某日、ソファーで寝たので首が痛い。朝7時に周平さんが吉野家の牛丼(大盛り)を買ってきてくれて、モソモソ食う。そういや昨夜はなんも食ってない。そのままダイゴさんと浅草の現場へ。やー、日勤・夜勤・日勤と続くとキツイのでござる。しかしゼニを稼がにゃなるめえて。浅草の現場の前で、片足のもげたドバトが乾いたゲロをついばんでいて、「ああ、こいつは俺みてえだな」と共感してしまう。テメエも元気でやれよ!本日は什器や建具のステイン塗装をやっつける。眠くて手が震える。昼は「ニュー浅草」で日替わり定食(たけのこご飯とコロッケ)めちゃくちゃ美味かった。「ニュー浅草」は昼から飲めるらしく、酔客がちらほら。いい店だなあ。16時に現場を上がって、赤坂の事務所へ。昨夜、帰れなかったので台本が手元にない。事務所用の台本を借りて、そのまま恵比寿で片山組『ガンニバル』の本読み。柳楽優弥くんや中村梅雀さんとやる。梅雀さん、本読みでもめっちゃタップリ芝居で、笑ってしまう。終了後、永田崇人くんと喫茶店でお茶。帰ってすぐに寝る。 


 某日、内装仕事で浅草。引き続き什器のステイン塗装。土曜だし、ライオンズが7連敗中だし、全くやる気なし。手が塗料で汚れたまま、落とす気もなく作業。一服時にタバコを吸うと、タバコと指が塗料でくっついてしまいうんざりする。作業後、守屋文雄さんと浅草駅の地下商店街にある中古DVD屋に行ってDVDを漁る。レンタル落ちの商品が250円から並んでいてワクワクする。トニー・スコット監督『アンストッパブル』、ヘンリー・ビーン監督『ノイズ』(主演ティム・ロビンス)、ジョー・シャーバニック監督『ザ・ウォッチャー』(主演キアヌ・リーブス)、元木隆史監督『プウテンノツキ』を250円で、瀬々敬久監督『超極道』を500円、ジョン・ウー監督『男たちの挽歌』を980円で購入せり。夜、『男たちの挽歌』を観るが結末前に寝てしまう。 


 某日、昼から実家で倅とアタシの誕生日会。うちの家族はいまだに誰かの誕生日をなるべくみんなで集まって祝う。若い頃はうざく感じたが、今となっちゃいい習慣だと思う。お寿司とピザとケーキを食う。両親からヨルゴス・ランティモス監督『聖なる鹿殺し』のブルーレイを貰う。ありがてえ。40を過ぎて、年老いた両親に「聖なる鹿殺しがほちいなあ」なんておねだりしているオッサンも問題だよな。でもいいのだ。「お袋とカミさんには一生迷惑をかけ続けていい」って『麻雀放浪記』で鹿賀丈史さんが言ってたもんな。ライオンズ、やっと勝つ。長い連敗から抜け出した。長かったゼ。夜、DVDで『ザ・ウォッチャー』と『聖なる鹿殺し』を観る。 


 某日、内装仕事で浅草。今日から樹脂モルタル左官。作業段取りがうまくいかず、守屋さんがイライラしていておっかない。こういう日は黙って見ているのがいい。相判で作業だったので息を潜めてコソコソやる。昼飯抜き。減量ではなく金がないのだ。カナチイね。腰が痛い。作業の終わりが見えないのに引き渡し日は迫ってくる。疲れた。 


 某日、内装仕事で浅草。シートップでエイジング左官。サウナ店の外で休憩していると土鳩が集まってくる。浅草の鳩はきたない。数羽、足が欠けていたり折れている鳩がいる。アタシと同じだ。傷ついてボロボロ。今日は岩谷健司さんが1年ぶりに内装仕事に来た。岩谷さんとはアタシが20代の頃から、一緒に肉体労働をやっている。最近は俳優としての仕事が忙しく、内装仕事に来れなくなった。でも、それでいいのだ。そんな岩谷さんが「俺が30年前に浅草住んでる頃は、ゾンビみたいなアル中やコジキが徘徊する街だったのに、今は綺麗になったなあ」と感慨深そうに言っていた。豪一は二日酔いで大遅刻。昼はみなで「ニュー浅草」でコロッケ定食。揚げたてのコロッケがめちゃ美味い。今日も昼から飲んでる人が多数。浅草のこういう場末感って安心するなあ。仕事終わりで新宿へ。監督の奥野俊作さんと植田紗々さんと「石の家」で飲む。準備中の奥野組脚本2稿の感想や問題点を検討する。 


 某日、内装仕事で浅草。引き続きシートップ左官。岩谷さんも豪一もいない。守屋さんと二人で粛々と作業。暑くてやってられない。左官の揮発熱が室内にこもって、しんどい。昼飯は抜き。カネがねえ!バカヤロー!3時の一服で大工の山田さんがガリガリ君を買って来てくれた。今年初のガリガリくん。やっすい甘さだが、異様に美味い。労働していて疲れた身体が糖分を欲してるんだな。気温が上がって一気に夏がきた感じがする。夜、カミさんが誕生日プレゼントで買ってくれたブルーレイ、リジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ監督『ジャッリカットゥ 牛の怒り』を観る。劇場公開時、すごく観たかったが見逃した映画。マンパワーで押し切った(現在の日本映画では不可能な企画)大傑作。こんな映画観たことがない。ただ、守屋さんが金をかけて『まんが島』を作っていたら、このような映画になったかもしれない。しかし、すごい映画だ。アジアで絶対に見逃してはならない映画監督リジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ。『薄氷の殺人』のディアオ・イーナン監督、『ブンミおじさん』のアピチャートポン・ウィーラセータクン監督。この3人は必ず観なきゃだ。ただ、アピチャッポンの新作は観れていないし、イメージフォーラムで開催されているアピチャッポンの特集も行けていない。ああ、悔しい。映画が観たい。 


 某日、10時から渋谷の美学校で高橋ヨシキ監督『激怒』初号試写。反省も多々あるが、お祭り映画に参加できてよかった。映画自体は編集のテンポが良くて驚いた。スクリーンのいろんなとこに知り合いの俳優やら監督やらが出てくるから、個人的には気が抜けない映画でした。川瀬陽太おじさんの人脈であり、歴史そのもの。芝居が凄いとかは全くないけど、いわゆるタップリ芝居で吉岡睦雄さんや森羅万象さんが出てくると笑えた。水澤さんと話したのだが、こういうジャンル映画の時は、与えられた役割をきっちりこなして、わかりやすくキャラクターに寄せた芝居をするべきだったなあと反省。終映後、打ち上げ。多くの俳優、スタッフ、関係者が集まってにぎやか。ヨシキさんとも色々話せたし、音楽の中原昌也さんから挨拶されて話したら面白くて、はしゃいで映画話をしてしまう。中原さんの本も読まなきゃな。アタクシ41歳の誕生日。家族や豪一、藤井さん、張元さん、脚本家の菅野さんからお祝いメールをいただく。もう祝う年でもないが嬉しい。ありがとうございます! 


 某日、内装仕事で浅草。1階壁部のシートップ左官。フラット仕上げだったのだが、腕が上がっている気がする。ただし、夕方に仕様が変わって、エイジング壁に変更になってしまい、一気にやる気をなくす。せっかくフラットな仕上がりだったのになあ。仕事後に浅草に行って「ひょうたんなべ」で赤松利市さんと飲む。豪一と守屋さんも合流して、みんなでワイワイやる。赤松さんは自分らみたいなカネのない映画屋連中と飲むのを楽しんでくれている。赤松さんの奢りでフグの天ぷらやらあん肝やら美味いものをたらふく食わせてくれ、美味い日本酒を飲ませてくれた。赤松さん、ご馳走様でした!