某月某日、昨夜は残業して帰宅が遅かったのと、解体仕事の疲れもあり、9時頃に起床。朝からカミさんのご機嫌がすこぶる悪い。「こっちは朝からバタバタ家事こなしてんのに、何もやんないでイイご身分だな!ちょっとは家事をしろハゲ!」と、かまされる。ヘラヘラ笑って流していると「その顔がムカつくんだよ! 自覚しろサイコパス!」って、足音を荒げて2階に上がってしまった。倅と顔を見合わせて笑う。これ以上お怒りにならぬよう息を潜めて『インディ・ジョーンズ クリスタルスカル』を倅と一緒に観る。本日は倅と新作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』を観に行くので、その予習。倅にはインディシリーズを1から全部観てもらった。『クリスタルスカル』はファンの間でも賛否分かれるが、アタシは内容どうこうよりインディシリーズが作られたこと自体が嬉しかった。公開時「荒唐無稽な宇宙人が世界観を壊した」と言われたが、それこそインディなんだと思う。科学じゃ証明できない事を描いてこそインディなんだから!午後、倅と大泉のオズシネマへ。『運命のダイヤル』はほぼ満席。いやー、よかったなあ。客層もシニア層からアタシみたいな親子連れ、若いカップルもいて、インディが愛されている事を確信した。ちなみに班長さん(山本浩司さん)は、新作が楽しみすぎて、公開初日の前日に映画館に行ってしまったそうだ。チケットも発券されたから気付く事なく入場し、予告で『運命のダイヤル』が流れたので「今から観るから予告はいらないよ」と思っていたらしい。始まったら『スパイダーマン』でおかしいと思って係員に聞いたら「これ明日のチケットです」「あ、明日か!」そこで気付いたそうだ。『運命のダイヤル』は監督がジェームズ・マンゴールドということもあって、アクションシーンのカット割りが早く、テンポが良く飽きさせなかった。これがスピルバーグだったら、アクションシーンがちょっと垂れていたかもしれない。「とうとうタイムスリップか!」とも思ったが、何でもイイのだ。歳をとったインディの活劇がみれりゃあ満足なり。インディがシラクサの包囲戦を眼の前にして「私はここに残る」と言い出すシーンは名演だったし、その後の展開も良かった。カレン・アレンが「ここは痛くない」と言うキスシーンの時は、倅がアタシを突っつき「これ、レーダースでやったやつだ!」と興奮していたのは嬉しかった。ラストカットの帽子を掴んで終わるのも良かったなあ。クレジットロールでテーマ曲が流れた時、倅が体を揺らしていたので「おしっこか?」と聞いたら「違うよ!」と怒られた。どうやら曲にノッテいたらしい。悪い事をしたな。満足して映画館を後にして、映画の半券で無料クレーンゲームをやったら、倅がマイクラのエンダードラゴンの頭を取って喜んでいた。夜、マチュー・カソヴィッツ監督『憎しみ』をDVDで観る。ラストシーンでハッとしてしまった。上手いなあ。俳優の演技も生々しくて、よかったなあ。傑作なり! ただ、DVDにプレミアがついてしまっているのは問題だ。こんなイイ映画、みんなに観て欲しいもん。
某日、午前中、カミさんと倅は漫画喫茶に行ってしまった。本当は一緒に行きたかったが「稼ぎもねえのにレジャーについて来んな」というカミさんの本質をついた鋭い一言で、アタシはお留守番。メダカの水槽を掃除。稚魚がはやけているので、孵化用水槽を作る。プランターも追肥して土を耕し、二十日大根の種を植える。午後、川瀬陽太のおじさんからお借りしたウィリアム・フリードキン監督『バグ』をDVDで観る。フリードキン、俳優の芝居を緻密に撮れる監督なんだなあ。主演の二人、アシュレイ・ジャッドとマイケル・シャノンが素晴らしい。密室劇で画変わりしないのだが、見せ方を計算していて飽きさせない。さすがフリードキン。夕方、実家に遊びに行くと、弟の伸也と祖父とお袋が黒澤明監督『七人の侍』を観ていた。「千秋実がいいねえ」「宮口精二がたまらないな」「左卜全が一番イイな」と口々に感想を言い合う。しばらくぶりに観たが、三船敏郎が赤子を抱えて「こいつは、オレだ!」と言うシーンだったり、「百姓はなあ、ズルクて、、、」というシーンなどはやっぱり覚えていた。名シーンって必ず記憶されているんだ。映画ってすごいな。夜、なんだか体が重くて、すぐ寝てしまう。
某日、イケてるファッション誌『2nd』のデルモ撮影で新宿郵便局前集合。郵便局前に行くと必ず知り合いのスタッフさんと会う。本日も制作部の中村元さんとヤーヤーする。N組の撮影らしい。編集部の生田目くんと落ち合って、キャンプの達人・白水さんと3人でレイクロッジヤマナカへ。山中湖の湖畔のキャンプ場。今回は中古キャンプグッズの特集で、アタシがモデルで呼ばれたのだ。まあ、アタシを呼ぶくらいだから正直なところ『2nd』編集部は狂っている。キャンプ場で副編集長の上田くん、カメラマンの行武くんとアシスタントの黒ちゃんも合流。上田くんと行武くんは勝手知ったる仲で、もう友人みたいなもん。ヤーヤーして、白水さんと生田目くんはテントを設営し、他のメンツはロケハンして、ワイワイやりながらスチール撮影が始まる。上田くんや行武くんの演出を受けて、なかなか気ままなゴールデンレトリバーのジャスミンと一緒にパシャパシャやる。上田くんと移動中、雑誌連載について話す。(これが現在『2nd』で連載している埋蔵金探しの「あるとしか言えない。かもしれない」になったのだ)上田くんは本当にアタシに連載を持たせようとしてくれていて、嬉しくなってしまう。これからはデルモ兼文化人としてやっていくべえかな。今回の撮影テーマは「フランス映画っぽく」になった。現場で撮った写真がぽかったらしく、それが合言葉になる。「マツーラさん、フランスっぽく」とか「今の食い方はフランスっぽくない」と行武くんに言われながら、果たして「フランスっぽいってなんだ?」という本質的な疑問には触れず、必死でフランスっぽさを体現する。映画とも違ってスリリングな現場なり。日没のカットも撮影し、皆でワイワイ撤収作業をして、湖畔に映る逆さ富士も見て、ワイワイ帰る。『2nd』の撮影は少人数の部活みたいに、常にワイワイしていてとても良いのだ。夜、ネットフリックスでデヴィッド・ミショット監督『ウォー・マシーン』を観る。ブラピがいい味出していて、羨ましくなる。製作にプランBがクレジットされていて、俳優が良い映画の製作に入るアメリカを羨ましく思う。
某日、今週も内装仕事が切れていて、再び無職渡世。しかし、朝起きると全身が関節痛で頭痛がして喉が痛い。久しぶりに風邪をひいた様だ。倅も体調が悪いらしく、二人揃って寝込んでしまう。カミさんから頭痛薬をもらって、夕方まで寝込む。タバコを吸っても気持ちが悪く、辛い。ただ、腹は減ったので蕎麦を食う。食えりゃあ大丈夫だと自分に言い聞かせる。夜、昼間十分寝たせいで眠くないのでネットフリックスで、ロマン・キャヴラス監督『アテナ』を観る。これがメッポウ面白かった! 団地育ちの移民の少年が警官に殺害された事に端を発し、団地の若者が暴徒化して立てこもる話なのだが、作品のテーマ性もさることながら、撮影方法がすごくて驚く。長回しのワンカットを多用しているのだが、アクションや仕掛けが絡み、観ていてどうやって撮ったのかわからないのだ。すげえ撮影。驚いた。DVD化はされていない様で、惜しい。『アテナ 制作の舞台裏』というメイキングも観たが、合成カットだと思っていたところも実際の映像で驚いた。こんな撮影体験してみたい。皆様、ネットフリックスに加入されているなら『アテナ』は必見でございますぞ! 続いてイリヤ・ナイシュラー監督『Mr・ノーバディ』を観る。これも公開時見逃していて、やっと拝見。やっぱり面白かった。何も考えずに楽しめる。ただ、『アテナ』に比べてしまうと印象は薄い。とにかく体調は悪かったが、『アテナ』に出会えてよかった。
某日、無職渡世。朝、関節痛があったので寝ていたかったのだが、カミさんが怖いので無理して起きる。いつまでも寝ていると、何を言われるかわかったもんじゃねえ。自宅でも油断できない。『常在戦場』をモットーとして、油断なく生きているのだ。倅を学校まで送って、午前中、国分寺へ。奥津裕也くんとの待ち合わせの時間までちょっとあったので、国分寺を散策。よく通っていた定食屋「赤城」も「グルマン」もなかったが、「すた丼」や「ほんやら堂」、「珍し屋」、「中華屋たんたん」は健在で安心した。昼頃、奥津くんと会ってお茶。フマジメな話題からマジメな話題までペチャクチャする。午後、おうちに帰って倅をお迎えに行き、一緒にネットフリックスで『トランス・フォーマー』を観る。2007年公開らしいがCGがすごくて驚く。公開時に劇場で観たはずだが、全く覚えておらず新鮮に楽しめた。倅がプライムのファンになり、アタシはバンブルビーに持っていかれた。ネットフリックスでシリーズが7月30日までの配信らしいので、倅と「シリーズ全作観よう」と約束する。カミさんが「毎日フラついて、映画観て、働きもせず、良いご身分だ。どこまで無責任なんだこのハゲは」とヤイバを向けるので、仕方なく仕事を探すふりをする。水澤紳吾さんに相談したら、除草仕事の相方を探していたらしく、「是非やらせてください!」と、無理やりお願いする。やー、助かった! 夜、ネットフリックスでドミニク・クック監督『クーリエ 最高機密の運び屋』観る。ベネディクト・カンバーバッチって、初めてみた頃はイモっぽい兄ちゃんだなあと思っていたが、良い俳優だなあ。
某日、三郷で除草作業。水澤紳吾さんと大光建設の資材置き場を除草する。朝7時半に新三郷駅で落ち合うのだが、水澤さんは必ず自分より早く着いて待っている。アタシも約束より早めに行くし、なんっだったら30分くらい前に行ったりもするのだが、必ず水澤さんは待っている。「水澤さん、早いっすよね」「いやー、年取って4時くらいには目が覚めちゃうんだよ」わかるなー。アタシも年々長く眠れなくなっているんだ。眠る体力がなくなってくるのだろうな。毎年、大光建設の草刈りを水澤さんとやっているのだが、年を追うごとにシンドくなっている。今日も気温は34度。湿度もクソ高い。高温多湿の中、腰をかがめて草を刈るって凄くシンドイんだ。これってやったことあるヒトにしか伝わらないかもしれんな。午前中、用水路沿いから置き場周りを、除草していく。芦や稲系の大草が生え、根元から切り倒して回収する。汗が止まらない。90リットルの大型ゴミ袋がすぐにいっぱいになる。午後は足場材の積まれた資材置き場を片付ける。今年はアシナガバチが多いな。3つくらい巣を作っていて、心痛むが駆除する。休憩を取りつつ作業したが、給水してもションベンにならず、全て汗で流れた。3時くらいに終わって、スーパー銭湯の「湯けむり横丁」へ行って、水澤さんと二人、泥と汗を流してスッキリする。ぬるめの湯につかっていると、バキバキに強張っていた筋肉が緩むのがわかる。とても気持ちがいい。若い頃って温泉なんか全く興味なかったが、疲れた身体を緩めるにはとても良いもんだ。夕方4時から三郷駅前の「にしだや」で、滝口さんも合流して3人で飲む。今日は滝口さんがプロ野球年鑑を持参してくれた。もちろんプロ野球話から始まる。現在のパリーグの話から往年の選手の思い出や記録なんかを永遠と。アタシの好きな選手、立花義家さんの名前を出した瞬間、「リーファー(立花)ね、台湾でもやってたよね」って即答する滝口さんって、マニアを通り越してビョーキだよな。5時間くらい飲み続けて、滝口さんにご馳走になる。労働して、湯につかって、飲んで、理想的な1日だな。
某日、無職渡世。朝、マネージャーの井上さんから連絡。赤堀雅秋さんがやる一人舞台『日本対俺』の幕間に流す短編映像の脚本が届く。山下敦弘さんが監督で、赤堀さんが脚本。出演は赤堀さん、水澤紳吾さん、アタシの3人。これがメチャクチャ面白い脚本だった。もう「年に1本あるかどうか」ってレベルのホン。オッサンがクダまいてるだけの話なのだが、こういう芝居が面白いと思う。ただ、台詞量がある。ト書きで「みたいな流れでアドリブで」と書かれていたが、これは絶対シナリオ通りにやった方が面白いな。早速コンビニで出力して、喫茶店で読んだが、笑ってしまう。すごいホンだな。午後、奥野俊作監督『冬物語』完成試写。奥野監督はじめ植田紗々さん、山本奈衣瑠さん、伊島空くんとヤーヤーする。初号は自分の芝居の反省点ばっかり観てしまうのでキツイのだが、不思議な映画で魅力があり面白いと思う。アタシの芝居のモッタリさがダメだなあ。山本奈衣瑠さんがずば抜けてよかった。化け物だ。奥野さんもすぐに仕事だったので、あまり感想を話せず。電車で偶然、奈衣瑠さんと一緒になって感想を話す。そのまま下北沢へ。「古書ビビビ」に寄って、半藤一利著『昭和史残日録』『昭和史探索2』、利重剛著『利重人格』、上温湯隆著『サハラに死す』を購入。水澤紳吾さんと落ち合い、お茶。西本竜樹さんの部屋にお邪魔して時間を潰す。18時からアトリエ乾電池で岸田國士作・柄本明演出『牛山ホテル』を観る。赤堀さんと弟の伸也も一緒に観劇。激しい熊本弁で最初は半分くらいしか言葉を聞き取れなかったが、だんだん慣れてきて意味が汲み取れるようになるから不思議。転換のドタバタや主演の佐々木春香さんがよかった。終演後、柄本さんに挨拶だけして、「福島屋」へ。赤堀さん、水澤さん、伸也、西本竜樹さんと、プロ野球前半戦の天王山である巨人対横浜戦をテレビ観戦しながら飲む。赤堀さんは熱狂的巨人ファン。巨人が負けたが、それを肴にワイワイやる。途中で偶然、森山未來くんが来店して更にワイワイする。23時で帰ろうとしたら珍しく赤堀さんに止められる。伸也を返して、車で迎えにきてもらうことに。赤堀さんと水澤さんとアタシで、西本さんの部屋にお邪魔して、更に飲む。2時頃、伸也が迎えにきてくれて解散。水澤さんを三鷹まで送って帰宅。