某日、朝、倅を保育園に送る。先生から「ゴリさん、『ファーストラブ』出てきて驚いたよ!」と言われる。寒竹さんのネットフリックス作品が放映されているらしい。こんな田舎の保育士さんにも届いているなんて、配信作品すげえな。お家で好きな時間に、なんならスマホで手軽に観れてしまうサブスクは、映像作品のあり方を変えてしまった。わざわざ映画館で観なければいけない映画や、決まった時間に放送されるテレビ番組なんてかったるく感じてしまうんだろうな。いやいや、映画館でしか体験出来ない事ってたくさんあるんだぜ!なんて考えながら、「カフェ・ド・クリエ」で奥野組のシナリオを読む。2重構造の面白いホンで、撮影が楽しみ。吹き込んだ相手のセリフを聴きながら、歩き念仏をやる。所沢ー聖地霊園ー東所沢ー秋津のコース。歩いているとまだ汗をかく。来年の作品で減量しなければならない。昨夜、体重を測ったら76キロ。撮影までに54キロ(オノダ撮影時の体重)を目標にする。まだ時間があるので、急激な減量ではなく、徐々にやっていけるのが救い。夕方、外苑前のサンアドで奥野俊作組の衣小合わせ。アタシの衣装は、ほぼ奥野さんの私服。おしゃれでかっこいい。あまりにも普段と違う装いで、なんか照れるんだよなあ。久しぶりに植田さんともお会いする。本読みをどうするか聞かれたが、やっぱ、設定が初対面の芝居だから、現場で新鮮にやりたいと話す。植田さんも同意してくれて、奥野さんには申し訳ないが、本読みはやらず。設定や人物の話をする。植田さんとは奥野さんの短編広告や吉田大八組でも共演しいるし、監督も交えて何度も飲んでいるので不安はない。話し合いが終わって飯に誘っていただくが、セリフをやりたかったので帰る。よお、オッサン、植田さんの前だからって真面目な俳優部のフリしやがって!や、実際まだまだセリフが不安定なんですよお!
某日、朝、倅を保育園に送る。午前中はたまっていた日記を書いたり、映画のコメントを書いたりと雑務をこなす。メダカも水温が低くなって活性が落ち、動かない。プランターに石灰と油カスをまいて、春のタネ植えに向けて、土を作る。昼、奥野組で髪を整えたかったので、所沢駅前の千円カットで髪を切る。プロペ通りを歩いていて、魔が差してしまいジャグラーを回す。出ないとわかっていたが金を増やしたくて一縷の望みを持って、手持ちの2000円を突っ込む。出たら即ヤメするつもりだったが、10分で飲まれる。2000円じゃあ出るわけねえや!何やってんだ!と、激しく後悔しながらパチンコ屋を出る。途方にくれたまま喫茶店に入る金もないので歩き念仏。聖地霊園から所沢インターの方まで歩く。ついでに祖父母のお墓参り。セリフは一言一句ではないが、身体に落ちてきた。セリフは常に深く入れて、撮影時に自由な身体で臨むべし。3時頃、うちに帰って、カミさんに怒られながら昼寝。夕方、保育園にお迎え。24日に保育園の大掃除があるらしく手伝いを頼まれる。倅は小学校生活の準備で、昼寝をせずに漢字練習をしたらしい。すごいな。夜、太田信吾組の長編映画の叩き台本を読む。今までの脚本とはだいぶ印象が変わった。この短期間で全く違うネタをぶっ込んで来たな!ここから更にどう変化して行くかが全く予想がつかず楽しみで仕方ない。太田さんは監督・主演作の『解放区』を拝見して、狂気がかった演出をされるので、本当に現場が楽しみなのだ。才気走った監督の演出を受ける事って、俳優に許された特権的な楽しみだよな。片山さんから「ガンニバル忘年会」のお誘いがきた。本年度の川瀬会忘年会の日程調整のため、川瀬陽太さん、水澤紳吾さん、奥野瑛太くん、木村知貴さん、嶺豪一くんにメールする。今年もいよいよ忘年会の時期がきてしまったなあ。アタシは今年、なにを成し得たのだろうか?思い返すまでもなく、なーんにも成し得ていないのであった。
某日、朝からカミさんがお弁当作り。カミさんと倅と3人で、多摩動物園に遠足。多摩動物園は入場料が大人も600円。安いし、広くてたくさんの動物がいるから時間も潰せる。そして何より、人が少なくてストレスがないのが最大のポイントなのだ。ただ、園内が広すぎて、歩き疲れるのだが。入場すると入り口でスタッフさんが写真撮影してくれる。無料で新聞記事風の写真をくれるのだが、それを額装して売っている。カップルや家族連れの方は、だいたい記念に額装された写真を購入していたが、カミさんは「(無料の)写真だけで結構です」とバシッと断っていた。「記念に買えば?」と小声で聞くと「今のウチに1200円も出せる余裕はねえんだ、甲斐性なしが」と弁当を入れたバックで引っ叩かれた。今日は最初に、まだ一度も見ていないコアラを見に行く。毎回コアラ館までたどり着かずに帰っていた。楽しみにしていたコアラだったが、コアラどもめ、みーんな木に抱きついて顔を埋めて寝ていた。全く顔が見えねえじゃねえか!木にくっ付いた灰色の毛玉をありがたく拝見する人間どもがバカらしく見える。トラもワラビーもタスマニアデビルもシフゾウもバクもオオカミも、基本寝ていた。昼間だからかなあ?まあ、なんにしろ平和でよかった。トラとアジアゾウは、常同行動をしていて見ている自分が不安になった。終わる事なく足踏みを繰り返すアジアゾウを、隣のおばさんが「見てよ、あんなに楽しそうに足踏みしてるよー。よっぽどハッピーなんだねえ」と大声で笑いながら手を叩いていて、なんともいえない気持ちになった。見方の問題なのか、想像力の問題なのか?ババアよ、もっと想像力を使って生きろ!ユキヒョウは孤高でかっこよかった。モウコノウマに乗って、大泉の撮影所に行ってみたいな。午後3時くらいにライオンバスに乗ったのだが、ライオンたちは「もう、今日のお勤めは終わりッス」って感じで、ゲート前に寝そべって寝床に帰る準備をしていて、ここでも再び「時間帯を間違えた」と我が判断を後悔せり。歩き過ぎて足が痛くなっていたが、昆虫園のチョウ・バッタ館は素晴らしかった。館内をたくさんのチョウが飛んでいて、ナウシカの竜の巣みたいな別世界だった。ここだけで1日過ごせる。大満足で帰る。あ、問題点が1つ。園内は全面禁煙で喫煙所はないので、アタシみたいな喫煙者は苦しいのね。夜、実家に帰っていた伸也を誘って、インターラーメンこと「仙龍」の名物ネギラーメンを食いに行く。昔は所沢のインターチェンジの近くでバラック屋台でやっていたラーメン屋。死んだ祖父が大好きでよく食いに行っていたのだ。20年振りくらいに食う。ラーメン大盛り・ネギネギ・こってり・固め。20年食ってなくても味を覚えているもんだな。1口食って、「ああ、この味だ!」と思い出した。美味かったな。これで減量に集中できる。岡部尚たんと電話。来年の舞台のチケットを取ってもらう。
某日、朝起きると、「いつまでゆっくり寝てやがるんだ、稼ぎがねえんだから家事くらいやれ」とカミさんから激励を受ける。慌てて猫のトイレを洗ったり、便所掃除をする。長居は無用なので、頃合いを見て、倅を連れて実家に避難する。倅の自転車練習をするが、もう乗れてしまう。驚いた。保育園から帰った後、カミさんと練習していたらしいが、まさか乗れるようになっているとは。バランス感覚や漕ぎ出しの力の入れ具合がわかると早いんだな。伸也もお袋も驚いていた。倅は伸也とスーファミをしているので、そのまま奥野俊作組『クリスマスイブ』の撮影に向かう。都立大で植田紗々さんと待ちあわせて、撮影場所の三部さん宅に向かう。今日は外回りの撮影と、風呂のシーンを撮る。いきなりアタシ自身を丸出しのおっぴろげでお風呂のシーンだったので、クルーの結束が固くなったように思う。アタシはおツンツンを出したがる癖があるのでしょうか?植田さんはアタシの衣装にアイロンをかけてくれていた。ありがとうね、素晴らしい気遣いの俳優です。テメエのためじゃねえや!作品のためだい!ってのはわかっているが、なんだかいい気分だぜ。午後6時には撮影を終えて、帰る。帰りに秋津のパチンコ屋でジャグラーを打ってしまう。なぜか出る気がして、足を向けたのだが、もちろん飲まれて終わる。金がねえのに何やってんだろうなあ。金がねえから浅知恵に頼るんだろうな。ニンゲンって、バカで浅ましくてみっともなくて堪らねえや。
某日、朝から奥野俊介組短編『クリスマスイブ』撮影。都立大の三部さん宅で、1日中、植田紗々さんと2人芝居。なんて幸せな撮影なんだ。しかも、今日はキスシーンがある。アタシってば、結構映画をやってきたはずなのに本日のようなキスシーンってあんまり経験がない。朝から3回歯磨きして、力一杯歯を磨きまくっていたので、歯茎から出血する。キスシーンの段取り前に4回目のエチケット歯磨きをしたら、出血で泡立った歯磨き粉が綺麗なピンク色になった。本番で3回もキスをしたのだが、2回目までは緊張と興奮で必死でやっていたから、どんな芝居をしたか全く覚えていない。途中で奥野さんが演出してくれたが、正直なところ何を言われたか理解できないくらい興奮していた。役の上で無理矢理キスをしちゃうという芝居はたまにあるが、相手に嫌がられずにキスしたのは本当に久しぶりだ。言っちゃえば、私生活でもカミさんとキスをしなくなってしまったので、キス自体いつぶりかわからない。そりゃ緊張するわな。あくまで芝居でキスしただけだし、そもそも植田さんは不快だったかもしらんが、何しろアタクシは楽しかった。ありがとう。誰に感謝してるんだオッサンよ!終電でうちに帰ると、佐藤五郎さんからハガキが届いていた。五郎さんは、現在、訳あってホームレス生活をしている。先日もホームレス生活をしている五郎さんに差し入れしたくて池袋を探したのだが、居所がわからず会えなかった。今は新宿にいるそうだ。近々会いに行こう。
某日、奥野俊介組短編『クリスマスイブ』撮影。青山の風月堂で植田さんと会話シーンを3つ。会場が2時間しか借りられず、ケツの時間は決まっていたが、順調にやれた。場所の持つ不思議な雰囲気も相まって、なかなか面白いシーンになったんじゃないだろうか。外回りを撮影していたら、偶然マネージャーの井上さんが通りかかる。撮影中に予期せぬ知人に会うと、照れてしまう。なんでかしら?その後、東中野の歩道橋で今作の印象的なシーンを撮影。本番時にいい感じで陽が落ちたらしく、撮影の三部さんが嬉しそうだった。何度も植田さんと抱き合う芝居ができて、アタシも嬉しかった。夜、師走の浮かれた表参道でラストシーンの撮影。イルミネーション目当てのカップルが多く、陰臭を感じてしまう。宮本さんのメイクで全く印象が変わった植田さんに見惚れる。無事に撮影が終わって、サンアドで軽く飲む。奥野さん、お疲れ様でした!楽しかったなあ。植田さんとの息が合い始めたなと思ったら、もう終わり。また植田さんとキスじゃない、、、芝居したいなあ。