某日、朝からカフェドクリエで嶺組『黙黙』セリフ。秋津から歩き念仏していたら急に雨が降ってくる。歩きながらセリフをやりたかったが、仕方なくウチに戻る。午後、豪一と電話。明日の撮影のことで色々アイディアを出し合う。夕方、倅のお迎えで保育園へ。夜、班長さんから電話。ここだけの話だけど、班長さんこと山本浩司さんって同業内では天才扱いされている素晴らしい俳優なんですぜ。班長さんが活躍する作品が増えれば、脇が豊かになって作品も良くなること必至。アタシは長い事近くにいるから忘れがちなのですが、尊敬している俳優なのです。
某日、嶺豪一組『黙黙』撮影で東十条。火傷の特殊メイクがあり、2時間かけて特殊メイクを土肥さんに仕込んでもらう。撮影は渡辺寿岳さん。堀さんの『夏の娘たち』以来だな。Pは鈴木徳至くん。徳至くんが豪一の企画を面倒見てくれて、本当にありがたい。演出部林くん(共栄高校野球部出身)とライオンズ話で盛り上がる。19歳の鹿児島から出て来たばっかの女優・白浜さんとワトソンさんと芝居。アタシが演じた役は豪一の思い描いていた人物像とは違ったかもしれないが、敵役として存在した方が、作品の為になると思ったのだが、どうだったか。豪一の演出を極力体現したいが、抽象的で理解するまでに時間がかかってしまう。似たような経験をした坪田さんの演出を思い出した。本日の出番は終わったが、夕方まで現場を見て帰る。移動中の読書で、鈴木忠平著『嫌われた監督 落合博満は中日をどうかえたか』読み終わる。時々挟まれる著者の視点がちょっとヒロイックだなと思ったが、めちゃめちゃ面白かった。各選手のエピソードで泣きそうになった。
某日、嶺豪一組『黙黙』撮影で下高井戸。下高井戸で水澤さんと合流。水澤さんは、今作のオファーを受けていたが、現在理由があって出演は叶わなかった。律儀な水澤さんは出演できなかったことを申し訳なく思い、わざわざ現場に差し入れをしてくれた。監督である豪一は現場で集中していて、水澤さんの存在にも気も付いていない。伝えようとしたら水澤さんに止められる。奥ゆかしい方だ。水澤さんに『嫌われた監督』を貸して別れる。本日も特殊メイク。土肥さんから昭和歌謡やゴジラの話を聞く。昼前には支度済みだったが、呼ばれたのは3時過ぎ。そこから段取りで時間を食ってしまい、デイシーンだったので陽に追われる。ただ、豪一が現場で思いついた演出が面白く、印象的なシーンになった気がした。自分も思いつかなかった芝居だったし、やっぱ豪一の演出は面白い。オールアップのコールを受けたが、1カットリテイクする。結局、特殊メイクを落として現場を出たのが19時だった。白浜さんから手紙をいただく。こんなの初めてで嬉しかった。府中で水澤さん、班長さんと合流し「牛繁」で焼肉を食わせていただく。班長さんの苦労話。解決法なんかみつからないが、話すことで少しでも班長さんが楽になるといいなあ。
某日、片山組『ガンニバル』の撮影で新宿郵便局集合。バスで栃木県大子町へ。本日も村人としてパヤパヤする。現場でスタッフさんたちとおしゃべりするのは楽しいが、芝居をやっていてもあまり乗れていないないのはなぜだろうか。おそらく方言のカセがストレスになっているのだろう。瞬発的に出したい言葉が、出せないストレスって凄いんだな。チクショウ!方言に慣れるしか解決方法はないのだろうか?セリフを練習でいくら頑張っても、アドリブで方言は出せないんだよなあ。あー、悔しい。自由に方言が使える状態になって芝居してえよお。明後日、太鼓練習が決まるが、あれから全く手をつけていない。どうしよう、、、。まあ、現場が立て込んでいたし、仕方ねえってことにしよう。帰りに本屋に立ち寄って、立川談志著『談志受け咄』、赤松利市著『東京棄民』、西村賢太著『瓦礫の死角』を購入。
某日、内装仕事で門前仲町。午前中、浅草で什器設置。午後、清澄で什器設置。夕方、明日の積み込みと買い出し。内装屋ハジカミの社用車で新車のハイエースが来た。テントが搭載されて、横からタープも引き出せる。すげえ!これでキャンプに行きたいなあ。通勤読書で赤松利市著『東京棄民』読み終わる。夜、『ガンニバル』もう何度目かのスケジュール変更。マジかよ!本当に腹が立つ。しかも直前にいきなり言われるから、内装仕事の予定が全く立てられない。これで柳沢さんから頼まれたオイシイ受け仕事が飛んだ。日々の生活が事足りるくらいのギャラが貰えていれば、それも仕方ない事なのだろうが、もちろんそんな額は貰えていない。生活の保証もないのにスケジュールを何度もひっくり返されて、結果、内装仕事が出来なくなるから生活費も稼げなくなってしまう。人間って生きて行く上で必ず生活を成り立たせなけりゃいけないんだよ?担当マネージャーの井上さんは1ミリも悪くないのに、当たってしまう。もう、いやだ。こんな思いをするくらいならやらなければよかった。井上さん、本当にすみません。
某日、内装仕事で清澄。久しぶりに守屋文雄さん、岩谷健司さん、豪一も来る。岩谷さんは「ドラマの話が来たんだよ。監督はメインのオイシイ役を岩谷さんでやりたいって言ってくれていたけど、脚本家が別の俳優を押しているらしく、天秤で、結局負けたんだよ。その相手が岡部たかしだったんだよ。」と言っていて、笑ってしまった。結局、俳優を真摯に続けているヒトに仕事はくる。まあ、準備ができている俳優でも、役に恵まれない事もあるだろうけど、それでも続けていなきゃダメだ。しかしまさか岩谷さんや岡部さんが民放ドラマのメインをやる時代が来るとはなあ。岡部さんと岩谷さんは、若い頃からずっと一緒に芝居を続けてきた仲だ。そんな二人が活躍してくれて本当に嬉しい。で、こちらの内装仕事は明日引き渡しの現場なのに、いまだに塗装をやっている。参ったなあ。塗装屋さんの謝花さんが、ライオンズ戦のチケットをくれる。バックネット裏のめちゃいい席。嬉しい。本日は什器塗装や仕上げ作業。昼は駅前の中華「泰山」で生姜焼き定食。岩谷さんが食っていた肉味噌定食がめちゃ美味そうで後悔した。夜7時過ぎまでやって、抜ける。そのまま浅草へ。片山組の太鼓稽古。西村賢太著『瓦礫の死角』読み終わる。
某日、午前中、倅と「島忠ホームズ」へ。ナスとキュウリの苗木を買って、プランターに植え付ける。倅が、キュウリの苗木を折ってしまい、双葉しか残っていない状態だったが、仕方ないのでそのまま植えてみたが、どうなるかなあ。メダカの水換え。昼寝。夕方、倅と実家へ。コロナから退院して来たじいちゃんだが、ちょっとボケが進んだみたい。まだ足元が覚束ない。ただ、倅に小遣いを渡したり、まだちゃんとしているとこもある。まあ、歳だし仕方ねえや。伸也もいたので、謝花さんからもらったライオンズ戦のチケットは、アタシと倅と親父と伸也で行くことに。帰ったらカミさんが不機嫌。やはり原因は生活費の事。言い争いになって、アタシが子供椅子を蹴り、壊してしまった。仕事がうまくいってない時って、私生活も荒れてしまう。マジで気を付けないといけねえ。夜、DVDでヘンリー・ビーン監督『ノイズ』観る。全く期待していなかったが、面白かった。主演のティム・ロビンスがとても良かった。
某日、内装仕事で浅草。豪一と最後の仕上げ塗装をやる。昼は「かつ吉」でトンカツ定食。夕方までやって、シノブさんと勝どきの現場の現調。建物がかしいじゃっていて、上に上がると平衡感覚が狂って酔う。なかなかの難儀物件。やー、ここの担当になったら苦労しそうだなあ。現調の後、豪一と新宿に出る。大久保までフラフラして、オススメのケバブ屋「サライ」でケバブサンドを食う。豪一が「ここのケバブがメチャクチャうまいです」と太鼓判を押すので楽しみにしていたのだが、仰る通りめちゃくちゃ美味かった。店員さんも陽気でいい感じ。豪一は店員さんにインドネシア人に間違えられていた。テアトル新宿で飯田芳くんと落ち合い、3人で左向大監督『夜を走る』を観る。偶然、村上淳さんも一緒だった。足立智充さんが主演だったので楽しみだったが、自分はそこまで乗れなかった。終わった後、淳さんと豪一、飯田と立ち話。淳さんの映画の見方はとても俯瞰的で面白い。