某月某日、川井組『ガンニバル』撮影で新宿集合。ラインプロデューサーの半田さんの車で永田崇人くんと3人、大子町へ。約3時間の道中、半田さんと業界四方山話。半田さんは現場をクレバーに観察している。面白い話を聞けた。現場入りするとクラスターの影響もあり、ずいぶんとスタッフさんの顔ぶれが変わっていた。撮影部の熊ちゃんも照明部のしんさんもいない。組の心臓部である歴戦の猛者が抜けたのはよっぽどだよな。いやはや、大変だ。しかし、新たなメンツでもワイワイと撮影は続くのだ。まるで戦場の様ですぜ!現場終わりで、再び半田さんに送ってもらい、ラーメン「一蘭」を奢っていただく。初めて「一蘭」を食ったかもしれない。一席ごとに仕切りがある仕様に面食らった。ラーメンは美味かったが、下痢する。濃厚な油分がアタシとは合わないのだろうな。洗濯して、水戸プラザホテル泊。

 某日、『ガンニバル』撮影で水戸。9時くらいに起きてシャワー。泊まった部屋がなんだかすげえいい内装でビックリした。今日は出番なし。10時過ぎに水戸在住の映画監督鈴木洋平くんとルーがホテルに迎えに来てくれた。とりあえず喫茶店でお茶。洋平の企画がAFFに通ったとの事で、いよいよ『A 第一部』が動き出すとの事。長かったなあ。『ローリング』の頃から話していたもんなあ。『A』は全3部構成らしく、まあ俺が生きているうちに完成させてくれよ、と思う。3人でリサイクルショップ行って、羽が生えたカエルの置物を買う。昼飯に刺身を食い、海に行く。夕方、永田崇人くんを拾って、4人で日立の「朝楽園」へ。久しぶりだったが、おばちゃんもおじちゃんも覚えていてくれて、嬉しかった。みんなでクソうまい焼き肉を食って帰る。いやー、美味かった。ホントは柳楽くんも連れて来てやりたかったなあ。

 某日、『ガンニバル』撮影で水戸。本日は午後入り。午前中、セリフ念仏しながら国道沿いを歩く。暑くてTシャツが絞れるくらい汗をかく。タイマッサージ屋が安かったので、ゴリゴリ系のを1時間指圧してもらい、また汗だくになりながら1時間歩いて帰る。シャワーを浴びて現場に向かう。永田崇人くん、山下リオさんと半田車で送ってもらった。本日はアクションシーンなので、集中していたが、事故なく終わってよかった。梅雀さんも、カットがかかると親指を立てて健闘を讃えてくれた。楽しんでやれてよかったが、芝居はもっと変化球でもよかったかもしれない。おさまってしまったかなあ。撮影後、ホテルへの移動も半田車。永田くんと山下さんと4人で大工町の中華屋「青木屋」へ。ジャンボラーメンを食う。美味かった。山下さんとは飲み屋で数回一緒になったが、芝居は初めて。真面目ですごく集中力の高い俳優。オンオフが切り替えられる方だから、話しやすい。いい俳優だなー。

 某日、朝起きてシャワー。うちにいたら出来ない贅沢な時間。涼んでいたら、カミさんから連絡。保育園で職員2名と年中の子の一家が発熱。職員さんは陽性。いよいよコロナが身近に来たなー。倅は登園を見合わせる。東京に戻る不安はあるが、カミさんの免許更新に付き合わないといけない。倅に症状は出ていないが、感染も時間の問題だろうな。現在、世界一の感染者数を誇る日本だからなあ。9時にホテルを出発、ハイエースで俳優部8人帰る。新宿に着いて、石神井公園へ。カミさんと倅と合流する。一応、倅に抗原検査をするが陰性。うちに帰ると、プランターで育てていたナスとキュウリがカレッカレになっていた。倅は「水はあげたよ!」と言うが、足りなかったのだろう。仕方ねえ。メダカは無事でよかった。夜、保育園の発熱者が増えたとの連絡。クラスターかなあ。まだ園児の発熱者は検査を受けれないらしい。新潟をはじめ各地で集中豪雨のニュース。川の氾濫や土砂崩れが起こった。集団での避難生活を想像すると、気が重くなる。被災者支援の行き届きを願う。

 某日、倅が休園なので、二人で昼前に大泉に行って、「オズシネマ」でコリン・トレボロウ監督『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』を観た。いやー、面白かったなあ。とうとう恐竜が人類と共生を始めた世界になっていて、その世界観が良かった。そして『ジュラシック・パーク』の出演者までわんさか出てきてのお祭り騒ぎ!なによりハラハラさせられて、上映中に思わず倅の手を握ってしまう。正しく映画を楽しませてもらった。倅も恐竜が出てくるたびに興奮していて、オシッコも忘れていたらしい。『ジュラシック・パーク』シリーズから『ジュラシック・ワールド』シリーズまで、全作映画館で観たと思う。次のシリーズもやってほしいなあ。夕方、保育園から連絡。園児は陽性だった。そして新たに発熱者が出ている。しばらく倅は保育園を休まなきゃだな。カミさんが「私の堪忍袋が爆発しないか心配」とのこと。気持ちはわかる。ただ、明日からの水戸ロケに「相変わらずあんたは大変な時にいっつもいないな!」とキレられる。参ったなあ。アタシがスケジュールを選んでいるわけじゃないのにな。夜、部屋のガラスに遮光シートをはる。しかしまっちろけのシートで窓外の景色が全く見えなくなってしまった。

 某日、『ガンニバル』撮影で大子町へ。半田さんの車で移動。道中、業界よもやま話。田中俊介くんと久しぶりに一緒になった。田中くんとは低予算映画や独立系映画で、一緒にしのいできた。「やってるねえ」という挨拶がピッタリだ。暑い中神社で太鼓練習。暮れてからのナイター撮影。中村梅雀さんと柳楽優弥くん、田中俊介くんと4人のシーンで待ち時間もあり、梅雀さんとたくさん話す。幻の企画で梅雀さんが田中角栄をやる予定だったドラマがあったそうだ。面白そうだなと思ったが、某会の反対で潰されたそうだ。こういう企画が通らないのが日本ぽいよなあ。アメリカだったらこのテーマで5、6本は作られてるだろうな。柳楽くんに約束していたディアオ・イーナン監督『鵞鳥湖の夜』と『薄氷の殺人』のブルーレイを貸す。23時に撮影終了。スタッフの助手さんの入れ替わりがまたあった。皆、大変なのだ。せめて芝居で返さなきゃなあ。監督の川井さんは大根仁さんに付いていたそうだ。結構近いとこでやっていて驚く。

 某日、『ガンニバル』撮影で大子町。クライマックスの祭りの準備のリハーサル。朝から炎天下の現場で太鼓練習。エキストラの方の人数が多く、東京から来る前の抗原検査で4人引っかかったそうだ。結構な確率。現場での対策は徹底してくれている。これだけでも大変な労力だ。暮れてから祭の準備の本撮影。待ち時間、田中俊介くんと海外映画祭について色々話す。片山監督回の撮影時、全くシナリオにないシーンを撮影する。しかも状況だけざっくり話されて、おまかせパターン。ふんどし姿に頭巾をかぶるのだが、全身が寂しいので、赤い手形を付けることを提案。さすが片山組。メイクの望月さんがすぐに対応してくれて、たくさんのスタッフさんから記念手形をつけられる。「さあ、どうする?」と片山さんに聞くと「マツーラさん、『スクエア』って観ました?」と言われる。もうそこで狙いがわかった。「つーか、『スクエア』薦めたの、俺だから!」「あ、そーでしたっけ?」なんて話しつつ準備。もちろんワンカット手持ちで長回し。池田さんも舘野さんも美術の倉本さんも「マツーラは何するかわからんから、万全の準備しとけ」って、舞台を整えてくれた。で、幕から飛び降りたり、走り回ったり、女性に絡んで叫んで暴れまわる。本番中、池田さんとビタッと呼吸があった感覚があった。集中していたが周りも見えていて、「照明のしんさんにライト抱えて走り回らせてわりいなあ」とか「録音助手の橋本くんが笑って竿がゆれてるなあ」ってのがわかった。途中、片山さんが結構な声量で吹き出したりしていた。カットがかかるまで10分から15分はやったと思う。カットがかかってスタッフから拍手が起こった。梅雀さんも拍手して声をかけてくれた。寄りのパターンでもう1回やって、終了。みな、何が起こるかわからないから異様に集中していたし、即興で作ったものだが、なかなか面白くなった気がする。片山組っぽいなあ。ただ、本編では使えないだろうな。夜、フランスの澁谷悠くんとスカイプ。『オノダ』カンボジア上映が決まったそうで、招待の打診あり。嬉しいし参加したいが、スケジュール次第だな。