某月某日、昨晩深夜までマイクラをやってしまう。倅のパソコンをこっそり持ち出し、気付いたら3時過ぎだった。何やってんだよ。我ながら虚しくなる。でも、面白いんだよお。イルカや馬を乗りこなしたい。ゲームをやっていると次々にやりたい事が出来てきて、その目標のために素材を集め回ったり、探索していると深夜だった。アタシ、セリフもやんなきゃいけないのヨ。もう、マイクラはやらない。仕事が落ち着くまでやらない。てな訳で、起きたら倅は学校へ行っていて、カミさんがわざとガンガン音を立てながら掃除機をかけていた。「何してんだよ。倅も頑張って学校行ってんのに、仕事しろよ!」と朝の挨拶をされる。怒鳴られているうちはまだイイ。これが諦め口調で静かに言われたらヤバイ。永江二朗組『リゾートバイト』の台詞練習をやる。まだ決定稿が出ていないが、仕方ない。セリフ量があるから練習しておかないと自分の首を絞めることになる。午後、3時に倅を学童に迎えに行く。倅と2人で下北沢へ。「古書ビビビ」で倅が『オバケのQ太郎』の漫画を買う。アトリエ乾電池で『命を弄ぶ男ふたり』を2度目の観劇。入口で柄本佑くんがお子さんを連れていた。ちょっとおしゃべり。柄本明さんもいらして、倅に色々話しかけてくれる。この歳で柄本さんと喋れるなんて、倅よアタシャ、貴様が羨ましいぞ。河井青葉さんとも久しぶりに会う。舞台は先日とは違って、岡部尚たんの入り方が抜群だった。倅は暗転した最初だけ「もう始まる?」と声を出した。あと、包帯が最初に飛び込んだ時だけ「勢い良くて追い越しちゃったの?」と聞かれたが、始終集中して観ていた。終演後、感想を聞くと「チンチンが痒くて我慢するのが大変だった」「何話してるかわからねーけど面白かった」と言っていた。わからないけど面白いって感覚が大切なんだぜって教える。8月の公演も観たいそうだ。秋津に帰って、お好み焼き屋「竹辰」でたこ焼きを食いたかったが定休日。倅が好きな「富士そば」に行こうと考えたが面倒臭くて、カップラーメンで済ませる。夜、永江組『リゾートバイト』のシナリオを読む。
某日、朝、倅を小学校まで送る。「今日行ったら明日から休みだ」と3回くらい言っていた。小学一年生でも連休前って学校に行きたくないんだな。や、倅の場合は1年中行きたがらないか。午前中はカフェ・ド・クリエで荒木伸二組『ペナルティループ』と永江二朗組『リゾートバイト』のシナリオを読む。昼から久しぶりに府中本町から登戸まで多摩川沿いを往復して、永江組のセリフ念仏。ただ、今日はまだ吹き込んだセリフを聞くだけ。全体の雰囲気を掴んでから、セリフを入れる作業をする予定。先日の舞台『命を弄ぶ男ふたり』の中で「くだらないセリフなんか覚えたりせずに」というセリフがあったが、どの時代も俳優はセリフの束縛から逃れられないのだな。本日は1時から5時まで歩き通した。意識的に早足で歩いたが、4時間以上かかった。帰ってからパソコンの「キョリ測」で計測したところ、府中本町の駅から登戸の多摩水道橋まで10・6キロあった!往復で21キロは歩いている。そんなに距離があったんだ。地図上で見たら、東宝調布スポーツパークあたりでちょうど5キロ。知らなかった。足が痛くなるはずだわ。大西信満さんから電話。よもやま話。そのまま府中の大衆居酒屋「樽平」で、工藤梨穂監督と待ち合わせて飲む。ずーっと約束していたがなかなか会えなかったのだ。監督作『裸足で鳴らしてみせろ』は傑作だった。工藤さんと色々話せてよかった。これからも工藤さんの映画を観たいと思う監督。撮り続けて欲しい!
某日、午前中、義兄が倅を連れて横浜に泊まりで遊びに連れ出してくれた。本当にありがたい。倅も義兄には懐いていて、今日を楽しみにしていた。本日は荒木組『ペナルティループ』の撮影で、千葉は茂原まで電車移動。車内で読書用の本を忘れてしまい、風景を眺めていた。蘇我を越えると、流石に遠くまで来たなあという感覚になる。現場に入ると、若葉竜也くんにじゃれつかれる。若葉くんも活躍しとる。撮影の渡邉寿岳さん、メイクの大家さん、持ち道具の天ちゃんがいてヤーヤーする。待ち時間が長かったので、Aさんに手紙を書く。『ドライブマイカー』のジン・デヨンさんと話す。韓国の演劇界について色々お聞きする。若葉くんのお付きもしている大友律くんともヤーヤー。今日はエキストラの方々がいらっしゃっていたが、その中に映画監督の古澤健さんがいて驚く。話しかけてヤーヤーする。正直、撮影は何をどう撮っているのかよく理解できないままやってしまった。まあ、バタバタしてたし仕方ねえ。荒木さんが楽しそうだったのがよかった。送りになって川崎からタクシー。夜中の2時に帰宅。
某日、朝、実家に顔を出す。三男の哲也が伊賀から帰っていた。奥さんのユカちゃんと妹さんも泊まっていて、皆で朝飯を食う。色々お土産もいただいた。ありがとう。アタシャいただいてばかりなり。帰ってマイクラをやってしまう。セリフやんなきゃいかんのに、そんなこと百も承知なのに、やってしまう。病気だな。そして冒険に出て失敗し、装備や素材を全て失ってしまう。なにやってんだ。午後、倅が帰ってきたので、府中のくらやみ祭りに行く予定だったが、そろって昼寝してしまい結局行けず。グダグダ過ごす。セリフは手をつけなかった。
某日、午前中、倅と共に電車で羽村へ。羽村駅前のアメリカンダイナー「ラブーム」で倅とハンバーガーをバクつく。お店の佇まいからアメリカなギットリ味を想像していたのだが、結構あっさり素材勝負な味で美味かった。その後、大澄山で『秘密基地作り体験』に参加。親子で秘密基地を作って、焚き火で持ち寄った食材を焼いて食うというイベント。秘密基地は結構本格的に作って、倅も満足していた。そして倅が心から楽しみにしていたメインイベントの「焚き火」で、カミさんが持たせた食材が「裂きスルメ」だけだった。アタシも「まさか!」と思ってリュックをひっくり返して調べたが、「スルメ」と「グミ」と「塩飴」しか出てこなかった。みんな、ウインナーやソーセージ、パン、イカ、トウモロコシ、マシュマロ等の豪華食材を使って楽しんでいたのだが、うちは100均のスルメだけ。しかも串焼きにするので裂きスルメは串に刺せないので全然焼けない。しかしここで焚き火を眺めてホッコリしているわけにはいかないので、アタシも無理して素手で焚き火にスルメをかざし、火傷しながら炙って倅に渡す。倅も悲しそうにスルメをしゃぶりながら「みんなでかいソーセージとか食ってんのに、うちはスルメだけだよ。スルメなんか持ってきてんのうちだけだよ」とボヤいて不貞腐れていた。先生が気を使って、マシュマロを分けてくれた。まあ、焚き火を楽しみにしていたのにスルメだけはねえよな。スルメショックで早々に体験教室を退散し、倅とふたりで多摩川に出てパチャつく。まだ水温は冷たかった。藪漕ぎをして、対岸まで川を渡る。体験教室よりサバイバル。羽村駅まで歩いて、府中本町へ。大國魂神社のくらやみ祭りに行く。ちょうど大太鼓や神輿が参道を出る時間で、人手がすごかった。屋台で焼きそば、たこ焼き、ジャガバタを買う。たこ焼きの列に並んでいる時、すれ違った若いカップルの彼氏がアタシをみて「う大さんだよ、かもめんたるの」と言っていた。最近、う大さんと間違われることが多いな。倅は射的をして、チョコバナナとかき氷を頬張る。帰って、夕食に先ほど買ったものを食う。美味かった。この連休で体重が増えてしまっている。参ったなあ。
某日、朝、渋谷の東映前(もう東映はなくなってしまったが)で担当マネージャーさんの井上さんと待ち合わせて、永江組『リゾートバイト』の衣小合わせへ。朝8時からの衣小合わせってのも珍しい。永江監督は初めましてだったが、他のスタッフの方々もお初ばかりだったので、大人しくしておく。製本台本(決定稿)でまたセリフが変わっていた。前半の方は軽く入れておいたのだが、やり直しだな。衣小合わせ終わりでまだ9時過ぎだったので、井上さんとお茶。お互いの近状報告や、昨日のスルメ事件を話すと、井上さんが涙を流して笑っていた。1日経っても、スルメを買ったカミさんの判断に疑問を抱くよ。通勤読書でウラジミール・ソローキン著『ブロの道』読み終わる。傑作。ソローキン、やっぱり面白いなあ。次の『氷』が楽しみ。本の発表順だと『氷』・『ブロの道』・『23000』の順だが、作品内の時系列順だと『ブロの道』・『氷』・『23000』なので、アタシはその順番で読んでいる。所沢に戻って、カミさんと倅と合流。倅用のキッズ携帯を購入する。アタシのガラケーも使えなくなったらキッズ携帯を使おう。ネットも使わないしちょうどいいや。本屋に寄って、石川直樹著『地上に星座をつくる』を購入。帰って倅とメダカの水を換えて、プランターに二十日大根のタネを蒔く。夜、タバコを吸いに外に出て、川を眺めていたら、金木犀の木の根元からイタチが出て来た。タヌキの家族がいるのは知っていたが、イタチもいるんだ。しばらく見つめ合っていたが、イタチが申し訳なさそうに川に去っていった。