某日、清澄で内装仕事。通勤時に色川武大著『私の旧約聖書』読み終わる。旧約聖書なんて色川さんが書いてなければ読む機会もなかったと思う。お勉強になりました。昼まで豪一が入ってくれる。床のノリ剥がし。腕がキツイ。昼は久しぶりに中華屋「桃太楼」に行く。お店のばあちゃんが元気かどうか、久しぶりに会いに行く。ばあちゃん、相変わらず働いていた!足腰が弱くなって、今まで以上にヨタついていたが、まだまだ口は達者だった。安心した。チャーハンセット大盛り。ここのチャーハンセットは、野菜炒めとかつおダシのきいたスープが付く。チャーハンにスープをぶっかけて食うと非常に美味いのだ。会計時、ばあちゃんに「元気でね」と言うと「仕事頑張ってねー」と言われる。頑張んねえとなあ。夕方までモルタル打ち。軽量モルタルの粉が目に入って痛い。夜、井上さんから明日のスケジュールが届かず、連絡もない。23時過ぎてもないので、共演の永田くんにスケジュールを教えてもらう。助かった。寝ようとしたら井上さんから入電。夜、赤ちゃんの面倒を見ているらしく寝てしまっていたらしい。そりゃ仕方ねえや。井上さんも大変だ。 


 某日、片山組『ガンニバル』(と書いたが今日は川井さんの演出回)の撮影で日立へ。今回のディズニーチャンネルのドラマは、全回片山さんが監督する予定だった。しかし、急遽年内配信が決定して、1・2・3・7話を片山さん、4・5・6話を演出部チーフの川井さんが監督することになったのだ。川井さんはチーフという立場もあり、片山組のスケジュールは比較的にゆるく、自分の組のスケジュールはキュンキュンにしている。人柄もいいし寒竹組でもチーフで頑張っていたので、できる限り協力したい。今日の撮影もパヤパヤしているだけ。登場人物が多いし、スタッフも大編成なのでいろんな人と話す。自分は現場にいるとほとんどスタッフの方々とおしゃべりしている。こちらから話しかけないと俳優部との壁を感じるし、現場で作っている者同士そういう壁をなくしたい。人によってはいつもフザケていて不真面目だと思われているだろうが、それでいいのだ。集中しなきゃいけない時(仕掛けやアクションがらみ)はしっかりやらねばいけないが、それ以外の時はなるだけピリピリしないようにしている。緊張は萎縮に繋がるし、自分はそれがいい結果を残すとは思えない。「よーい」の声で集中して、「カット」の声で緩める。組によっても違うが、基本的に自由に反応できる状態を作ってセリフやト書きに囚われず、動くことを目標にしている。その場で反応し合うこと。古舘寛治さんがよく言っていた。22時半新宿帰り。本当はごーいちの組の打ち上げだったが、遅くなったので辞退して帰る。 


 某日、午前中、「カフェ・ド・クリエ」で『ガンニバル』と『almost-people』のセリフ練習。午後、新所沢のシネパークで、渡辺謙作監督『はい、泳げません』を観る。綾瀬さん長谷川さんだし、ウェルメイドなお仕事映画かと思いきや、謙作さん節が炸裂した傑作だった!各所、攻めた演出が爆発していて、編集もテンポよく、泣かせもあって(夜のプールのシーンで泣いてしまった)驚嘆の声を漏らしてしまった。謙作さんすげえや!自分が映画監督だったら、こんな映画を作ってみたいと思う。いや、身内びいきではなく傑作だ。ジョセフ・コシンスキー監督『トップガン マーヴェリック』も観る。謙作さんの傑作を観た後だったので、金かかっとるし、すげえ映像だなあとしか思えず、映画的発見はあまりなかった。そもそもトップガンに思い入れはないから当たり前か。シナリオはうまい。ただ、演出に尖ったものは感じない。劇場を出て、すぐに謙作さんに電話。感想を伝える。面白い映画なのに集客に苦戦しているそうだ。コロナ禍で映画館に行く習慣が途切れた人が多いんだろうな。野球場もそうだ。この2年のブランクはでかいと思う。「日本版CNCを立ち上げる会」が発足したとのニュースをツイッターで見た。劇場チケットの販売やテレビ放送・ビデオ販売からの自動徴収を主な財源とし、その資金を映画製作をはじめ、業界全体への支援として再分配する共助のシステム。フランスや韓国にある制度だが、日本にはない。アルチュールや澁谷くんが話していて羨ましいと思っていた。諏訪さん、是枝さん、白石さん、西川さんといった映画監督や、役所さん、マキねえ、井浦さんといった俳優部が賛同し立ち上げ人だそうだ。マジで成立させてほしい。夜、吉祥寺でラインバックの向井さんと『田園ボーイズ』のサード演出部だった芳賀直之くんと飲む。新作の話になるが、さてどうなるか。 


 某日、午前中、日記を書いたり請求書を書いたり雑務をして、カフェドクリエ。そのまま府中本町へ出て、多摩川で『ガンニバル』と『almost-people』のセリフ。府中から登戸を往復、4時間歩き念仏。加藤組のセリフ、だいぶ入って来た。曇っていたのにだいぶ日に焼けた気がする。夕方、植田さんと「樽平」で飲む。夜、東龍之介くんと電話。短編を監督したらしい。嬉しいなあ。東くんは監督が向いてるかもなあ。 


 某日、内装仕事で清澄。床のモルタル補修とカチオンタイトを打つ。昼飯は抜き。材料が届かず3時に上がる。倅を迎えに行くと、保育士のリラちゃんが「今日、羽村動物園に行ったんだけど、倅が真剣にニホンザルのボスとゴリ、どっちが強いと思う?って聞くから答えに困ったよ」と言っていた。「そりゃ、俺だろ!ニホンザルには負けねえわ」と言うと、倅が「何なら勝てない?」と真剣に聞くので「ゴリラ、オラウータン、チンパンジーには勝てねえ」と答えると、納得しない。延々と「どんな動物にゴリは負けるか」を聞かれ続けた。夜、久しぶりに埼玉テレビでライオンズ中継。高橋光成投手が勝ててよかった。 


 某日、午前中、倅を連れて所沢へ。ツタヤブックスで重松房子著『戦士たちの記録 パレスチナに生きる』、井上靖著『晩夏』、窪美澄著『よるのふくらみ』を購入。ブックオフで倅が『パイレーツオブカリビアン』を診たがったのでDVDを。ピーター・カッタネオ監督『フルモンティ』、ジャン・ユンカーマン監督『チョムスキー9・11』、ダグ・ライマン監督『オール・ユー・ニード・イズ・キル』、チャールズ・ストーン3世監督『ドラムライン』を購入。午後、東映大泉で三木聡監督『コンビニエンス・ストーリー』の初号試写。ぶっ飛び系の三木作品でアタシは大好きだった。芝居の反省点は多々あり。上映後、Pの森重さんや保中さんと話す。次の森重さんが手がけている作品が、崔洋一監督・荒井晴彦脚本だと聞いて興奮。企画の成立を願う。大泉の「ブックオフ」でマノエル・ド・オリビエラ監督『家路』とトビー・フーパー監督『スポンティニアスコンバッション』を散々迷った末に購入。この店は土地柄か、欲しくなる良い作品が集まっている。新宿三丁目に移動して居酒屋「みくに丸」で大西信満さん、水澤紳吾さん、嶺豪一というメンツで飲む。皆がグデングデンになってしまう。全く意味のない、とても豊かな時間だった。