某日、離婚を切り出されているアタシは、珍しく朝から掃除機なんかかけちゃって、カミさんのご機嫌とりに精を出す。しかし「当たり前だハゲ、猫のトイレもやっとけ」と、手厳しい。「たまに家事やったと思ったら全部中途半端じゃねえか、せめて70点取れよ。フィニッシュワークまでやっての家事だろうが」罵詈雑言の嵐だが、口をきいてくれるだけでありがたい。や、これってDV被害者の発想じゃねえか?まあ、いいや。早く機嫌を直していただきたい。昼前に倅を連れて大泉へ。OZシネマで、カイル・バルダ監督『ミニオンズ フィーバー』を観る。倅は公開日を覚えて、楽しみにしていた。帰りにブックオフでキャスリン・ビグロー監督『ハートロッカー』、トマス・ビンターベア監督『ディアウェンディー』、阪本順治監督『団地』を購入。そのまま実家に顔を出す。祖父もボケているが元気そう。ただ、寒がってクーラーを消してしまうのが心配。夜、ブルーレイで『鵞鳥湖の夜』を観る。もちろん映画館で観た作品だが、傑作なり。もうすげえや。アジアでトップクラスの監督だな、ディアオ・イーナンさん。ああ、いつかやってみたいな。夜中、片山慎三さんから電話。2時間近く話す。 


 某日、午前中、倅を連れて「島忠ホームズ」へ。明日からの家族旅行の準備で、奮発して水中眼鏡とシュノーケルを購入。昼、実家でスーファミを借りてくる。カミさんと倅が「ヨッシーアイランド」をやっているのを後ろで大人しく見学。明日からの旅行なので、絶対にカミさんのご機嫌を損じちゃならねえ。しかしこれ見よがしにおべっかを使うのも逆効果になる。塩梅が難しいが、ここはアタシの腕次第。もう20年一緒にいる仲なので、カミさんの肩の動きで感情を察する技術がついた。常にカミさんの方の動きを注視しながら、ゲームを眺める。ヨッシーアイランドはなかなかいいゲームでタイムアップの概念がなく、概ね平和なゲーム。珍しい。あまりカミさんの近くに居続けると、やぶ蛇になる可能性があるので、頃合いを図って庭に出る。大量虐殺を逃れたメダカの稚魚も、順調に育ってきた。プランターのナスとキュウリに追肥する。夜、ブルーレイで『ハートロッカー』を観る。寝る前にも念には念を入れて、カミさんのご機嫌伺い。これだけやったので、明日は無事に旅行に行けるだろう。 


 某日、朝、家族で伊東へ向け出発。倅が海に行きたがっていたので、伊東の海でチャプチャプするのだ。鎌倉号で横浜、踊り子号で伊東まで。乗り換え1回で行けてしまう。伊東からタクシーで20分、川奈のイルカ浜へ。砂利の浜だったが、人は少なく海も綺麗だった。(初島と比べると魚は少なく地味だったが)倅は浮き輪で浮かび、自分はシュノーケルで魚を観察し続ける。ウニやヒトデ、イソギンチャクを触った倅が興奮していた。3時頃から天候が怪しくなったので、撤収してタクシーでセブンシーズホテルへ。オレンジビーチの目の前。部屋に露天風呂も付いていた。豪華な夕食を食べて、ビーチで花火。漫画家のいましろたかしさんに連絡して、久しぶりに会う。ビーチで2時間話す。いましろさんから安倍元首相暗殺事件の話やコロナの展望を聞く。いましろさんが三茶に住んでいた頃は、ちょくちょく会ってお茶していたが、伊東に移住されてからはなかなか会えなかったので会えて嬉しかったな。 


 某日、4時に目覚める。露天風呂に入ると土砂降り。なんだか災害級の大雨らしく、予定ではオレンジビーチで遊んでから、午後帰る段取りだったが、諦めざるを得ない。7時半に豪華な朝飯。部屋でダラダラしたかったが、早めに帰ろうとなる。雨が止んだのを見計らって9時半ホテル発。歩いて伊東駅へ。喫茶店でお茶してお土産を買ったら、土砂降り。11時の踊り子で川崎まで。うちに帰ると猫が擦り寄ってくる。結局あんま海で遊べなかったが、それでも楽しかった。やっぱり旅行はいいな。定期的にできるくらい稼ぎがあるといいのだが、そりゃあアタシ次第でしょ!オトウチャン、気張って稼ぎなはれや! 


 某日、倅が保育園を休んだため、午前中は一緒に泥団子作りをする。お袋からキットをもらって作ったのだが、なかなかうまくいかない。なぜかと不思議だったが、倅が混ぜる材料を間違えていた。大失敗。午後は二人で親父とお袋が営む小手指の本屋へ。倅に本を買い、ついでにアタシも角幡唯介著『探検家とペネロペちゃん』『狩りと漂白』を購入。お袋から小川紳介・小川洋子著『幻の小川紳介ノート』をもらう。班長さんからイベントの打診があるも、結局コロナが爆発している状況なので中止になる。毎年続いていた班長さん主催のお花見や、大反省会、映画の打ち上げや飲み会がコロナで全て無くなってしまった。いつか状況が落ち着いて日常生活を取り戻せたら復活するのだろうか。まあ、やりたけりゃやるし、やりたくなけりゃやらないか。全てはアンタ次第って事よね! 


 某日、内装仕事で工房作業。午前中、進行物件の仕込み作業。久しぶりに守屋さんと会う。昼飯は韓国食堂「マショ飯店」。自分は初めて行ったが、太田さんも伊藤くんもよく行くらしい。サムギョプサル定食を頼む。うまいスープやキムチ、韓国海苔、サラダ、小鉢物、までついて更にご飯のおかわり自由!一杯目はサムギョプサルで(タレも塩ごま油と辛味噌の2種類ついていた)。2杯目はキムチと韓国海苔で。贅沢食い。大満足。午後、清澄の鍼灸院で左官。クソ暑くて参った。守屋さんがメダカを飼い始めたので一緒に餌を買いに行く。うまく育って欲しい。アマゾンの欲しい物リストにDVDや書籍がどんどん溜まっていく。金が入ったら買う!と決めているものの、金に余裕が出来る事などなく、溜まる一方なのだ。いつか全部買ってやる。カネの心配なく生活できる日なんかくるのかな?やあ、おそらく来ねえだろうな。今世は徳を積んで、来世に期待するしかあるめえ。テメエの生き方を変えりゃあいいだけだぜ、オッサンよお! 


 某日、神田で内装仕事。大工のダイゴさん、塗装屋の謝花さんと。アタシはモルタルで補修左官。クソ暑くてやってられない。昼飯は目の前の中華屋。特に美味いも不味いもなかったが、中国人の店員さんが可愛くてよかった。夕方までやって作業を終わらせ、下北に向かう。下北沢って正直、好きじゃない。何故嫌いなのか考えていたが、やっと理由が思い当たった。アソコに集う多くのヒトは、老若男女問わず「自分は何者かである。自分は特別だ」という自尊心が高い奴が多いのだ。新宿や池袋とは違う。その勘違いした特権意識を身に纏ったふてえ奴らが大嫌いなのだ。一人一人ひっぱたきながら「てめえは何者でもないぞ!」と説教してやりたくなる。水澤紳吾さん、杉山彦々さん、大森立嗣さん、奥野瑛太くんと飲む。2軒目は「風流四季」で、吉岡睦雄さん、川屋せっちんさんも合流。15年前によく飲んでいたメンツで、懐かしかったが、皆、変わらずバカで下品で人間って本質的に変わらないんだなと安心する。良い飲みだった! 


 某日、午前中、メダカや菜園の世話。午後、家族で所沢。カミさんの誕生祝いに、ロクシタンで香水を買う。香水って高いんだな。1万1千円もした。そのあとユニクロで服を買いたいというので財布を渡す。帰りにサーティーワンでアイスケーキを買う。倅をOTに連れて行く。H先生が可愛かった。そのまま倅と実家へ。伸也が帰っていて話していると、孫さんから電話。伸也、本当にアズランドに入ることになるそうだ。兄弟揃って俳優やるとはなあ。孫さんから「なんかあったらすぐ連絡してくれ」と言われる。孫さんは伸也の事を色々考えてくれている。ありがたいなあ。夜、スシローで寿司を買ってお祝い。アイスケーキを食う。倅とキャッキャしていたら、しみじみとカミさんが言う。「私も40歳、、、あんたと過ごした私の大切な20年を返せ!」と力一杯引っ叩かれる。ああ、ヒトって自分の言った言葉がきっかけで怒り出して、他人を引っ叩いたりするんだなと勉強になった。