念したようだ。そのまま池袋に出て、池袋東宝で山下敦弘監督『1秒先の彼』を観る。清原果耶さんがとてもよかったなあ。清原さんのパートになって心動かされた。我らが荒川良々さんは言わずもがな最高でした。加藤雅也さんもよかった。観終わって、撮影の鎌苅さんに連絡する。電車内読書で上温湯隆著『サハラに死す』読み終わる。そのままうちに帰って、帰宅した倅を連れて、東所沢の天体望遠鏡メーカーの「ビクセン」へ。倅が天体望遠鏡を買いたいらしいが、アタシも全く知識がないのでプロに相談する。天体望遠鏡は大きく分けて屈折式と反射式の2種類あるそうで、屈折式の望遠鏡を勧められた。倅の予算を聞いて、親身に相談にのってていただく。うちで倅とカミさんを交え、購入への検討会。そのまま寝てしまう。夕方、新宿に出て「みくに丸」へ。奥野俊作監督と植田紗々さんと『冬物語』の感想を言ったり、今後の展開を話す。帰るとカンボジアでお世話になったダヴィからメール。ダヴィが監督した『ソウルに帰る』の日本公開の宣伝で来日するそうだ。時間が合ったら小野田のメンツで飯食おうとのお誘い。嬉しいなあ。早速、遠藤雄弥くん、井之脇海くん、カトウシンスケさんに連絡する。
某日、朝、倅を保育園へ送る。夏休みは保育園にも参加するのだ。本当はうちでDVDでも観たかったのだが、カミさんが「アタシの休みの日なんだからアンタは絶対出ていって。一緒にいるだけでイライラするから」と牙を剥かれたので、そのまま阿佐ヶ谷へ。 MORC阿佐ヶ谷にて高畑勲監督(製作・宮崎駿)『柳川堀割物語』を観る。偶然発見した本作の上映だったが、これが傑作! なぜあまり知られていないのだろうか? 本当に良質なドキュメンタリー映画で、これを多くの行政関係者に見て欲しいと強く思った。柳川の街に掘り巡らされた水路の物語。江戸時代の水権利争いから、当時のドブになった水路をコンクリートで埋め立てて排水路として利用とした市政を、一人の職員が反対し、水路を清掃・再生するまでの話。度々言うが傑作だ。いい気分で永江二朗組『リゾートバイト』のアフレコ現場の西荻窪へ向かう。録音の指宿さんのスタジオ。永江監督や演出部亀ちゃんとヤーヤーする。1時間くらいでサクッと終わる。電車内読書で森達也著『集団に流されず個人として生きるには』を読み終える。作中で人間が集団になったとき、不安や恐怖にかられて狂気的な行動に走った実例が具体的にいくつも挙げられていた。ここで思うのだが、義務教育の過程で集団心理を学習する機会を作るべきじゃないか。人が狂気的な行動に至る前に、「それ、まずくない?」って自分の意見を言う事。そしてその意見を数で潰さず、皆で科学的に検討し議論する。そのクセを子供の頃からキチンと学ばせる場を作る。集団に流されずに自分の意見を発言したり、一度冷静になって異端と思われる意見もちゃんと検討する体験をしていれば、今後、最悪な機会を逃れる事があるのではないか?そういう教育の方が今は大切なんではないか? と思った。一度坂を転がり始めたらなかなか止められない事も、転がる前や転がり始めた時ならば、止める事もできるだろう。ヒューマンとして大切な事だと思うんですが、いかがですかエライひと!
某日、無職渡世。朝からカミさんの機嫌が悪い。カミさん、今日誕生日なのに。もう今月分のお金を使い切ってしまい、昨夜、前借りを頼んだのがいけなかったか。カミさんのテアトルの株主優待券で映画無料券の使用期限が今月いっぱいだったので、渋谷はヒューマントラストシネマへ。工藤将亮監督『遠いところ』を観る。正直、作品の前情報は何もなかったし、監督も存じ上げなかった。が、主演の花瀬琴音さんの芝居に持っていかれた。生々しく生活を映し出す手法で、その場に立っているだけで画になっていた。すげえな。勿論、作劇が強すぎると感じたところもあったが、それ以上に作品に力があったし、この映画を多くの人に見て欲しいなとも思った。1つ、勉強になった事。作中で知人の俳優部が多く出て来たが、その途端、「あ、作り物だ」って思ってしまった。せっかく作品の世界に没入していたのに、途端に冷めてしまった。特にこういう無名性をまとった俳優が、生々しくやっている作品では、知名度が仇になる。これはアタシも気を付けないといけない。帰って、倅と秋津神社のお祭りへ。カミさんが学校の係だったらしく「防犯」と記された腕章を巻いて行けと命令される。だっせえな。そもそもアタシみたいな犯罪者ヅラしたおっさんが「防犯」っておかしいだろ。3年ぶりのお祭りだったので、人出も凄かった。弟の哲也がわざわざ伊賀から帰って、お囃子で舞っているので観る。倅が楽しみにしていたので、バカみたいな行列に30分くらい並んで射的をやる。くじ引きもバカみたいに並ぶ。でもここで限界。人が多いところが苦手だし、行列に並ぶ神経が理解できない。イライラして喧嘩しそうだったので、カミさんを呼んで代わってもらう。帰って、ブルーレイでマーティン・スコセッシ監督『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を観る。やっぱ傑作だよ。俳優が楽しんでやってる。現場でもテストに時間をかけて、即興(インタビューではインプロヴィゼーションと言っていた)で芝居の掛け合いをしたらしい。スコセッシがそれを好んだので、現場で俳優部が自由にできたそうだ。規模感は雲泥の差だが『岬の兄妹』でも同じやり方をしていたなあ。
某日、無職渡世。朝、倅の自由研究「アリはどんなエサを好むか」という課題を一緒に取り組む。甘味(砕きクッキー)・苦味(ピーマン)・旨味(鰹節)・酸味(梅干し)の五味を並べて、どれが人気か調べるのだ。実家の庭にエサ台を設置し、観察する。暑さのためか予想以上にアリがいない。蚊に刺されながらアリを探し、桜の木の下に巣を発見。エサ台を設置する。午後、倅が戦国時代が好きなのでPS4で「信長の野望 創造」をやる。知っている大名や武将が出てくると早口で説明してくれる。夕方、実家でカミさんとゆかちゃんの誕生会。祖父・両親・哲也・ゆかちゃん・倅・カミさん・アタシでワイワイ飯を食う。先日のバカ食いで後悔したのですごく自制していたが、それでも食ってしまう。夜、ブルーレイでザック・スナイダー監督『ウォッチメン アルティメットカット版』を観る。映画の『ウォッチメン』がアタシは大好きで、大傑作だと思っている。公開時も映画館で観たし、通常のDVD版も持っている。しかし、先日見つけたアルティメットカット版は知らなかった。どうやら24分の未公開カットを足したディレクターズカット版に、さらにアニメーションが足されたものらしい。尺は劇場公開版が163分で、アルティメット版は215分! 長けりゃ良いってモンでもないが、これには狂気性を感じでしまう。気合いを入れて観る。いや、コレ、全く別モンだよ! 素晴らしい! 大きな流れが変わっている訳ではないが、尺が増えた分、キチンと作品が深く豊かになっているし、要所要所に入ってくるアニメもいい。ここまでやってくれたら大満足。コレが完成版って感じがした。声を大にして叫ぼう。『ウォッチメン』はアルティメットカット版がオススメである! 公開時は劇場の回転数もあるだろうし、尺を短めで上映して、ソフト化や配信時にディレクターズカット版として尺を気にしない作品を作ったら商売になるんじゃないかな? まあ、作品が面白くなきゃダメだけど。
某日、無職渡世。朝、6時に倅が起こしに来る。「哲也くんとゆかちゃんをお見送りするんでしょ」と言われるが、まだ寝てるっつーの。7時半に倅と実家へ行き、皆で朝飯。倅の目が真っ赤で、鼻水がひっきりなしに出ている。哲也とゆかちゃんに挨拶して帰る。午後は松井周さんの作・演『さいごの1つ前』を倅と共に観劇予定だったが、この体調じゃあ無理だ。アタシひとりでハーモニーホール座間まで行って『さいごの1つ前』を観劇。炎天下、相武台前駅から15分くらい歩く。暑くてかなわない。初めての劇場だったが、市民ホールでいわゆるコンサート会場みたいな作り。舞台前方席が子供席になっている。今作は子供と一緒に観れる劇で、久保井研さん、薬丸翔さん、湯川ひなさん、白石加代子さんが出演されていた。芝居は松井さんのオリジナル脚本で、死後、生前の記憶を探す白石さんらが天国行くか地獄に行くかって話。子供劇だし油断して鑑賞していたら、突然白石さんがお腹のおっきな姿で現れて、スカートの中から「太陽系」を産んだのだ!! 白石加代子さんから産まれてくる地球や火星、太陽といった太陽系の惑星たち!世界中見渡しても、白石加代子さんが惑星を産むなんてシナリオをかける人間が、松井周さん以外存在するであろうか? やっぱり松井さんはブッチギリのヘンタイだ! 観劇後、松井さんに挨拶。いつも通り穏やかに笑っていたが、この頭の中にはトンデモナイモノが渦巻いているのであろう。相武台前駅まで歩く15分が、往路にはなかった満足感と清々しさでいっぱいだった。良い芝居を観れたなあ。
某日、内装仕事で清澄白河。電車内読書は利重剛著『利重人格』。朝、工房で左官道具一式を準備して、守屋文雄さんと乗り込む。現場は路面店のカレー屋さんで室内左官。古くてモダンな建物を改装し、月内にオープンさせる。大工さんは糠部さんのチーム。本日は床養生や壁面の下地処理。全部の壁面にアクドメを2回塗布。さらにシーラーを入れる。本日は36度。その上、今回の店舗は直射日光が午後3時まで照りつける、非常に日当たりのいい場所。勿論、ドアや窓も設置されておらず、クーラーもない。外に出れば風が吹いているが、店舗内は空気が淀んで蒸している。ヤバイですぞ! しゃがんで養生しているだけで滝の様な汗が滴り落ちる。あちい。カミさんに買ってもらった大型保冷水筒にコンビニで買った氷をぶち込んで、ひっきりなしにお茶を飲む。明日以降の左官作業が思いやられるなあ。定時で上がって、新宿へ。駿河屋でDVDを漁る。ロバート・アルトマン監督『ロング・グッドバイ』、マーティン・スコセッシ監督『救命士』、オリバー・ストーン監督『ナチュラル・ボーン・キラーズ』といった懐かしい映画と、ジョー・コーニッシュ監督『アタック・ザ・ブロック』を購入。全部で3000円。安いよなあ。テアトル新宿で熊切和嘉監督の新作『658km、陽子の旅』を観る。くたびれた菊地凛子さんがよかった。竹原ピストルさんもよかったなあ。芝居が過剰に感じた部分があったので原因を考えたが、脚本の問題な気がする。熊さんの映画に映る雪はとてもいい。平日の7時回でも、年配客を中心に6割埋まっていた。すごいな。劇場で偶然、映画監督・脚本家の井上淳一さんとバッタリ。映画の感想を話すうちに熱くなってしまい、テアトルの横でピーチクパーチクする。お互いお酒を飲めないし、アタシは減量中のため飯に行けず、井上さんに缶コーヒーを買ってもらって、コンビニの横で再びピーチクする。『福田村事件』『カードカウンター』『インディ・ジョーンズ』の話やら映画芸術誌の話、昨今の業界話にまで広がって、盛り上がり結局、終電で帰る。所沢から歩いて帰る途中、北秋津小の近くでタヌキと出会う。お互いにしばらく見つめ合ってしまい、驚いた。もしかしたらなにか術をかけられたのかもしれん。この辺も開発で雑木林が丸々消えた。達者で暮らせよ!