某日、表参道で内装仕事。今日は一段と冷え込む。ネックウォーマーと手袋を着用。足の親指を怪我してから、靴下と作業靴を履くようにしているのだが、この寒さでビーサンに戻れるか不安だ。本日は守屋文雄さんと塗装作業。現場の温度と外気温は同じ。何故ならまだ仮囲いで、玄関部分のドアすら付いていないので風が吹き込むし、この現場は全く陽が当たらないからなのだ。養生をする手が震えてしまい、なかなかマスキングテープがはれない。さみいな!昼は守屋さんが発見した中華屋「ふーちん」。表参道で昼メシを食うと、1000円超えるのは当たり前、だいたい1500円くらいが相場だ。高すぎて参っていたのだが、「ふーちん」は大当たり。坦々麺大盛りが680円で、ライスとゆで卵、コーヒーまで無料でついてくる!なんて良心的なんだ。しかもなかなか美味い。馴染みのない表参道で、気兼ねなく行ける店があってありがたかった。夕方まで寒さに震えながら作業して、駒場東大前へ。約束の時間までまだあったので、駅前の古書店「河野書店」で、甲斐崎圭著『第十四世マタギ』、竹田米吉著『職人』、水木しげる著『不思議旅行』、小林信彦著『一少年の観た聖戦』、小沢昭一著『雑談にっぽん色里誌 仕掛人編』を購入せり。水澤紳吾さん、荒川良々さん、赤堀雅秋さんと「福島屋」で飲む。良々さんにおすすめされた、たぬきオニギリ(かやく飯に天かすまで入っている)がめちゃくちゃ美味かった。カニクリームコロッケも美味い。みんなでバカバカしい話を笑いながらして、あっという間に時間が過ぎる。赤堀さんから再来年、舞台に誘われる。水澤さん、岩谷さんもオファーを受けているみたい。もちろんやりたいが、某組とのスケジュールがぶつかりそうだ。もっと話したかったが、宮藤組『季節のない街』の前乗りで土浦に向かう。時間が遅くなったので特急に乗るが、良々さんが「特急代金が精算出来るのか、他の俳優部が不安がっていた」と言っていたのを思い出す。特急代って移動費で精算できないのだろうか?ま、買っちゃったから泣き落としてでも精算してもらうけど。
某日、横浜聡子組『季節のない街』撮影。土浦のホテル6時半出発。ロケ先の行方の廃校は一段と冷え込んできた。じっと立っているだけで芯から冷える。表参道の建築現場といい勝負だな。本日は宮藤さんではなく横浜さんが監督の回。初の横浜聡子組なり。アタシの大好きな監督なので背筋が伸びる。ガヤ芝居で余計なことをして、横浜さんに「マツーラさん、やめましょうか」と言われてしまう。いや、はしゃぎ過ぎた。セリフ部分の芝居はさらっとできたのだが、ガヤになると余計なことをしちゃうんだなあ。まいっちゃう。しかし横浜さんの佇まいっていいなあ。演出も丁寧で、嬉しくなっちゃうぜ。撮影現場の校庭に、黒曜石がコロコロ落ちていることに気づいて驚いた。初めて見たよ、黒曜石。せっかくなので倅にお土産にする。本日も午前中で終わって、帰る。特急料金はちゃんと精算してくれるらしい。よかった。奥野俊作監督から電話で、来年の短編について話す。ラインバックの向井さんからも入電。太田信吾組の進展と、佐藤佐吉さんが企画しているユーチューブのお誘い。帰って昼寝。夕方、倅を保育園に迎えに行く。お土産の黒曜石を渡すと、予想外に喜んでくれた。「この石で縄文人は鏃やナイフを作っていたらしい」と言ったのが刺さったみたいだ。カミさんには「石なんか拾ってくんな、コジキが」と褒められたが、倅が喜んでくれてよかった。
某日、内装仕事で清澄白河。嶺豪一くんと塗装作業。オープン間近の美容室なのだが、塗装のやり直しや什器の仕上げなど細かい作業が残っている。朝から豪一は二日酔いで、1ミリも覇気が感じられない。本人は「モノモライで眼が開かないからそう見えちゃうのかな?」なんてすっとぼけているが、アタシにゃわかるっつーの。現場にはオーナーがベタツキでいて、なんだかんだと手を出そうとする。気持ちはうれしいが、正直やりにくい。ダメの量が予想以上で、参ってしまう。昼はカレー屋「サッカール」で、豆カレーとナン二枚。注文聞きの東南アジア系のおばさんが、常にダルそうな喋り方で、今朝の豪一にそっくりだった。おばさんも二日酔いかもしらん。塗装作業は養生さえしっかりやれば、素人でも塗れる。使い物にならない豪一を塗り手にして、アタシは先行して養生をやる。キリがつくまで残業。通勤読書で常盤新平著『片隅の人たち』読み終わる。常盤さんの文章って誠実さを感じる。読み終わるのがもったいなく、一日で3章だけ読み進めた。凝った構成や特徴的な文章ではないのだが、すごく好感を持つ。翻訳家をやられてるからだろうか?こういう文章が書けたらいいなあ。
某日、内装仕事で清澄白河。朝、耳がちぎれそうなくらい寒い。足を怪我してからビーサンをやめて作業靴を履いているが、傷が治ってもビーサンに戻す自信を失う寒さだ。今時期、6時過ぎに淵の森を通ると、真正面から日の出が見える。濃紺からだいだい色に変わっていく空はとても綺麗でつい見とれてしまう。本日も塗装作業。細かい造作の直しも並行してやる。昼は太田さんと久しぶりに「一番星」でハムカツとオムレツの定食を食う。やはり清澄で1番美味いな「一番星」は。そして娘さんと会うのも久しぶりだったが、清澄で1番の看板娘だと思う。ちょっと年をとって色気が増した。いいなあ。残業して塗装は終わらせて、浅草へ。嶺豪一くんと祷きららさんと「ととや」で飲む。通勤読書で神田山陽著『桂馬の高跳び』読み終わる。面白くて一気に読んだ。「芸とはなんぞや」と考える。
某日、9時に起きる。ゆっくり寝た。午前中、ネットフリックスで、ジェイムス・サミュエル監督『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール』を観る。王道西部劇の筋だが斬新な映像とテンポでグイグイいく。俳優も良くて、特にラキース・スタンフィールドが抜群だった。監督を知らなかったので、調べたらどうやら今作は初長編だったらしい。恐るべき才能。西部劇やりたい。ガンマンやりたい。午後、保育園へ行き、ウッドデッキの下見。防腐でステイン塗装を頼まれる。デッキ材を全て取り外し、サンディングして、ステイン塗装し、仕上げで磨いて再設置。なかなかの作業になりそうだ。夜はうちでタコ焼き。そしてクリスマスのアイスケーキ。倅がはしゃぎまくっていてちょっとウザいくらいだった。あんまりだったので、「プレゼントを届けにきたサンタを捕まえてやる!」と言うと、「ゴリ、それだけは絶対にだめだ!」と、本気で止められる。アタシもお調子に乗ってしまい、わざわざロープを用意して「サンタがここから来るだろうから、羽交い締めにしてサンタ袋を奪ってやる!」と対サンタ戦の準備をしていると、倅が心配し泣きそうになった。「ゴリ、お願いだからやめて。俺のプレゼントあげるから捕まえないで」と懇願するので、さすがにやり過ぎたと後悔した。夜、ネットフリックスでマルセロ・ガルビオン監督『荒野の殺し屋』を観る。これも個人的に大当たり。『大菩薩峠』『平家物語』みたいにバンバン登場人物が死んでいき、世代を越えて背負ってしまう業を描いていて、大好きな作風。今日観た2本とも配信でしか観れない。ソフト化されてないようだ。こんな良作がソフト化されないなんて。というか、自分が知らない素晴らしい作品が、配信の中に埋もれていると思うと、ぞっとするな。この2本は運良く出会えたが、出会えない作品もあるだろう。それが悔しい。
某日、朝から倅は早起きしてクリスマスプレゼントの「ポケットモンスター スカーレット」をスイッチでやっている。メチャクチャ喜んでいて微笑ましい。「ゴリ、サンタさんを捕まえなくってありがとう!」と感謝されてしまう。6歳児に本気で心配される父親ってどうなんだろうな?「ゴリ、お礼に一緒にポケモンやっていいよ」と倅から誘われる。アタシはゲームもあまりやらないし、ポケモンもやったことないので、倅がやっている操作を見ながら覚える。しかし、初めてスイッチをやる年長児がすぐに操作になれるなんて、操作性やデザインが優れているんだなあ。感心する。しかもゲームが面白い。倅がやっている間も早く自分でプレイしてみたくて仕方なかった。午後、倅は義兄と一緒にカミさんの実家にお泊まりに行く。そこからは休憩なく「ポケモン」をプレイし続けてしまった。すげえ楽しいぞ、ポケモンスカーレット!出てくるキャラクターが可愛くて愛着がわく。アタシは相棒にバカっぽいワニを選んだ。よくできてんだこれが。ガケガニを倒すとこまで進めてしまった。ポケモンおそるべし。