某日、内装仕事で蔵前。守屋文雄さん、太田さん、嶺豪一くん、伊藤くんというフルメンバーで是正作業に乗り込むが、お店側との話がうまく通っていなかったらしく、予定の半分も作業ができなかった。お店はプレオープンで動いているし、エレベーターの工事が入るし、参ってしまう。昼飯は「味道」で、餃子定食と迷ったが結局、麻辛ごま坦々油そば。この美味さにやられてしまって、仕事がどうでもよくなる。仕事終わりで、ごーいちと共に浅草へ。道中、ごーいちの相談にのる。撮影が順調に続いていたのに、パッタリなくなって不安や焦りがあるらしい。まあ、理解できる。が、俳優は波のある仕事だし、仕方ないんだぜ。仕事がない時期は準備期間だと思って、どう過ごすか考えろって話をする。赤松利市さんと橋本つむぎさんと合流し、4人で「ひょうたん鍋」。ちょっと遅くなってしまったが、新年会。盛り上がって、2軒目に「浅一」というジビエ料理屋さんに行く。赤松さんの仕事場のすぐ近くで、途中、仕事場にもお邪魔する。モノがない部屋で、パソコンと椅子の存在感が際立っていた。椅子の足元の床に、タバコの焦げ跡がいくつもあって、赤松さんが集中して書いている様が想像できた。3人はすごい勢いで酒をあけて、橋本さんが潰れ、タクシーで帰る。さすがのごーいちも赤松さんの酒量に驚いていた。赤松さんが楽しんで飲まれていて何よりだった。今回もご馳走になる。赤松さん、ご馳走様でした。電車内で赤瀬川原平著『純文学の素』読み終える。帰り道がクッソ寒くて秋津の気温はマイナス4度と表示されていた。ホントかよ?カミさんと倅が喉が痛いらしく寝込んでいる。熱はないが、コロナの可能性もあるので近付くなと厳命される。夜、片山慎三の巨匠から電話。次作の相談をされる。そして脚本のアドバイスをくれとのこと。いつも奢ってもらってるし、それぐらいは返さないとなあ。
某日、カミさんと倅の風邪はだいぶ良くなったようだ。喉の痛みも落ち着いたみたい。カミさんは部屋で仕事。「体調が悪いんだから休めよ」と気遣えば、「テメエの稼ぎがねえからシンドイけど仕事してんだ、黙ってろハゲ」と言い返される。倅は一応保育園を休む。本日は『季節のない街』の前乗り日なので、仕事は休み。朝、外でタバコを吸うが寒くて吸い終える前に、体が震えてしまう。メダカの水槽に4センチくらい氷が張っていたので、割って水面を出す。が、30分もすると再び氷が張っていた。ケータイの気温だとマイナス3度。東京ってこんな寒くなったっけ?昼間は倅のポケモンに付き合う。倅はバンバンゲームを進めるタイプで、レベルが低いのにボス戦に挑む。ゲームのプレイスタイルって、性格がでるな。何度も「レベルを上げたら?」とアドバイスするが、「次は順番を変えてやる」とか言い訳して何度もやられていた。午後は倅を連れて買い物。3時にうちを出て、土浦へ前乗り。土浦に着くと荒川良々さんから連絡をいただき、良々さんと奥野瑛太くんと焼肉屋「香味園」へ。美味い焼肉をご馳走になる。タンもカルビもホルモンも全部美味い。美味いモンを食いながら、バカバカしい話で笑う最高の時間。良々さんから聞いた、東京乾電池の西本竜樹さんの話が印象的だった。西本さんが立ち食い蕎麦屋で、かけ蕎麦と白米で飯を食っていたら偶然、赤堀さんがやってきた。西本さんの食事を見て赤堀さんが「おかずも食いなよ」とトッピング券を渡したら、西本さんはその券でモチを頼んだ話。全部炭水化物で、なるだけ腹にたまるものを選んだ西本さん。なんだか、赤堀さんの芝居の一幕みたいだ。その後、向かいのスーパー銭湯「湯楽の里」でサウナを5、6セットやる。気持ちよかった。サウナで良々さんのルーティンを学ぶが、毎回キチンと給水する大切さを教わる。サウナ内のテレビで、ドラマが流れていて、前野朋哉くんや岡部たかしさん、瀧内公美さんら知り合いがたくさん出ていた。しまいにゃキーくんまで登場してなんだか複雑な気分になった。みな、いい俳優なのに、稼がにゃなるめえて。11時まで銭湯で過ごし、明日への英気を養う。しかし、豊かな時間だったなあ。良々さんありがとうございました。帰るとカミさんから「発熱した」とメール。保育園でコロナの陽性者はいないと言っていたが、大丈夫か?
某日、渡辺直樹監督『季節のない街』撮影。8時ホテル出発。昨夜はなかなか寝付けず、そのうえ4時と5時に、寒くて起きてしまう。部屋には全体空調しかなくて、温度もいじれない。参った。早めにロビーに降りて喫煙所に行くと、気温がマイナス3度。足元も氷だらけでツルツル。そりゃ空調も効かなくなるな。撮影現場である廃校のプレハブセットも、至るところが凍っていた。仮設便所の手荒い水も凍っていて出ない。そんな中で、本日は奥野瑛太くんが上半身裸で日本刀を振り回し暴れ回るのだ。喫煙所で奥野くんとタバコを吸いながら「くれぐれも怪我ないように」と送り出す。撮影前には日が差してきてちょっとは暖かくなるが、少しでも風が吹くと刺すような冷たさだ。そんな中で奥野くんはテストから裸で暴れていて、さすがだなと感心した。アタシは渡辺監督から動きをつけてもらい、なんとか動いていると、池松壮亮くんから演出が入る。「マツーラさん、カメラ深いので、入りの場所で芝居のタイミング取ってるのがばれてますよ!」とか「相手に寄って行っちゃってるから、もうちょい直線に入った方がいいです!」とか、ワンカット毎に教えてくれる。イチイチ的確だし、素晴らしいアドバイスで全部素直に活かさせてもらう。しかしテメエの芝居が見透かされていて、恥ずかしいな。池松くんは自分も芝居しているのに、よくアタシの芝居を見てやがる。さては俺のこと好きなんじゃないか? とドキドキしていたら「マツーラさんは新喜劇的芝居の担当だから」なんて言いやがる。バカヤロー! アタシだってオフビートな芝居してえや。とあるカットで、渡辺監督の演出がついて、カメラ方向に振り返って念仏を唱える。テストはスッとやったのだが、監督から「本気で唱えて」と言われたので、必死にやる。本番で鼻水とヨダレを垂らしながら必死にやったら、子役の女の子から「ヨダレ垂らしてキタナーイ、勝手にナムナム言っちゃって、ダメだよねえ」なんて小バカにされる。チクショー! こちとら監督に言われてやってんだ。オジサンは芝居の技術がねえから、体液に頼るしかないのよ。いじめんでくれー。撮影終わりで、良々さんに土浦駅近くの洋食屋「大かわ」に連れていっていただく。「大かわ」の親父さんが岩松了さんの古い友人らしい。ランチ営業後の休憩時間だったが、お店を開けて待っていてくれた。良々さんが「せっかく待っててくれたんだから、驚くくらい食ってやろう」と言ってくれる。蟹クリームコロッケ、ポークソテー、タンシチュー、カレーライス、オムライスをガツガツ食う。全て美味くて親の仇のように食っていると、親父さんに「中学生みたいに食うなあー」なんて褒められる。そんな事言われちゃあご期待にお応えしなきゃ男がすたる。更に一番高いビーフステーキを追加。良々さんが「どうせなら高いもの頼まないとな」なんて男気のある人でしょう。アタシも調子に乗って「良々さん、シメでカツ重を2人前頼んだら、面白いですよ!」と提案すると「親父さんの休憩時間なくなっちゃうよ、次にしよう」と言われる。さすが気遣いの人だ。でも、「ムスコと奥さんに、蟹クリームコロッケとエビフライもって帰ってあげな」とお土産まで持たせてくれる。良々さん、すみません!全て奢っていただいて図々しくお土産まで持って帰る。ご馳走様でした!帰るとカミさんと倅が喜んで、良々さんのお土産をおかずに、夕飯を食っていた。アタシだけでなく、家族まで世話になっちゃって。テメエら、良々さんに足向けて寝るんじゃねえぞ! コロナの簡易検査キットをカミさんに受けさせたが、陰性。まあコロナじゃなくてよかった。
某日、赤松さんに紹介して頂いたマッサージ師の酒井さんの施術を受けるため、吉原大門へ。池袋駅からバスで浅草に出る路線があるのを知って、小一時間のバス旅。「金村」という老舗の桜鍋屋さんの一室が施術室になっていた。酒井さんのマッサージは初めてで緊張したが、本当に丁寧なマッサージで体が軽くなった。終わって、しばらく吉原の街をぶらつくが金もなくパライソへの入り口を眺めるだけで虚しくなったので、早めに大泉へ移動。喫茶店で片山組の脚本の赤入れ。夕方からオムニバス映画『almost people』の初号。アタシは加藤拓人監督の短編に出演。井之脇海くんと木竜麻生さんが主演。演出部としても付き合いの長いダチの加藤さんの演出は、とても繊細で観ていて感心してしまう。ラストカットが秀逸だった。守屋文雄監督の作品も良かったし、横浜聡子さんの監督作も良かった。ただ、1本自分は好きになれない作品があって残念だった。夜、ポケモン。倅のデータのレベル上げをする。本当は良くないことかもしれないが、やってしまう。寝る前にちょっとだけ後悔する。倅の困難を手助けする親になってはいけないわ。
某日、内装仕事で門仲の工房へ。今日は寒いが、連日ほどの寒さではない。久しぶりに工房作業だったが、各所現場が続いていたので、工房の片付け手がおらずに荒れ放題。午前中は片付けに終始する。木材を刻みながらずーっと昼飯のことを考える。昨夜、体重は71キロになっていたが、もう少しペースを上げたい。2月からは昼飯も制限する予定なので、残り数日の限られた無制限昼飯なのだ。やはり「富水」は決まりなのだが、大サバ定食かダブル天丼か(穴子丼がなくなり、穴子1本とエビ2本のダブル天丼ができた)迷いに迷う。昼飯時でにぎわう「富水」に入って、注文する直前まで迷ったが、有終の美はダブル天丼(大盛り)にした。大盛りも封印していたのだが、今日くらいいいだろう。揚げたての穴子天にかぶりついた瞬間、脳内が幸福感で満たされた。美味いを通り越して、美しかった。あっという間に食い終わってしまい、からっぽの丼をみていたら寂しくなる。減量終わりの秋まで、サラバ!ダブル天丼!夕方まで造作作業をして、池袋へ。芸術劇場で柴幸男演出『わが町』を観る。藤井千帆さんが出ていたので、何の予備知識もなく行った。タイトルが『わが町』だったので、織田作之助が原作かと思っていたが、全く違う。どうやら翻訳劇。始まった瞬間、出てきた俳優の芝居で嫌な予感がした。人形が並べられて、俳優がそれを抱えて喋っているのだが、全く、ホントに、1ミリも内容が入ってこない。最初は数人のミュージカルチックなド学芸会芝居に笑っていたが、どうやらギャグじゃなくてマジでやってんだと理解してから笑えなくなる。演出がついてこの芝居なのだろうか?ダメだろ、チケット代4500円取ってるんだぜ。そして何より、多くの俳優が自分の芝居に疑いを持っていないように見える。ヤベエぞあんたら! セリフが入ってこないんだぞ。満足げにしてる場合じゃねえぞ! なんで高い金払って、こんな嫌な気分にさせられるのだろうか? 段々イライラしてきて、殺気立つ。藤井さんはそんな中、抵抗が見えてよかった。染まらないでほしい。「これで1幕終わりですー」と出演者が宣ったので、さっさと退館する。そこまで我慢した自分を褒めたい。こんな拷問に時間使うくらいなら、ポケモンやったり本読んだりしてた方がいいに決まっている。まあ、こんなに腹が立つのもアタシの許容が狭いからなんだろうな。色々あって全部いい。人類皆兄弟ってササガワカイチョも言ってたしな。やー、勉強になりました。お疲れチャン!
某日、昨夜ポケモンのストーリーを全クリ。しばし感動に浸る。だが、まだゲームは続く。より深く遊べる。うれしい。夜更かししたので9時前に起きる。本日は保育園のウッドデッキ作業。伸也に手伝ってもらう。9時半に保育園に行くと伸也だけでなく椿田さんも手伝いに来てくれた。椿田さんは卒園児のお父さんだが、休日の保育園作業を率先して手伝ってくれる。本当に助かるのだ。玄関前のウッドデッキ32本を取り外し、オービタルサンダーで全面研磨(クリア剥がし)そして外部ステインで塗装。サンダーがけが大変で、伸也とふたりで磨きまくる。椿田さんには塗装をお願いする。昼はカミさんと倅がピザを届けてくれて、みんなで外で食う。木くずだらけのおっさんばっかだけど、ピクニックみたいだ。6時半までかかって予定のとこまで終わらせる。休日なのに作業して、腰が痛む。あと半分残っているが、また後日。夜、倅が一緒にポケモンをやりたかったらしく、我慢して待っていてくれた。ポケモンに関してだけはいじらしい。実家から注文していた岡崎武志著『ここが私の東京』とマンゴ・パーク著『ニジェール探検行』が届く。担当マネージャーの井上さんから『季節のない街』のスケジュールの変更と、ファッション誌『2nd』からモデルの依頼の話を聞く。奥野組も決定稿は出ていないがスケジュールがきた。2月は撮影でバタつきそうだ。内装仕事ができなそうなので、金が心配。安定は求めないが、カミさんからどやされないくらいの収入が欲しい。
某日、内装仕事で蔵前。是正作業かと思いきや、追加工事。一階のカヌレ屋さんは開店4日目だが大盛況らしい。「購入は1人3個まで」なんて張り紙が出されていた。行列になり、焼きあがると10分で売り切れてしまうそうだ。凄えな。2階の喫茶店もインスタグラマーが紹介して火がついたらしく、行列が絶えないとのこと。まあ何よりです。インスタグラマーの写真を見せてもらったが、守屋さんが特殊左官し、アタシがクリア塗装をした店内で、綺麗な女性がウフフアハハって感じ。この子は汚ねえオッサンが寒さに震えながら作ったなんて、微塵も想像しないんだろうな。本日は2階喫茶店の什器やソファーの塗り直し。もっと暗くしたいらしく、ステインのウォールナットを塗り重ねる。昼飯は「味道」で初の餃子定食。一度食いたかったので試したのだが、まあまあだった。味道にはもっと美味いものがあるからなあ。夕方までやって、高円寺へ。19時に片山慎三さんと待ち合わせ、二人で和田光沙さんの出産祝いに行く。現在、和田さんは実家で過ごしているのでご実家に伺う。和田さんの倅はまだ生後2ヶ月。目鼻立ちがよくかわいかった。和田さんもスッとした印象で母親らしくなったかと思いきや、あまり変わってなくて安心した。帰りに片山さんと飯。ボロボロの外装で、客席がカウンター5席くらいの餃子屋「赤天」に入る。浮浪者然とした背骨が曲がったじいちゃんがやっていて、メニューは餃子とビールしかない。「ビール以外の飲み物はコンビニで買ってきて」と言う。アジアンスタイルのルール。とりあえずひとり2人前づつ頼む。親父さんは「コロナワクチン打ったら右肩が動かなくなって」とボヤきながら餃子を焼く。「そりゃワクチンのせいじゃなくて姿勢が悪いからじゃねえか」と言いかけたが、初めての店なので我慢した。焼き上がりを待つ間に親父がずーっと歴史学者の高山先生の話をする。「あの先生に会わないと人生の半分を損してるよ」なんて異様な惚れ込みよう。会ったことない高山先生だが、親父の話を聞くうちに親近感を覚える。やっと出た餃子は、皮が破れてアンが出ちゃってるし焦げちゃってるとこもあるし、なんだか全体的に汚くて「人生疲れちゃいましたよとほほ」感がすごい。餃子なのに諦観すら感じさせる。親父が小皿を出しながら「まず、味噌をひとさじ。次にお酢を多めに。醤油は少し。あとはお好みでラー油。辛いから入れすぎないで」なんてタレの講釈をする。こんなきったねえ餃子に講釈すんな! どんなモンつけようと変わらねえだろ! と思いつつ、言われた通りにする。破れた餃子を口に入れると、意外に美味いのだ。なぜだ? 理解できないが美味い。3、4個立て続けに食う。片山さんも「美味いですね。なんだろう?」と不思議がっている。アタシも不思議。ボロボロの諦観餃子をあっという間に平らげ、追加に4人前注文する。焼き上がりまで高山先生とガンで亡くなった奥さんの話。再び諦観餃子が出され、あっという間に食ってしまう。更にアタシが2人前、片山さんは1人前を追加する。めちゃくちゃ美味いって感動するわけではないのだが、申し訳なさそうに美味いのだ。見た目は汚ねえけど美味いのだ。結局アタシは諦観餃子を6人前平らげてしまった。最後は親父に「体に気をつけて肩治してくださいよ、また来るから」なんて言っちゃうくらい美味かった。世の中には不思議なことがあるモンだ。片山さんに赤を入れたシナリオを渡して帰る。実家に寄って、和田さんにもらったお漬物を渡す。
某日、朝5時に起きて茅場町へ。驚くなかれ、なんと今日はファッションモデルとしてのお仕事。日雇い労働者風情がまさかファッション雑誌のデルモをやるなんて、世の中狂ってやがる。アタシを起用するなんて酔狂をしでかしたのが『2nd』というファッション誌なのだ。昨年、一度デルモとして呼んでいただき、今回2度目の登板。2度もデルモやってりゃあ、肩書きに俳優じゃなくてデルモって書いても良いよな。セリフも覚えなくていいし、ウキウキしながら現場のシャレオツホテルに行くと、寒竹組『ファーストラブ』でお世話になったメイクの小林さんがいらっしゃる! しかもスチールの行竹さんは、多摩美卒で森岡龍くんや嶺豪一くんの友人とのこと。あらー、何たる偶然。前回お世話になった副編集長の上田さんと衣装の吉村さんの精鋭5人で撮影を進める。今回はジャケットとスニーカーの特集らしい。カッコいい服を着させてもらって、日本経済のど真ん中、東京証券取引所の周りで写真を撮る。オッサンばっかで中学生のようにキャッキャしながらの撮影。楽しくて全く緊張しなかった。6カットを予定通り昼前に撮り終える。上田さんに「デルモもやるけど、連載書かせてくれ」と恫喝し、現場を去る。お疲れ様ー。うちに帰るとカミさんが「残高不足で保険料が引き落とせないってハガキがきてるぞ!何度言ったら計画的に金を使えるようになるんだ!」とめちゃくちゃイライラしているので、なだめながら横で昼寝。夕方、カミさんは会社の新年会に行く。倅を保育園へ迎えに行き、その足で倅とたこ焼き屋「竹辰」へ。アタシは「竹辰」のたこ焼きをガキの頃から食って育った。倅にもその味を伝承すべく連れて行く。よくよく考えたら、今のおばちゃんのお母さんが焼いていた頃から食ってるもんな。親子二代の味を知ってるわけ。持ち帰りでたこ焼き40個と豚玉、焼きそばを焼いてもらう。倅をカウンターに座らせると、おばちゃんの作業を興味深げに眺めていた。倅はおばちゃんにも気に入られたみたいで、うまい棒までもらった。かえりに倅が「おれ、たけたっつぁんでバイトするかもな。そんな気がする」なんて言う。良いことだ。手に職をつけてほしい。風呂に入って、たこ焼きもお好み焼きも焼きそばも2人で平らげる。昔のおばちゃんのたこ焼きは、外がカリッカリで中はドロっとしていて美味かった。今のおばちゃんは昔ほど火力を使わず、しっとり系のたこ焼きに変わっていた。個人的には昔のたこ焼きの方が好きだったが、しっとり系もおばちゃんの経験や年季が加味されていて、やっぱ美味かった。俳優業も同じだろうな。若い頃は反射・反応も早い。キッレッキレの尖った芝居ができる。だんだん歳をとって体も動かなくなって、反応も鈍る。それがアジになればいいけど、ただ単にタルい芝居になりがちだ。表層的な芝居をしないで常に疑う事、探る事をし続けたい。でも、そんな年齢までは生きてねえかもしれねえなあ。