某日、内装仕事で門仲。朝6時過ぎに起床し、いつもより遅い電車に乗ったのだが、人身事故で清瀬で停車してしまう。どうやら前の電車で撥ねてしまったらしい。救助活動を行うため、再開時間は未定と車内放送が流れる。満員電車で清瀬駅から20メートルくらい出たところで止まってしまったので、早く清瀬に戻ればいいのになかなか電車は動かない。息詰まりそうで苦しい。大声で叫んで発狂しそうになる。周りの乗客は一言も話さず、この状況を受け入れていて感心する。汗がひっきりなしに流れて、もうヤバイってところで清瀬に戻ってドアが開かれた。いやー、やばかった。ホームも改札も人で溢れていて、駅を出るのも一苦労。電車はしばらく動かなそうだし、バスの行列もひどいので、とりあえず秋津まで歩いて戻り、そのまま自宅に帰る。カミさんにひどい1日の始まりを話して、落ち着く。電車の運行が再開されたらしいので、再び秋津に向かって、工房へ。午前中は嶺豪一くんと工房作業。午後から蔵前の現場で最後の是正作業。昼飯は「SQUAREカフェ」でとり野菜サンド。フランスパンに鶏肉と野菜が挟まれた、バインミーみたいなやつで気になっていた。これはバインミーだ! 懐かしいし、美味い。大当たり。夕方までやって工房に戻り、明日の仕込みをして帰る。電車内読書で、甲斐崎圭著『第十四世マタギ 松橋時幸一代記』読み終わる。アタシはマタギや熊撃ち、猟師本のマニアなのだが、この『第十四世マタギ』は数あるマタギ本の中でもトップクラスに良い読み物だった。中公文庫で1996年に発行されたものだが、再販されないかしら。古本だと抵抗ある人も結構いるだろうからなあ。こういう良い本が読み継がれてほしい。(調べたら『第十四世マタギ』は2014年にヤマケイ文庫で再販されていた。しかし、もう10年前か。)
某日、内装仕事で門仲の工房。朝から嶺豪一くんと守屋文雄さんと天井に使う板材の加工作業。今日は一日中、鉋で板材の面取りをする。鉋の歯の調整や研ぎ出しなどをして作業するのだが、なかなか奥が深くて楽しい。ただ、本当に一日中削っていたので、夕方には右上腕がパンパンになって、長い距離を削れなくなった。見た目で左右の腕の太さの違いがわかるくらいパンパンになる。肩と腕が痛い。昼飯はソラヤで鶏肉サラダ。通勤読書でウラジーミル・ソローキン著『親衛隊士の日』を読み始めるがすこぶる面白い。夜、うちに帰るとAさんから手紙が来ていた。嬉しい。台湾の高志くんから台北のオススメスポット案内のメールもきていた。Aさんに返事を書くつもりがそのまま寝てしまう。
某日、朝、倅を保育園に送ってカフェドクリエ。山田由梨組のシナリオを読む。10時から山田組のセリフ練習で歩き念仏。4時間弱、歩く。途中で、聖地霊園に寄って祖父母の墓参り。いつも通り、お線香とタバコをあげて、墓掃除する。墓石周りに雑草が生え始めていて、春の訪れを感じる。今日は暖かくて歩いていると汗ばむ。午後、うちに戻るとカミさんから「あんたはセリフやるって言って、仕事休んでブラブラして、ホントいいご身分だね」と言われる。セリフ練習の大切さや苦労を教えてやりたいが、300倍のしっぺ返しをされるのがわかっているので無抵抗主義を貫く。マハトマ・ガンジーの偉大さを思う。黙っていると「は? なに無視してんの? 穀潰し」と引っ叩かれる。ここで言い返せば喧嘩になるので、スゴスゴと部屋に引きこもり、猫を抱いて寝る。夕方、倅をお迎えに行き、一緒にWBCの日本対イタリア戦を観戦。大谷投手が降板したところで視聴をやめる。今大会の日本代表はちょっと強すぎて面白くない。日本戦の視聴率がいいらしいが、経済も政治も市民生活も低迷し続ける日本で、唯一「オレ強えー」が出来る野球に国民がすがっているようで、なんだか気持ちが悪い。凄いのは選手で、日本人が凄いわけじゃねえんだよな。勘違いするなよ諸君!
某日、朝、倅を保育園に送って、カフェドクリエ。山田組のセリフをさらって、Aさんに手紙を書く。昼前に山田由梨組『品川心中』の撮影で高麗へ。同じ西武線だが高麗へは初めて行く。そもそも高麗で「こま」ってなかなか読めないよな。現場では久しぶりに吉岡里帆さんと一緒になりおしゃべりする。山田監督は初めてだったが、演出が丁寧で細部まで芝居にこだわってくれて、やっていて面白い。セリフも結構変わったので現場で覚えて来たセリフが出てしまって修正に難儀した。制作の板井さんとも久しぶりにお会いする。板井さんは自分が制作部だった時の上司だ。もう20年前か。時代物だったので和装だが、やはり洋服で芝居するのと勝手が違う。所作指導の先生がついてくれたので、いろいろお聞きしながらやる。所作とセリフ変更に追われ、しかもセリフのスピードを早くしてほしいと演出がつく。あぶねえー。セリフを練習していたから何とかやれたが、やってなかったら痛い目に合うとこだった。8時くらいに撮影が終わって帰る。
某日、山田由梨組『品川心中』撮影で朝8時に高麗駅集合。今日は井之脇海くんと吉岡里帆さんと3人だけ。井之脇くんとは定期的に共演しているなあ。だいぶ年下だが、頼り甲斐のある俳優なのだ。朝一で1シーン撮影。早口の江戸弁で喋り、舌がもつれるがオッケーが出る。ここからナイターまで中空き。雨が降っていて現場にいても暇なので、入間市駅まで出て映画館に向かう。しかし観たかった『オットーという男』も『フェイブルマンズ』も時間が合わず。仕方ないので所沢へ。電車内でウラジーミル・ソローキン著『親衛隊士の日』を読み終わり、久しぶりにどハマりするくらい面白かったので、「ツタヤブックス」でウラジーミル・ソローキンの本を探すと『青い脂』があったので購入。1500円だったがその価値話あると思う。歩いてうちまで帰り、倅とスイッチのマリオをやる。夕方、再び高麗に戻って現場入り。ナイターで1シーン撮影し、本日終了。『青い脂』、出だしは実験色が強く「あ、失敗したかな?」と後悔したが、読み進めていくと面白くなって来た。ただ、『親衛隊士の日』が2006年に書かれたもので、『青い脂』は1999年に書かれている。『親衛隊』以降の作品が読みたいが、翻訳作が少なく、数冊出ているが新書しかない。金がありゃなあ。
某日、倅の保育園の卒園式。本日は無理を言って山田組からスケジュールを返してもらった。ありがとうございます。朝からバタバタ準備をする。カミさんは昨夜から「タクシーで行くよ!」と張り切っていたのだが、朝、予約を取るためにスマホをいじっていたが急に「予約が取れない」と言い始める。おかしいなあと様子を伺っていると、どうやらタクシー代の値段を調べ、高すぎるからやめたらしい。「片道4000円もかかんだから。ったく甲斐性なしが!」と八つ当たりされる。出がけにお隣のKさんから、入学祝いをいただく。結局、チャリンコで会場である市役所まで行く。会場設営を父兄でバタバタやって、卒園の集いが始まる。倅は人前に出ると緊張するのと恥ずかしさで、ハナクソほじったりチンポをいじったりしていて微笑ましい。あれだけ嫌がっていた歌もきちんと歌っていたし、出し物の劇ではアドリブでセリフを足したりしていて驚いた。父兄の出し物はジェスチャーゲームで、私は「ゴリラ」だったので全力でやったら結構受けた。本当は『スクウェア』のチンパンジーマンみたいに大暴れしたかったのだが。最後に卒園児と年中さんで「いーつのーことーだかー思い出してごーらーん」を歌ったのだが、不覚にも涙が出そうになった。いい式だったな。手作りの卒業アルバムも良くできていて嬉しかった。表紙にはなぜか「一日三食」と漢字で大書きされていた。倅が書いたらしい。なぜ、一日三食と書こうと思ったのだろうか? 式の後、年長の父兄と一緒にファミレスで食事。その後、倅とカミさんと3人で実家に顔を出す。夕方、倅は義兄に迎えに来てもらって、カミさんの実家にお泊まりに行く。夜、DVDで『その男、凶暴につき』を観る。川瀬陽太のおじさんと電話。中原さんの事。ツイッターで多くの知人が中原昌也さんの病状を慮って発言をしている。自分も1、2度飲んで映画の話をしたが楽しかった。もっと中原さんと映画話をしたい。一刻も早い回復を願う。