某日、内装仕事で工房。作っても作っても什器製作の終わりが見えない。予定されていた製作が終わりそうになると、追加がくる。工房が狭いので作り上げた什器の置き場所がなく、次の製作のための作業スペースがなくなってしまう。しんどいなあ。昼飯抜き。結局残業して、キリのいいとこまで終わらせる。銭を稼ぐ難しさよ。肛門に住み着いた紀州梅ちゃんは、だいぶ小さくなって大豆くらいの大きさ。でも、居座り続けている。痛みが伴わなければ、まあ許してやろうというスタンスで付き合っている。夜、DVDでデヴィッド・フィンチャー監督『パニックルーム』を観る。
某日、午前中、倅とカミさんと東村山市議会選と市長選の投票をする。カミさんは「中学校の全員学校給食と無償化」を争点に考えたそうだ。アタシは各候補のマニュフェストを読んだが、多くの人が綺麗事ばかりで具体案がないと思った。その中でも具体的な事を書いていて、実生活に結びつきそうな市議候補に投票した。はてさて、投票率はどうかな?みんな、投票行けよ! そのまま倅のメガネを作りに所沢へ。倅は小学校の視力検査で、近視と乱視が見つかった。「ZOFF」でメガネを選ぶが、倅がメガネをかけると『キョンシー』のスイカ頭に似ている。そんなこと言ったら気にしちゃうだろうから言わなかった。昼飯は「コメダ珈琲」へ。ずっと行ってみたかったのだが、とうとう初コメダ。ミックスサンドとフィッシュバーガーを頼むが、でかい! アタシでも満腹になる。恐るべしコメダ。喫煙席がないので、セリフをやる時は使えないがまた来たい。そのまま、倅と実家へ。伸也と『浪子回頭日記』の打ち合わせ。ヘッダー画像や本文の書体を決める。あと、ドメインも選ぶ。1年前の日記を公開するスタイルで、どれだけのビュー数があるだろうか。親父と伸也と、庭の桜の老木を切る。幹の中が腐っていて、通学路に倒れたら危ないので気になっていたそうだ。親父にコメダ珈琲の話をしたら、「コメダ珈琲は名古屋の本屋さんが立ち上げたらしいぞ」と言っていた。本当だろうか? 「うちにも本の配達してくれって連絡あったんだ。元が本屋だから地元の本屋を使ってやろうと気遣いしてくれてんだろ」だそう。夕方まで遊んで帰る。夜、『回頭日記』の序文を書いて伸也に送る。
某日、内装仕事で箱根へ遠征。仙石原という別荘地の山奥で貸し別荘物件。なにしろ山の中で、人と会わない。生まれて初めて野生のアナグマをみた。鼻が長いタヌキみたいだった。東京の気温と同じ感覚で、薄着で来てしまい後悔。恐ろしく寒い。参ったなあ。太田さん、藤田さん、解体屋の鈴木さん、ケントくん、タイル屋の市川さんと凍えながら作業する。アタシは室内壁面の左官。天井の高い物件で、7尺脚立を開いてハシゴにして、最上部まで上がって左官をしなくてはいけない。コテ台と角ゴテを持って両手がふさがった状態で、不安定な梯子の上での左官作業なのでメチャクチャ怖かった。床で石張りをしている市川さんから「マツーラくんよお、落ちてくんなよー」と励まされる。7尺の2倍で14尺の最上段だから、約4・5メートル。「落ちたら死ぬ高さですかね?」「あー、床がベニヤのとこだったら死なないだろうけど、こっちの石の上だったら死ぬかもなあ」ビーサンを履いた足の裏から冷や汗がジワジワ出る。やー、おっかねえ。「死にたくないんで気をつけます」「落ちてもいいけどよお、石は割らないでくれよ」ヒヤヒヤ作業だったが、なんとかやりきる。昼飯抜き。午後も引き続き左官。6時まで作業して、宿泊所に帰る。この箱根遠征では通いだとキツイので、マンションの1部屋を宿泊所として借りている。タコ部屋だな! 本日は太田さん、藤田さん、鈴木さん、ケントくんとアタシの5人で泊まる。ケントくんは初めましてだが、背が高くイケメンで好青年。指に梵字の刺青が入っていたので、ヤンチャボーズかと思ったが「自分、ケンカはしないッス。ヒト殴ったのも1回だけです」と言う。なんだか、アウトサイダーとか出てそうな見た目なのに意外だった。1回だけやったケンカも、2対1でボコられたらしい。しかもまだ17歳で、ゼネコン現場には入れないそうだ。そんなケントくんに何食いたいか聞いたら「焼肉食いたいッス」と言うので、マックスバリューで肉を買い込み、簡易コンロを使って焼肉を食う。肉をつつきながら、新顔のケントくんの話を聞く。ケントくんは悪さをして色々あって、鈴木さんの下で修行中。「今は仕事が楽しいッス」と言うが、それが忖度じゃなくて本音ぽくて好印象だった。やっぱ、ヒトって周りの環境が大事なんだよな。鈴木さんは軍曹タイプだが、自分の倅と同い年のケントくんを可愛がっている感じだった。いい職人さんになってほしい。12時くらいに持って来た寝袋に包まって寝る。
某日、6時半頃に物音で起きる。太田さんがお湯を沸かしてカップラーメンを食っていた。7時前には皆が起きて来て、昨夜の片付けをして、現場へ。本日も箱根の現場で内装仕事。昨日に続き室内左官。現場にトイレが1つだけあるのだが、外壁を壊してあって、外から丸見えのトイレなのだ。幸い人通りの全くない山奥なので、気にならない。むしろ目の前に広がる絶景を眺めながらションベンしていると豊かな気持ちになる。これが仕事じゃなくて旅行できていたらよかったのになあ。昼抜きで、3時まで左官して、藤田さんと高速バスで帰る。夕方以降のバスだと混むし渋滞で帰りが遅くなるからと、太田さんが気を使ってくれた。でもココも引き渡し間近なのに、全く終わっていない。大丈夫だろうか? バスは新宿まで行けるので、移動中は寝てしまった。うちに帰ると、倅の目が真っ赤。どうやら流行り目ってやつになってしまったらしい。夜、一緒にマイクラをやるが、すぐに目が辛いらしくやめてしまう。夜、ネットフリックスで、J・C・チャンダー監督『トリプル・フロンティア』観る。映画を観終わって、タバコを吸いに外に出ると、メダカの水槽が濁って波打っている。おや?なんだ?水が水槽の周りに飛び散っていて、水槽から玄関の敷石の上に水に濡れた動物の足跡が残っていた。川っぺりに住むタヌキかな。パソコンで足跡を調べるとイタチっぽくもある。水槽の中で水浴びしていたのか?それともあんな小さなメダカを食べようとしていたのかな?
某日、倅が流行り目で学校をお休み。アタシも今日は仕事休み。しかし、雨。倅と映画でも観にいこうかと思ったのだが、カミさんから「流行り目で休んでるのに映画館連れていくバカが何処にいるんだ!」と注意される。流行り目ってよくわかんないんだが、倅は目が充血して開けにくそう。目やにや涙が出て、ひっきりなしに目を気にしている。原因はなんだろうか? カミさんも午前中は出社しないといけないらしく、2人でお留守番。カミさんが出ていくとすぐに「マイクラ」を始める。倅は弓矢を使った狩にはまっていて、アタシはガラスを使った建築に勤しんでいる。お互い、ゲーム内で2昼夜やったら交代する。これが面白いのです。ゲームに慣れてくると、どんな事を進めていくかは本人の自由。そしてマジで「何でもできる」のがすごい。ドット画のキャラクターやアイテムを受け入れられれば、このゲームにはまる。順番こでお互いにキャッキャ言いながら、倅とやるのも楽しい。アタシは建築と酪農、農業を展開させて、倅は武器を持って探検や、鉱石を発掘する。気がついたらカミさんが帰って来ていた。時間が溶けるゲームだな。夕方、倅と風呂に入って色々話す。夜、カミさんが風邪気味。明日から再び箱根。
某日、内装仕事で箱根へ。始発で小田原まで出て、箱根登山バスで現場近くの仙石原まで。通勤読書は、イシメール・ベア著『戦場から生きのびて』(再読)。小田原までは混みつつも座れたので、存分に読書ができた。バスに乗ると、いつの間にか寝てしまったらしく終点の桃源台というところで起こされた。ああ、やっちまったー! 桃源台は、湖とロープウェイがある(それ以外なにもない)とこで、観光だったらいいのだろうが、アタシは僻地感溢れるこの場所で呆然としてしまった。湖にプカプカ浮かんでいるスワンボートに乗りたいと思ったが、そこまでは開き直れなかった。太田さんに電話して迎えに来てもらう。現場で材料の搬入をやって、午前中は終わる。昼抜きで、現場のデッキで昼寝していたら、藪からアナグマが出て来て、庭を鼻先でほじくり返していた。午後は漆喰左官。アクドメを2回塗ったが、それでも漆喰を塗ると黄ばんでしまう。仕方ないので白塗装。応援で来ていた塗装屋さんのお兄さんが、なんだかチラチラ見てくるので、喧嘩売ってんのかなと思ったが、3時の一服の時に「映画観ました。う大さんですよね?」と小声で聞かれる。岩崎う大さんと思われたようだ。「や、う大さんじゃねえんです」塗装屋さんは「え?」って顔していたけど、う大さんじゃないからなあ。5時で上がった塗装屋さんが去り際に「さっきはすいません。『岬の兄妹』観たんです、う大さんがやってると思ってました」と言われる。まさか『岬の兄妹』を観てくれていたなんて。ありがたい。6時過ぎまで作業して、太田さんと材料の買い出し。「ジャンボエンチョー」というイカした名前のホームセンターだった。宿泊所に帰って、太田さん・大工の柳沢さんと3人で鉄板焼きをつつく。つつきながら今後の話。現場の納めまであと10日もないが、ヤバイ状況。野球で例えると、「先発が大崩れで早々に降板し、中継ぎも打ち込まれた8対0の8回。中継ぎ投手は全て使い切って、とうとう野手がマウンドに上がっている。もちろんお客さんはほぼ帰ってしまい、相手選手も早く終わらせたいから打席では立っているだけでバットを振らない。それでも投手のストライクが入らず、四球が続いてノーアウト満塁」って感じだろうか。ここから逆転で勝利することは、経験上ほぼない。せめてこれ以上の失点を防いでなんとか1桁台の点差でおさめたい。まあ厳しいよなあ。でもなんとかしないとなあ。
某日、内装仕事で箱根。7時に起きて現場に向かい、引き続き漆喰左官。ろくに休憩せず、必死にやる。3時半まででほぼ予定の作業を終わらせて、下北沢へ。藤井千帆さんと落ち合って「ブルーマンデー」でコーヒー。アトリエ乾電池で柄本明演出『命を弄ぶ男ふたり』を観劇。入場前に柄本明さんが客入れをされていたので挨拶。しばらく話す。今作は包帯が岡部尚たん。俳優は前田亮輔さん。この岸田國士の戯曲を10年くらい前に尚たんとやったことがあった。その時は包帯をアタシ、俳優を尚たんで、演出は岩谷健司さんに頼んで、池の上の「ガリガリ」で上演した。ヤットくん(矢戸一平くん)や松沢真祐美さんに手伝ってもらったなあ。でも、今回の芝居を観て驚いた! え! こんなに面白くて笑える戯曲だったんだ! やられた。美術も良かったし、芝居はもちろんのこと、テンポも良かった。うー、さすがだなあ。今、アタシがやったら10年前よりは面白い芝居やれると思う。またやってみたいな。終演後、観劇していた新名基浩さん、藤井さん、岡部尚たん、嶋田健太さんの5人で「風流四季」で飲む。今作の話から、やはり親方・柄本さんの話。そして嶋ケンさんが岡部たかしさんの後輩だった話。最後に風流四季のマスターも交えて、岡部さんの活躍の話。自分が面白いと思っているヒトが、続けて活躍しているのはとても嬉しい。
某日、午前中、倅を連れて東村山中央公園で開催されている「緑の祭典」へ行く。倅が世話になった保育園が、山菜天ぷら屋を出店しているのでお手伝い。他にも模擬店がついてフリーマーケットもひらかれ、歌謡ショーもやっている。田舎のお祭りなり。倅の同級生も集まって、みなでワイワイしている。3時からバラシ作業をやって帰る。帰って、倅とマイクラ。鉄を集めて、装備を作り、ガラスの2階建てハウスを完成させた。倅よりアタシがはまってしまう。創造性があれば、どんなモノでも作れてしまうのがすごいよなあ。世界中でヒットする理由がわかった。夜、ネットフリックスでアンソニー&ジョー・ルッソ監督『グレイマン』観る。ライアン・ゴズリング主演。たぶん記憶には残らないな。
某日、午前中、倅を連れてメガネ屋へ。先日買った倅のメガネを引き取る。昼飯に富士そば。倅は富士そばのたぬきそば(温)が大好物なり。アタシは大もりそばに紅ショウガ天が好物。午後、倅の友達のゲンちゃんが遊びに来る。アタシは日記を書いたり請求書を作ったり雑作業。水澤紳吾さんから連絡があって、夕方から赤堀雅秋さんと飲みに行くことに。4時半には出ようと思っていたのだが、いつの間にか寝てしまっていて遅刻。遅れて駒場東大前の「福島屋」へ。赤堀さん、水澤さんと野球談義。途中で丸山くんが合流し、4人で飲む。11時くらいに水澤さんがだいぶイイ感じになって、赤堀さんから帰宅命令が出される。本日も赤堀さんにご馳走になった。ありがとうございます!帰り道、水澤さんが音を立てないションベンの仕方を伝授してくれる。「これが忍者ションベンだぞ」と得意げに言うので笑ってしまう。電車内で水澤さんが「ピッチャーの宮城は実家が貧乏だったんだ」と、オリックス宮城投手の話をする。親父さんが怪我で片腕が動かせず、幼少期は極貧生活だったそうだ。お父さんが苦労して買ってあげた合皮のブローブが固すぎて、エラーをする宮城少年。お父さんは一計を案じ、合皮のグローブを電子レンジで温めて柔らかくしてあげようとしたらしい。そこまで話すと水澤さんは笑いをこらえ始め、アタシに抱きついて「そしたらグローブが溶けちゃったんだよお!泣けるだろ!」と言う。水澤さんが笑ってしまったので自分も誘われて笑ってしまった。そしたら「笑い事じゃねえよ! マツーラは親父の気持ちがわかんねえのか! オレはその話聞いて泣いたぞ!」と言う。いや、水澤さんの話し方でしょ! そりゃ先に笑ったら自分も笑っちゃいますよ! ズリいなあ!